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変えるべき変わらないもの

高尚な理念の着ぐるみによって、組み立てられた太古の威厳。
支配する側と支配される側、それを護る者と破る者が、多数の野次馬の背中を押す。
時代の大いなるうねりにおいて、誰が野垂れ死にしようが、まるで無関心が正当である根拠としての、正義信仰が広く流布され、守るべきは唯一、自分自身であるという共通認識によって、こちらでは存在意義を見出したヘイトクライム、あちらではデフォルト的善人による道徳的バッシング。
弾かれた者はロープを握らされ、見せしめの高台を一歩ずつ登って行く。
騒めく観衆、野次と怒号、バックグラウンドに流れ続ける悲鳴が、とうとう絶叫に到達する。

おい、
無闇やたらには近付くな、
悪いやつは出てきやしないんだ。

やりたいことなんて何もなかった放課後 ぺっちゃんこにした鞄に詰め込んだ反逆 帰る所があるから座り込んだ深夜の路上 変えたい何者かを捕まえられなかった声 振り向くばかりの今から届けたいエール