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好きな詩 とか(2022年)

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2022年5月の記事一覧

「『死がふたりを分かつまで』を超えて」

「『死がふたりを分かつまで』を超えて」

平和を約束された幸福
愛に終わりはない

生きる権利を奪うのは愛の冒涜
物質の恩恵を独占するのは平和の冒涜

人はストーリーをもって生きている
降ろせない旗がある

無風の日も
荒れる日も

残酷な運命に飲まれないために
やさしさの本質の解放

『死がふたりを分かつまで』
それを超える愛

死はふたりを分かつことはできない

Be One
#どこかで会った誰かのようなstories2

黄菖蒲

黄菖蒲

雨音を

讃えるように

黄菖蒲の

耳をそばだて

光りおり
 

どのくらいぶりだろうか。

見事な梅の樹をみつけてからというものずっとその傍で体を動かしていたから、こうしてこの場所をゆったりと歩くことが随分と減ってしまった。



雨の湿地帯に足を踏み入れると、杜若の静かなる黄色の輝きが雨に打たれていた。

雨に濡れた木道が空の光をやわらかに跳ね返す、その明るさがこの黄色を何ともやさしくす

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「ブーゲンビリアのように尖っている彼女だったけど」

「ブーゲンビリアのように尖っている彼女だったけど」

孤高は解けて
微笑は笑顔になる

ブーゲンビリアのように尖っている彼女だったけど
ナチュラルに愚痴をこぼすようにもなった

もしかして人を好きになれたんじゃない?
心は確かに踊っている



舞踏会のダンスターン

孤高は解けて
プライドは涙になる

ブーゲンビリアのように尖っている彼女だったけど
以前の彼女も
今の彼女も
尊く麗しい

咲いていないときも花は花

Never lose hope

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八重桜の川

八重桜の川

八重桜の
花びら
風にのって
さらさら

陽射しが
豊かにやわらぐ
花びらの風よ

私の悩みも
どこかの宇宙(そら)へ
流してはくれないか

花びらが
空に描いた
天の川

清い流れよ
桃色の花びらと
一緒に
私の悩みを
流してはくれないか

変えるべき変わらないもの

変えるべき変わらないもの

高尚な理念の着ぐるみによって、組み立てられた太古の威厳。
支配する側と支配される側、それを護る者と破る者が、多数の野次馬の背中を押す。
時代の大いなるうねりにおいて、誰が野垂れ死にしようが、まるで無関心が正当である根拠としての、正義信仰が広く流布され、守るべきは唯一、自分自身であるという共通認識によって、こちらでは存在意義を見出したヘイトクライム、あちらではデフォルト的善人による道徳的バッシング。

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「聖別された季節に呼ばれるころ」

「聖別された季節に呼ばれるころ」

自分に救われてきた自分
自分を救ってきた自分

そこに存在していられるということは
摂理は認めている証拠

追い詰められても
奪われそうになっても

嫌いになりそうな感性を手放すことなく
今の今に
たどりついている

才能は
壊れてなくなってしまうものではなく

生かされていることを知るために
与えられているもの

三日後に晴れることを信じて
十分に濡れた土は
花を開く準備をしている

四日後に雨

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