「医療機関のブランディング~求人・集患の秘訣~」を2020年9月3日に出版させていただきました。本を購入して読んでいただいた方には大変恐縮ですが、多くの医療機関様にお伝えしたいと思い、本ブログにて少しずつ内容を無料公開していこうと思っています。 私はMRとして製薬会社で8年間働いた後、デザイン・広告を中心業務とした株式会社DEPOCを設立し、医療機関向けのWebコンサルティングや医療機関向けホームページ制作を行ってまいりました。 本書の中でもお伝えしていますが、現在医療
ここでブランディングを取り入れることで、採用する側とされる側のマッチング率を高めることができる仕組みを解説しましょう。 一般的な求人の場合、募集から採用までのルートはこのようになります。 ・ 条件を提示して応募を開始 ・ 条件を見た求職者から応募があり、選考 ・ 面接時に諸条件について確認、応募者はここで院内の雰囲気などを実際に知る ・ 医療機関、応募者ともに選考に入る 上記の様に、条件を見て応募している段階では、求職者は医療機関の情報をほとんど手に入れていません。その
そもそも、なぜ採用時のマッチング率が低くなってしまうのでしょうか。それは、条件だけを示している場合が多いことが考えられます。 多くの医療機関が、医師や看護師などのスタッフを募集するときには、募集要項に月給や勤務時間、残業の有無や仕事内容、福利厚生などの条件を掲載しています。また、求職側もその条件で検索し、自分にマッチした病院を探しています。確かに条件の提示は重要ですが、条件からは医療機関の雰囲気や他の医師や看護師との関係性、仕事のしやすさややりがいなどは見えてきません。
医師や看護師を採用するときにかかるコストはどのようなものがあるでしょうか。 採用の為の広告費、人材紹介会社の手数料、就職セミナーの出展料など様々な採用コストがかかります。このようなコストをかけたとしても狙った人材が来なくては、費用の無駄になります。 また、すぐに辞められたとしたら、毎年採用コストをかけなくてはなりません。例えば、人材紹介会社を利用して採用を進めた場合は、紹介料として25%~35%の紹介手数料がかかるといわれています。年収1500万円の医者の採用であれば、
医師や看護師が不足しているとはいえ、現状の人員が経営を回していくこともできるはずです。医師を1人採用すれば年間で1千万円~2千万円という人件費がかかることを考えれば、医師を採用しない方がコストカットになるとも思えそうです。そこで浮いたコストを集患対策に充てれば、コストをカットしつつ売上を伸ばせるのではないか、そう考える方もいるかもしれません。 しかし、実はそうではありません。医療機関の経営において重要な要素は採用と集患ですが、いずれか一方の対策をするのではなく、両輪で考えてい
そもそも、医療機関で採用が激化している背景はどこにあるのでしょうか。 医療機関は「人」で成り立っています。2020年現在、通常の時間外勤務の上限は週15時間、月40時間となっていますが、医師の時間外労働は週20時間以上の時間外は40%となっています。また、このデータは、オンコールの待機時間やアルバイトなどの勤務時間は含んでおらず、最低40%以上の先生方が現在の労働基準からかけ離れた勤務状況にあります。参考(1) 第1回医療政策研修会 第1回医療構想アドバイザー会議資料より
これからブランディングを取り入れていきたいとき、どこから始めればよいのか迷うかもしれません。医療機関の中で早急に解決したい課題が明確に決まっている場合は、その課題に対してブランディングを活用するのが定石ですが、課題が複数ある場合には、まずは採用を目標にブランディングを始めることを推奨しています。 では、なぜ採用から始めると良いのでしょうか? 1つ目は、現在採用にかかっているコストを充てられ、ブランディングする事で今まで無駄にかかっていたコストが削減できたのか、効率よく
私たちはブランディングとして情報創生を行いますが、医療機関のブランディングと非常に親和性が高い媒体はWebサイトであると考えています。その理由を説明しましょう。 キャッチコピーのように、短い言葉で伝えたいことを伝えることもブランディングにとっては大切なことですが、手術や治療法などに関しては必要な情報をわかりやすく伝えようとすると、どうしてもある程度の文章量が必要です。また、患者の命を預かるといっても過言ではない医療機関の場合、情報提供については短くする方向ではなく、長く
ブランディングは、外部に対してだけでなく、医療機関内部で働くスタッフに対しても働きかけることができます。それがインナーブランディングです。 医療機関は「人」でできています。医療機関の質を上げて集患につなげるためには、サービスの質の向上やスタッフの質の向上が必要です。そして医療機関が人でできているからこそ、売上と採用は連動しています。全ては独立した別個のものではなく、突き詰めていけば密接につながっているのです。 しかし、現状ではほとんどの医療機関がインナーブランディングま
医療機関のブランディングは、医療機関が自分たちの理念や方向性を構築するものです。ベースとなる指針が生まれるため、大きくぶれてしまうことがなくなります。院長を含め、医療機関のスタッフたちの意識がまとまり、一丸となって進めるようになるのです。また、今後新しい取り組みを行うときにもブランディングができていれば、これからやろうとしていることが医療機関の方向性に合っているのかを振り返ることもできます。 これは弊社の例ですが、弊社のWebサイトでは、トップメッセージとして「情報ネッ
医療機関が差別化して強みを打ち出していくためにはブランディングが重要であることをお伝えしてきました。では、ブランディングをすることによって具体的にどのような効果が期待できるのでしょうか? ブランディングは棚卸し的な役割を担います。医療機関の特徴や強み、医師や看護師、技術者がそれぞれに有している知識や経験などを全て一旦要素として外に出し、それを目的に応じて構成し直すからです。 採用のマッチング率が上がる 例えば、ブランディングの目的が採用ということであれば、この医療
治療についても同じことが言えます。例えば、治療方法として腹部を切開して直接患部を取り除く「腹部切開」という方法があります。しかし、「患部を取り除く治療」という定義や説明がなければ、腹部切開は単なる傷害行為でしかありません。 このように、医療行為には全て説明が必要だと私は考えています。そして手術や治療方法、使用する機材などの医療行為に直接関係しないものについても、文章を使って定義付けや説明を行うことが重要だと考えています。 例えば、なぜ当院では西洋医学より東洋医学を重視
情報を伝達する手段はいろいろなものがあります。イラスト、写真、動画などのコンテンツもあれば文章のコンテンツもありますが、医療機関のブランディングにおいて私が最重要視しているのが文章です。医療機関のブランディングでは、文章による説明は不可欠です。それはなぜなのでしょうか。 医療機関の場合、患者さんは結果を求めてやってくるわけですから、患者さんから質問を受けたときにはすぐに答えられるようにしておく必要があります。 一般企業のようにロゴマークやイメージ、カラーなどを主体とし
ホームページに講演会の情報を掲載して少し経った頃、野球肘の疑いで来院されたお子さんがいました。今までに来られたことのない、診療圏外からのお子さんです。お母さまにお聞きしたところ、ホームページの講演会の情報やスライドを見て、野球をやられているお子さんを連れていこうと思ったそうです。そのお母様は野球チームの理事で、その後もチームの子どもたちに何かあった時にご来院されています。 この頃から診療圏から少し離れた所から来院する患者さんがだんだん増えていき、院長先生は「結構ホームペ
私がこれまで多くのクリニックと関わってきた中で、情報を発信することによって集患に成功した例は多々あります。やはり情報を発信することによる集患・採用の効果は明らかです。 本書ではその中でも成功事例をいくつかご紹介していきますが、そのうちの一つをここで簡単にご紹介しましょう。 こちらは、私が担当した中でも非常に思い出深いクリニックです。担当した2007年頃は医療機関のホームページがまだまだメジャーでなく、弊社も仕事があまり取れていなかったこともあり、社内でも医療機関のホー
情報の取集について さて、目的が決まったら情報の収集です。情報の収集は、院長や教授をはじめとした経営層から、入職したばかりの新人の方まで、目的に合わせてお話を聞いていきます。求人に関してはそのままインタビューの記事になるので、募集したい求人のニーズに合わせてインタビューする方を決めていきます。インタビューする際は、一方向だけでなく、多方向から情報を収集する事で色々な特徴や問題点などが出てきます。 ・ 組織をどのようにしていきたいか ・ 特徴と思われる診療科目、治療法など