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子どもたちと、クリエイティブ・リーダーシップと「デザインのとびら」 3/3

こんにちは!子どもたちに向けた、デザイン思考を活用したワークショップ「デザインのとびら」事務局です。

前回は「クリエイティブ・リーダーシップ」の3つの要素のうち、「Clarity」について話しました。今回は「Empathy」、「Creativity」とその先について話します。

前回の「Clarity」の話は、こちらから


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「Empathy」 : 共感

「Empathy」と「Clarity」は特に密接に繋がっているように感じます。

例えば考えを誰かに伝えようとした時に、相手への共感無く発信しようとしては、ディスコミュニケーションが生まれてしまいます。だから伝える相手に共感し、その人がどんな立場なのか、何に価値観を置いているのか、今、どんな心境なのかに向き合っていかなければならなりません。そういう意味で、共感を持つということは、その人を思いやることでもあり、「Be Kind(やさしくなれ)」ということでもあります。

面白いのは、共感というものは他者への共感であると同時に、「自分への共感」も含んでいるという点です。このことは、あまり語られず、見過ごされがちではありますが、私はものすごく大事なことだと考えています。

自分への共感とはどういうことかというと、つまりは「自分の発言、行動に共感できるか」ということです。

この一見なんでもないことが、日本社会の中では非常に雑に扱われてきているのが実際のところだと思います。

社会に出ると特に顕著になり、「素の自分」と「会社の自分」を切り分けて行動してしまいがちです。
例えば会議の中での発言も、会社の人間という着ぐるみを着てしまうと、素の自分だったら絶対に言わないような、正反対のことすら口にしてしまう場合もありますよね。

でも、いくら仕事であっても自分の言葉に自分自身が共感できないような発言をしてしまうのは、精神的に健康的ではないですし、そんな形で出来上がる社会もまた、健康的なものから逸脱しかねません。

「Clarity」でビジョンを示す時は、最初に紹介した「Empathy」の文脈も含んでいなければなりません。
ですので、選ばれる言葉は自分が共感できるものでなきゃならないし、だから自分自身に対しても透明であり、またやさしくある必要があります


「Creativity」は?

「Creativity」は、創造性そのものです。
3つの円の図では、「Clarity」と「Empathy」を下支えしているところに「Creativity」がありますが、そのように2つを創造性によって支える、というようなイメージを私は持ちました。

例えばビジョンを表現する際に、自分だけでなく対象となる関係者みんなが共感できるものにしたい、としたときに、やっぱりそこには創造性が働かないと、良いものは生まれません。創造性無しに、複雑なアイデアをまとめ上げ、正しく相手に伝わるように表現するのは至難の技です。
自分が共感できる伝えたいことが明確になり、伝えたい相手に共感した時に、相手に響く表現を模索すること。それがこの文脈における「Creativity」だと思います。

「創造性」≠「独創性」

創造性を示す際に、個性的とか、これまでにない、オシャレで、かっこいい、みたいなものに囚われてはダメで、その部分と創造性とは一線を画すものである必要があります。

なぜかというと、ビジョンが個性的かどうかではなく、大事なのは自分と他者が共感できる、嘘のないクリアなものであることだからです。個性的かどうかと言うのは、そのとき本当に自分達に向き合っていくことで自然に導かれるものである、と考えるべきです。

表現としてテクニカルに個性を演出することはできるかもしれませんが、そうやって導き出されるものは、内実を伴わない薄っぺらなものになりがちで、すぐに廃れていってしまうものです。

よく「当社らしさ」という言葉を企業では問われますが、それは関係者がきちんと会社について向き合っていないから「らしくない」、もしくは「凡庸な」表現に落ちてしまうのだと思います。「当社らしさ」を問う人間こそが当社らしさについて真剣に考えて示したら良いのです。それこそリーダーシップそのものですね。

それを無理に表面的な「表現」によって着飾ってしまうことで、大事な部分が伝わらなかったり、ねじ曲がったりしていってしまう。

コミュニケーションをそういう不誠実なカタチにしてしまうと、必ずどこかで歪みが出るものです。その歪みというのは、これまでの忖度おじさん達はなんとも思わないかもしれないけれど、これからの若い世代にはちっとも魅力を感じられるものではないですし、そういうことが積み重なった結果として、若者達が離れていくに十分な理由となっていくのです。

このように「Creativity」, 「Clarity」, 「Empathy」の3要素は、それぞれに影響し合っており、どれかが欠けてもダメって事が見て取れると思います。


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肝心なのは、「Authenticity」!

3つの円で構成された図には実は続きがあります。
3つの縁が交わる中心の部分。ここは「Authenticity」と呼ばれています。

「Authenticity」とは、「ありのまま」であると言うか、「純粋で偽りのない」状態で、ある意味「誠実さ」とか「Integrity」に近い意味も含んでいると私は解釈しています。

自分自身に共感し、他者に共感し、ビジョンを明確にしていく、と言うことは「Authentic」なものでなければならないということです。

「Creativity」の部分でビジョンを作る時に、「個性的かどうかは『自然に導かれる』べき」、と書きましたが、それこそこの3つの円が重なる部分であり、「Authentic」であることそのものだと言えます。


「デザインのとびら」と、クリエイティブ・リーダーシップ

これは完全に私個人の興味とそこから発生する想いですが、私たちの活動である「デザインのとびら」の提供価値は、このクリエイティブ・リーダーシップを伝えることにもあるんじゃないかな、と感じています。

教育の究極の目的として書いたように、必要なのは、

1、自己肯定感を持てる
2、他人と共に生きることを知っている

つまりは、「自分と、他者の尊重」。

自分に対して自己肯定感を持てるかどうかって言うのは、自分の感情や、発言、やっていること、に自信が持てるってこと。そのことを他者に対しても同じように認めることができるから、結果的に心から協力的になれるってこと。
つまりは「明確さ」と「共感」を持ってしっかりと自分と他者に向き合えるってことです。

それを下支えしているものこそが、「創造性」であって、僕たちは創造性という入り口を通して、子どもたちが「Authentic」になれる、つまりは「自分に共感して、他者に共感して、アイデアをクリアに伝えることができる」、そんなことを提供しようとしているんじゃないかなって感じています。

自分のことってなかなか見えない。
やっぱりいろいろな人に話して、いろいろな意見をいただくことは重要。

みなさんご意見ありましたら、ぜひよろしくお願い致します!!

●参考:
The Helen Hamlyn Centre for Design (HHCD)
Royal College of Art
http://ldoc-cdt.ac.uk/creative-leadership/
http://ldoc-cdt.ac.uk/wp-content/uploads/2018/09/LDoc-Poster-print-2.pdf
Text by 儘田大地  Edit by 東郷りん
デザインのとびら

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