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Zushi Beach Books 総合ページ

逗子から、あなたへ。
それは「心」を揺さぶる作品たち。


逗子を舞台にした小説はもちろんのこと、逗子という場所から発信していくことで、たとえば打ち寄せるさざ波の囁きや、吹き渡る潮風の香り、山々の樹木のさざめき、そんな逗子らしさを感じることができる作品たちをお届けしていきます。
わたしたちの願いは、ひとりでも多くの人に、作品に触れてもらうことで、その人の心を、喜びや感動、あるいは恐怖や興奮といった感情で揺さぶること。
心が揺れることで、いま生きていることを心の底から実感してもらいたいのです。
Zushi Beach Books がお贈りする小説を、ぜひご愛読ください。

ロングボーダーの憂鬱 総合ページ

心に深く傷を負ったロングボーダー、ろくさんこと木崎匡一。
そんな彼とひとり娘の美奈海をめぐる逗子の物語。

ろくさんを逗子では知らない人はいないというサーファー。けれどその過去を知る人はほとんどない。そして、彼の心に深く刻み込まれた傷は、いまだにそのまま。その心の傷は癒えることがあるんだろうか……。
そんな彼とひとり娘にまつわる物語が短編連作の長編で紡がれていきます。
逗子を舞台にした、熱く、そして切なく、心に沁みる物語です。

──最低だ。
 なんだってこんなことになっちゃったんだ?
 新垣海は戻されたテスト用紙を見つめながら呆然としていた。
 ──確かに、勉強なんて手についていなかったさ。それは認めるよ。でも、この点数は……。
 受け取ったテスト用紙に書かれた赤い数字を見た瞬間、目の前が真っ暗になっていた。
 頭から血の気が引いて、背中にはじっとりと冷たい汗を感じながら、海はただただテスト用紙を見つめた。絶望感という言葉の意味を、いまはじめて身をもって体験している自分に、大きな戸惑いを感じながら、半ば泣きそうになっていた。
 授業の終わりを告げるチャイムが鳴った途端、海は教室を飛び出していた。
「新垣!」
 続く

ものがたり屋 参 総合ページ

「ものがたり屋 参」は好評をいただいた「ものがたり屋 」シリーズの第三弾です。執筆と同時進行で公開をしています。漢字一文字をそれだれのタイトルとして選んで、それにちなんだ物語を紡いでいます。
 気づかなかった身のまわりにある、隙間のような闇に潜む怪しくてそしてとても不思議な物語をどうぞ堪能してください。

聲 その 1

 ねえ、
 ここだよ、ここにいるよ。
 聞こえる?
 こっちだよ。
 届いてるかな、ぼくの声は……。
 だから、ここだよ。
 こっちにおいでよ……。

「なんだかね、真っ暗なの。ただ、その声だけが頭の中で反響しているみたいで、眼を醒ましてもいつまでも反芻しちゃうの」
 潮風で乱れた髪を右手でかき上げると御津橋耀子はグラスに挿し入れられたストローに口をつけた。
 八月のそろそろ半ばになろうかという逗子海岸。建ち並んだ海の家の一角で本城麻美は耀子と向かい合って座っていた。海で戯れる多くの人たちの喚声が響き渡り、ときおり吹いてくる潮風と綯い交ぜになって、麻美を気怠い気持ちにさせていた。
つづく

夏海と拓海 総合ページ

同い年なのに叔母と甥。
逗子を舞台にした、若いふたりの SUP 物語

夏の逗子海岸で偶然に出逢ったふたりは、その夏を通して大きく成長していきます。高校生としてサッカー部の活動をしていた拓海は、夏海に出逢うことで SUP の魅力を知り、やがて海の魅力に取り付かれていきます。夏海は拓海とで会うことで、これからの自分の生き方を真剣に見つめていくことになります。
そんなふたりがどう関わり、そして成長していくのか、そんな物語を楽しむことができます。

アフロディテ。
 確かにそれは八月の強い陽射しと、碧い海の輝きのせいだったのかもしれない。
 でも、そのときぼくが観た彼女は、確かにアフロディテに思えた。
 日焼けした身体に纏っているのはごくシンプルなビキニだけ。すらりと伸びた手足。長い髪を後ろに束ねて、ボードの上に立っていた。手にしているパドルで沖の方へ出ると、ちょうど波ができるあたりで向きを変えて、その波に乗る。
 波はごくちいさなものだが、とてもスムーズに乗り、浜の手前でまた方向を変えると、沖へと向かう。
 海水浴客で賑わっている海岸なのに彼女だけが輝いて見えた。ざわめきも喚声もぼくの耳には届かない。
 ただ波の音とそしてその波に乗るビキニ姿の彼女だけ。
「拓海、あの娘、めちゃ可愛くない?」
 カジ──梶山隆宏──がぼくのとなりでぼそっと呟いた。
続く

■ Born In the 50's 総合ページ

還暦を過ぎた男たち三人がなにげなく手を染めてしまった銀行強盗。
それがきっかけで日本を揺るがす大事件に巻き込まれることに。

大学時代の友人の死をきっかけに、再び旧交を温めた男たち。還暦を過ぎた三人は、だれも傷つけず、だれにも迷惑のかからない銀行強盗を思いつき、それをそのまま実行した。
しかし、そのために日本を根底から揺るがす大事件へと巻き込まれてしまった。
ハンジャック事件を起こした極悪非道なメンバーを相手に、素人といっていい三人はクーデター事件から日本を救うことができるのか。
スケール大きなクライムサスペンスをお楽しみください。

日本海

 夜の海は怖い。
 月の見えない空は漆黒の闇に包まれ、海の底は光が届かないほど深い。
 第二永宝丸は日本海沖合を目指して、十七時三十分に小木港を出港した。前回は大漁だった。それこそ積みきれないほどのヤリイカを冷凍庫に保存して帰港した。もっと大きな冷凍庫があればと乗組員全員が思ったほどだった。
 船長の三島はそろそろ引退の時期を考えるほどの年齢だった。船ももうかなり古くなっている。船主にいろいろと相談はしているが、しかし新しい設備を投入するのにはかなりの負担が強いられる。
 イカ釣りの場合は電気の消費量が一番のネックだ。
 中にはLEDを使い、発電に使う油の量をコントロールしている船もある。しかし、だからといってそれが漁の成果に直結するわけではない。
 百二十トンというサイズも昔は誇らしいものだったが、いまはどちらかというと小さな部類に入るようになってしまった。
 三島の頭を悩ませているもうひとつの問題は、人だ。
 この船に乗っている仲間は、三島とはもう長い。そのほとんどがそろそろ船を下りようかと考えている。孫と遊んでいてもいい歳になってしまった。その代わり船に乗りたいという若者が減っている。
 仲間の五人とはいつもその話になった。
 自分たちは親の仕事をそのまま引き継いだ形になっているが、子どもたちは陸の仕事についていて、後を継いでくれる者は稀だ。
 三島は手摺りにもたれながら風を浴び、ぼんやりと真っ暗な海を見ていた。
「船長、そろそろいいかな」
 続く

ものがたり屋 弐 総合ページ

「ものがたり屋 弐」は好評をいただいた「ものがたり屋 壱」よりも長めの短編集です。
 怪しくてそしてとても不思議な世界をどうぞ堪能してください。

トンネル

「例の場所にこれからいかないか」
 雅之から電話があったのは、蒸し暑い夜の十時過ぎのことだった。
「ねぇ、誘ってくれるのは嬉しいけど、わたしのこともちょっとは考えてよ。夜遅くにのこのこと出かけられるわけないじゃない。おとうさんうるさいの知ってるでしょ」
 麻美はそう断った。
「女の子がいれば雰囲気も盛り上がるのに、残念だな……」
 雅之は、本当に残念そうにいった。
「それで誰がいくの?」
 二階にある自分の部屋のカーテン越しに茹だりきってしまったような外の様子を眺めながら麻美は訊いた。とろっとした妙な暑さが街を包んでいるようだった。
「タケシと達也」
「友加里は? 彼女は誘ったの?」
「怖いから、ぜったいに嫌だって。付き合ってもう長いけど、あいつそんな恐がりだったっけ」
続く

ものがたり屋 壱 総合ページ

いままで見過ごしていた、暗く、そして怪しいなにかを、
思う存分に味わってください。

うっかり閉め忘れた襖の影、街灯の届かないひっそりとした暗がり、朽ちかけている家の裏庭、築地塀に空いた穴の奥。気づかなかった身のまわりにある、隙間のような闇に、もしかしたらなにかが潜んでいるかもしれない……。
そんなものがたりを集めたのが、この「ものがたり屋」です。

 扉だった。
 それはまぎれもなく扉だった。
 なぜ、こんな場所に、しかもいつから扉があるのか、さっぱり解らなかったが、確かにそこに扉があった。
 JR渋谷駅の改札から、東横線の乗り場へ向かう通路の途中、いくつも並ぶ広告の間に、その扉はあった。
 駅員が使うんだろうか、それともデパートの通用口なんだろうか。いずれにせよそれは、そんな類の扉としてはそぐわないものだった。
 通用口の扉なら、少なくとも外観をそこなうことがないように、壁と同じような色にするか、目立たない金属製のものにするはずだ。
 その扉は、重そうな木製のものだった。
 私は首をひねりながら、東急文化会館の方へ抜け、クライアントの会社へと急いだ。五月晴れが梅雨空へと変わる頃のことだった。
続く

Zushi Beach Books 電子書籍 ePub 版の販売について

NOTE では基本的には無料公開を、完結した作品は電子書籍として ePub 版を販売しています。ストーリーを気軽に楽しみたければ NOTE で読んで、一冊の本として愛読したい作品は ePub 版を購入する。
そんなスタイルで Zushi Beach Books の作品たちを楽しんでください。

http://digitaldreamdesign.co.jp/books.html

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夕焼けフォトグラファー / 物書き / デジタルコンテンツデザイナーの癌サバイバー、竹井義彦です。 逗子の海の写真や、オリジナルの小説をメインに公開しています。よろしくお願いします。 逗子の「いま」を伝える https://www.op-studio.com/
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