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小説書いてます

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小説(短編・超短編)・詩・散文詩・日記等、文芸(風)の作品を集めました。
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2020年2月の記事一覧

「バス停」 …散文詩(過去記事マガジンおまけ記事vol.2)

「バス停」 …散文詩(過去記事マガジンおまけ記事vol.2)

見渡す限りのコンクリート

工場の煙突から出る煙を遮るように太陽が射す。

バスを待っていた。

自分は今日も学校へ行く。

高校生になったのだ。もう歩いて学校へは通わない。

そのうち自分はバスを待ってるのじゃないことに気が付いた。

必ず、自分とのあいだに、一人か二人はさんだ後ろに並ぶセーラー服の学生を心待ちにしていることに気づいた。

彼女は、自分のうしろに直接並ぶことはなかったし、自分もま

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そんなに売れるというわけでもない商いにも意味がないわけではない─2000字小説

ニューヨークのスラムというほどではないが、やや錆びれた裏通りといっても差し支えないストリートにあるアパートの入口に老人は腰を下ろしていた。
老人は商いをしているようだった。
痩せさらばえたその老人の斜め下を見下げるような眼差しはやや険しかった。
老人は黙りこくっている。

四つ向こうのストリートにはタクシーや人の往来がはげしく、ニューヨーカーといわれる人たちが速足ですり抜けていた。

その大通りか

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金持ちは意外と金がかからない生活をしている(ようだ)

金持ちは意外と金がかからない生活をしている(ようだ)

僕のまわりには、そんなに金持ちというほどの人もいない。

ビンボー人ばかりというわけでもないのだが、でも、かなり金持ちな人が知り合いにいたこともある。

困窮している人のはなしは、どれも似たかよったかであることも多い。

たとえば、胃潰瘍だが医者に看てもらう金がないみたいな…おおよその見当がつくはなしだったりすることが多い。

今日は、かなり金持ちだった人のはなしである。

スーパーに勤めていた頃

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