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医療機関の採用が激化している背景

 そもそも、医療機関で採用が激化している背景はどこにあるのでしょうか。
医療機関は「人」で成り立っています。2020年現在、通常の時間外勤務の上限は週15時間、月40時間となっていますが、医師の時間外労働は週20時間以上の時間外は40%となっています。また、このデータは、オンコールの待機時間やアルバイトなどの勤務時間は含んでおらず、最低40%以上の先生方が現在の労働基準からかけ離れた勤務状況にあります。参考(1) 第1回医療政策研修会 第1回医療構想アドバイザー会議資料より

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病院では今まで、医師や医療従事者の過酷な労働によって支えられてきた歴史があります。もちろん、患者の命を救うという倫理観、義務感などで支えられてきていますが、時代に即しませんし、そもそもそのような労働条件は少しずつ改善していかなくてはなりません。
また、医療機関の数を見ると、2009年10月1日では病院が8,739施設、一般診療所が99,635施設となっており、2019年
1月では病院が8,355施設、一般診療所が102,096施設と、ここ10年で病院が384施設減少し、一般診療所の数は2,461施設増加しています。
今後、病院では、労働基準を変えるために人を増やさなくてはなりませんし、そもそも診療所も増えているため、看護師やコメディカルを確保する必要もあります。
また、25年前に比べて女性医師の数は急速に増えています。厚生労働省が調査した「医師・歯科医師・薬剤師調査」によれば、約25年前には男性医師の割合が9割ほどを占めていたものが、2018年には女性が21・9%にまで増加していることがわかりました。世界でみれば女性医師の割合はまだ少ないものの、増加していることは確かです。

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これは非常に喜ばしいことでもあるのですが、女性が希望する診療科が偏る傾向にあるという課題もあります。2018年の医師・歯科医師・薬剤師統計によれば、診療科別の病院勤務の女性医師の割合をみると、皮膚科の女性医師は全体の54・8%となっており、それに続いて、産婦人科、乳腺外科、眼科、麻酔科が4割以上となっています。一方で、外科が7.1%、脳神経外科が6.5%、整形外科・心臓血管外科が6.2%と外科系の診療科が軒並み10%を切っています。
その結果、長時間労働や肉体的に過酷な労働を余儀なくされる現場では人手が足りていないのです。これが現在の医療機関の現状であり、採用が激化している要因でもあります。

医療機関のブランディング~採用・集患の秘訣~著者:株式会社DEPOC代表取締役安岡俊雅

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