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好きな詩 とか(2022年)

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#創作

自惚れガールになりたいわ

ダイエットの神様にそっぽむかれてわたし、死にそうな顔してミルクティーを飲む。女の子はあざとさの鬼ごっこをする。並べられた可哀想という言葉、蔑んだ目線、おしまいのない見定め合い。わたしは仕方なく愛しさの亡骸を抱く。
夜になるといらっしゃいませの温度がだだ下がりして、こすった目で視界は滲む。対峙したエクセルのセルは地獄に見えて、意思に反する時計は悪魔と化す。店の隅で数時間もあの子は、スマホとにらめっこ

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【詩】あるとき言葉は

【詩】あるとき言葉は

あるとき言葉は
とても無力でたよりなく
表現したいものに追いつかない

あるとき言葉は
誤謬を生み
いさかいの種となっていく

けれども
あるとき言葉は
あなたを深く癒し
こころに寄り添うものとなる

あるとき言葉は
あなたを励まし
明日を歩む活力となる

言葉は道具だから
その使い方によって
力を持つこともあれば
無力になることもある

言葉は人を
生かしも殺しもする

わたしは今日
言葉にどん

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【詩】ある内的体感

【詩】ある内的体感

内側はしんと静まり返り
わたしの身体は透き通って
やがて空白の中に
浮かび上がっている

身体性というものは
意識のずっと遠いところに
消え失せてしまう

浮遊

閉じた両眼の裏側が
明るく発光しはじめ
すべてを内側から
照らしているかのようだ

もはやわたしには
目を開けているのか
閉じているのかもわからない
内側も外側も
なくなってしまうのだ

わたしとそれ以外を隔てていた
意識の境界線がなく

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【詩】凪

【詩】凪

さっきまで
何をか伝えたい気がして
差し迫った気持ちで
内側が泡立っていたのに

ふとした瞬間に
意識が逸れて
何を言いたかったのか忘れてしまった
ことばは不意に奪われ
空白だけが横たわる

手元に残されたのは
とても単純なことだけ
空は青く
鳥は歌い
花が柔らかく揺れる

明瞭で
曇りのない
世界の美しさ

私の伝えたかった
入り組んだことがらは
みんな解かれてしまった
あの枝を揺する風が
遠く

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