文化とはたしかに家が建つことだ
批評の「批」は、批判の「批」である。だから対象の悪口であれ、単なる感想でしかない印象批評であれ、批評とは文化活動の一つだ。そのような風潮が戦争の前後をはさみ蔓延していたのを憂い、小林秀雄はこう指摘する。
前回紹介した批評家の加藤典洋と小林秀雄は、徒手空拳で批評に臨んだり、群れたりしないところが共通している一方で、加藤の比喩は印象的だという評価があるが、小林秀雄の比喩はそれほどでもない。比喩というのは、何をたとえているか、何にたとえているか、その共通点は何かという3つが書き手