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ダイエット | 病院食をヒントに見直す食生活 | ②食事の半量を主食に

『病院食をヒントに見直す食生活』シリーズ | 前回の記事

①「主菜+副菜+主食」の黄金ルール


②食事の半量を主食に

「抜き」=✖︎  「適正な量に修正」=○

左:朝食、右:夕食

上記は入院中の制限食の一例だが、制限食であってもパンやご飯と言った炭水化物をしっかり摂っていることがわかる。
健康を損ねないことを最優先事項としたいため、未だ巷に跋扈する「ダイエット=炭水化物抜き」という概念は選択肢からあらかじめ除外することにしよう。やみくもに「抜く」のではなく、「適正な量に修正する」のが正しいと言える。

ご飯やパンなどの炭水化物はそれなりにカロリーがあるため、「抜き」にすれば摂取エネルギーを抑えられるのは当然のことである。しかしながら、食事の満足感が激減することから、それを補うためにおかずを多く摂ったり、或いは間食をしてしまえば容易にカロリーオーバーになるだろう。また、食事の比重がおかず(主菜・副菜)に偏ることによって、脂肪や糖分、塩分の摂取割合が多くなり、栄養素のバランスが崩れてしまう。その結果、消化器に負担をかけてしまう上に、心臓病や高血圧などのリスクも高まる。減量に成功したとしても不健康になってしまっては本末転倒だろう。

先の病院食において、ご飯やパンなど主食の量がどれくらいの割合を占めているのか見ていく。

朝食・・・Total490kcalのうち
 主食:食パン6枚切り×1枚+ジャム・・・147kcal(30%)

夕食・・・Total503kcalのうち
 主食:白米150g・・・234kcal(47%)

朝食はやや少なめとなっているが、夕食を見ると、主食の割合は食事全体の約半量を占めていることがわかる。
厚労省が出している「食事バランスガイド」では「コマ」の逆三角形のイラストで食事のバランスを表しており、主食・主菜・副菜のうち一番多いウェイトを占めているのが主食となっている。(下記図の黄色部分)

厚労省:食事バランスガイド(基本編)

また、米穀安定供給確保支援機構の「3・1・2弁当箱法」によると、食事のバランスについて主食3・主菜1・副菜2を目安としている。
いずれも表現が異なるものの、「食事の半量は主食」というテーマは概ね一致していると言える。

米穀安定供給確保支援機構:「3・1・2弁当箱法」

1食で摂るべき主食の量

1日3食の総摂取エネルギーを1,500kcalに設定した場合、1食分は3分割した500kcalとなる。そのうち約半量を主食に充てると、1食で摂るべき主食のエネルギーは約250kcalとなる計算だ。

下記は管理栄養士による指導を受けた際の資料である。
イラストは品目ごとに「1単位」あたりの量の目安となっており、1日の総摂取エネルギーを1,500kcalに設定した場合、1日で摂取すべき炭水化物の量は「9単位」となり、それを3分割すると1食あたり「3単位」となる。

ご飯やパン類などは赤枠で囲ってある部分が1単位

では「1食あたり3単位=250kcal」に相当する主食とはどれほどの量になるのか、具体例を挙げていく。
※参考:「カロリーSlism

  •  ご飯:150g=250kcal・・・茶碗に軽く一杯

  •  食パン:90g=223kcal・・・6枚切り1.5枚

  •  クロワッサン:60g=263kcal・・・1個

  •  フランスパン:90g=261kcal・・・薄く3切れ

  •  ロールパン:75g=232kcal・・・2個

  •  茹でうどん:240g=228kcal・・・1玉

  •  茹でパスタ:150g=225kcal・・・1食分(乾麺の場合80gくらい)

炭水化物? 糖質? 糖類?

「炭水化物抜き」や「糖質制限」がダイエットの定石としてしばしば語られるが、その是非を考察する前にまずは「炭水化物・糖質・糖類」の関係性を知っておきたい。
下記の図の通り、「炭水化物」は糖質と食物繊維からなり、「糖質」は糖類と多糖類からなる。そして「糖類」には単糖類と二糖類を含む。

炭水化物>糖質>糖類

糖質を構成する「糖類(単糖類・二糖類)」および「多糖類」の特徴は下記の通りである。

炭水化物>糖質>糖類>単糖類・二糖類
 血糖値:急激に上昇しやすい
 主な糖:ブドウ糖、果糖、ショ糖、乳糖
 主な食品:清涼飲料水、お菓子など

炭水化物>糖質>多糖類
 血糖値:上昇が緩やか
 主な糖:でんぷん、オリゴ糖
 主な食品:米、小麦粉、芋類など

食後血糖値の上昇が緩やかである「低GI」が謳われるように、糖尿病でなくとも血糖値の上昇には留意したい。
血糖値とは血液中の糖濃度のことを言う。食事を摂ることによって血糖値が上昇すると、膵臓からインスリンが分泌され、血糖と結合し体を動かすエネルギーとなる。ところが急激に血糖値を上昇させたり、過剰に糖を摂取してしまうとインスリンの分泌が追いつかず、エネルギーになりきれなかった糖が血中に残留したままとなってしまう。この高血糖状態が続くと血管の内側が傷つき、動脈硬化をはじめ、糖尿病の合併症のリスクを高める原因となるのだ。
したがって、同じ糖質と言えど、摂取量に気をつけるべきは、急激に血糖値を上昇させる「糖類(単糖類・二糖類)」の方であることがわかる。

次に一番大きな分類である「炭水化物」を見ていく。
炭水化物には「食物繊維」と「糖質」を含む。
食物繊維は人体で消化されないため、エネルギー源とならずに最終的に便となって排出される。その作用として大腸内で便の容量を増やしたり、腸内環境を整える効果があることから、ダイエットの際には積極的に取り入れていきたい成分と言えるだろう。

炭水化物>食物繊維
 血糖値:消化されずエネルギー源にもならないため、血糖値の上昇に影響しない
 主な食品:大豆、ごぼう、玄米、海藻、きのこなど

炭水化物>糖質
 
前項参照

※参考:
意味を知って上手に活用!炭水化物と糖質の違い」澤木内科・糖尿病クリニック
 「炭水化物・糖類・糖質とは」スジャータめいらく
 「多糖類の決まり事~食物繊維の熱量 その2「食品表示における食物繊維熱量の考え方」~」多糖類.com

「糖質制限」の是非

「炭水化抜き」や「糖質制限」が注目を集める理由の一つは、「糖質制限しても、それ以外は好きに食べて良い」という類の言説がセットになっている点ではないだろうか。
しかしながら、糖質以外の食品にも当然カロリーがあるわけで、制約無く食べてしまえば容易にカロリーオーバーになってしまうことから、この説はあまりにも無理があるのではないかと思う。

一方で、カロリーオーバーにならないよう摂取エネルギーの管理をした上で糖質制限をした場合、今度は反対に、脳のエネルギー不足による低血糖状態に陥ってしまうことが心配されるだろう。
低血糖状態になると集中力の欠如やイライラなどの日常生活に支障をきたすような交感神経症状だけでなく、重篤化すると痙攣や意識消失など命に関わる場合もあるため、やはり安易に糖質制限に飛びつくことはお勧めできない。
※参考:「低血糖」糖尿病情報センター

これらを踏まえると、控えるべきは糖類(単糖類・二糖類)を多く含むジュースや菓子類であり、食物繊維を含有するご飯やパンなどの炭水化物は主食として適正量食べていくことが望ましいと言える。
ダイエット中であっても、適正量を守れば炭水化物の摂取を恐れることはない。ぜひ、「食事の半量は主食」の原則をこの機会に覚えておきたいと思う。


まとめ

  • パンやご飯などの主食は抜かない

  • 主食は摂取エネルギーの半量が目安

  • やみくもな糖質制限は低血糖症のリスクが伴う

  • 糖類(単糖類・二糖類)を多く含むジュースやお菓子の摂取は控える


ダイエットは「ライフスタイルの見直し」

「食事療法」と「運動療法」の併用で1年間で40Kgの減量に成功しました。
現在進行形の当事者としての目線とこれまでの経験からダイエットに関する情報を発信しています。

「病院食をヒントに見直す食生活」シリーズは今後も続きます。
是非またチェックしてみてください。
私の経験が少しでも役立つと嬉しいです。

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