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なぜ医療機関の経営にとって、採用は重要なのか

医師や看護師が不足しているとはいえ、現状の人員が経営を回していくこともできるはずです。医師を1人採用すれば年間で1千万円~2千万円という人件費がかかることを考えれば、医師を採用しない方がコストカットになるとも思えそうです。そこで浮いたコストを集患対策に充てれば、コストをカットしつつ売上を伸ばせるのではないか、そう考える方もいるかもしれません。
しかし、実はそうではありません。医療機関の経営において重要な要素は採用と集患ですが、いずれか一方の対策をするのではなく、両輪で考えていかなくてはなりません。
採用によって一時的にコストがかかりますが、それは結果的に集患に繋がっているからです。求人と売上は深く連動しているのです。その理由を、医療機関のビジネスモデルを交えて簡単にお話ししたいと思います。

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病院とクリニックでは考え方が異なりますが、医療機関では医師と看護師が売上の要となります。医師を1人採用することで年間1千万円~2千万円という人件費のコストがかかると先ほど述べました。ただ、診療費や手術の有無によって変動は致しますが、医師1人当たりの年間売上は約1億円と言われています。

医療機関の収益は、診察や投薬、手術などの治療行為によって生じていますが、医師が診察して診断書を作成し、患者が治療費を支払うことで医療機関が成り立っており、看護師側では「7対1看護」「10対1看護」など、適切な医療・介護のために医療機関で一定の人員確保が求めらており、看護師2人に対して患者数がどれくらいになるかによって診療報酬が変わる仕組みになっています。10対1看護にすれば看護師が多く要らずに済むため、人件費は削減されます。しかし、診療7対1看護の方が高くなるため、売上に影響します。

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売上に影響がとても大きいと考えられるため、採用を行っていくには、病院の特徴や魅力を理解し発信を行わないと、医療者も集まりません。採用のコストカットを行い、本来できる手術や検査、投薬ができない状況でしたら、魅力も半減してしまいます。

逆に、病院の特徴や魅力を理解・発信ができるような状況を作ることができれば、医療者に限らず、患者さんのファンがついてきます。もちろん、現在は足りていないかもしれません。ただ、今後そうなっていきたい、このような診療を行っていきたい、患者さんの為になることを行っていきたいという目標などを掲げ、発信することによって、ステークホルダーが理解することができます。

採用のブランディングから見直すことで、医療機関自身の特徴や魅力を再確認し、病院全体で共有し、発信することで全体の底上げにつながっていくのです。

医療機関のブランディング~求人・集患の秘訣~(著者:株式会社DEPOC代表取締役安岡俊雅)

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