見出し画像

コラム:本当の課題を見つけるためには”なぜ”を繰り返すといい話

企画や分析に取り掛かる前の解くべき課題を見つけるために何をしたらいいかを綴った記事です。


Pythonやリサーチ方法を知れば質の高い企画や分析ができますか?

このブログの著者はここ数年、企画や分析作業を生業として生きています。その著者が最近仕事で分析の勉強会を開いた時のことでした。

「Pythonなどを学ぼうと考えているのですが、やはりできるようになればいい分析ができるようになりますか?」

こういった質問を受けました。学ぶ意欲も高く、意欲が見えて素敵だなと正直感じたことを覚えてます。

ただ、こういった質問をいただいた際に個人的な意見として”そうとは限らない”と答えるようにしています。

”そうとは限らない”、なんともこれから始める人に対しては歯がゆい答え方だなと自分でも思います。ただ、この言葉に込めた思いを今回記事に言語化してみようと思います。

そこそこ質の高いアウトプットを出すために意識すること

個人的に企画や分析をスタートさせ、プロジェクトを進めていく上で特に時間をかけていることがあります。
それは”解くべき課題を見極めること”と”適切な仮説を洗い出すこと”です。

正直いろんな書籍で似たようなことは取り上げられています。
とはいえ結局ここ落ち着くとも思うので自分でも言語化してみます。

企画や分析で大事なこと

今回はまず、”解くべき課題を見極めること”に関して書こうと思います。
(”適切な仮説を洗い出すこと”に関しては以下の記事で書いています。)

意外と課題がずれていることは多い

”解くべき課題を見極めること”と言うのはいろんな書籍で書かれていることなので、このことを話すと多くの方がそうだよねとなってくれます。

ただ、現実の企画や分析を見てみると意外とこれが考慮されていないんじゃないかと思えるものがゴロゴロ現れてきます。

例えば、働き方改革に合わせて我が社でも残業時間を減らす取り組みをします!そのために残業時間を○時間を上限にするのでみなさん守ってください!といった話をこの前耳にしました。

この話を耳にした時みなさんはどう感じますか?
”会社が言うのだから仕方ない、頑張るか”なのか
”いやただでさえ残業時間でも収まってないのに無理だよ”なのか
とりあえず、この施策を続けると数字上は達成するかも知れませんが、
何か腑に落ちない気がします。

なぜ、腑に落ちないかというばシンプルで、”課題や原因がはっきりしておらず、根本解決になっているかが見えない”からです。

”残業時間がN時間である”と言うのは何かというと目にみえる”事象”です。
これ自体は”原因”でも”課題”でもありません。単なる事実です。

事象が表れる背景には必ず原因があり、理想と比較した時にギャップがあるのであればそれは”課題”に変わります。
そして、企画や分析、施策はその”解決したい課題”を元に組み立てられるはずです。なのにこの事象を起点にスタートしていると違和感を覚えます。

事象と原因と課題の構造図

解決すべき課題を特定することが重要である。

そこそこに質の高いアウトプットを出すためには、上記の”事象”ではなく、その裏にある”原因”を特定して解くべき課題を見つける必要があります。

ここの課題や原因が曖昧なまま進んでしまうと成果が出なかったり、あるいはどこかで歪みが生じて苦しむ人が出てきてしまうため、この特定をどれだけ丁寧にやれるかが重要になってきます。

冒頭の「Pythonなどを学ぼうと考えているのですが、やはりできるようになればいい分析ができるようになりますか?」に対して”そうとも限らない”と答えた理由がここにあり、

Pythonなどは効率よく作業を進めたり、高度な分析を行う”手段”として必要なのですが、そもそもの課題設定を間違えるとどれだけ分析や進め方がよくても、成果が出ないことになるからです。
あくまでもビジネスとして成果を出そうとする場合はまずは”解くべき課題を見極めること”をいつもオススメしています。

解くべき課題を見極める重要性のイメージ図

どうすれば解くべき課題が見えてくるのか?

では、どうしたら解くべき課題が見えてくるのか。
やり方はたくさんあります。BPMN図を書いて可視化する、探索的分析を1度行ってみる、ループ図を書くなどケーズに応じて適切な手法はたくさんの方がこれまでの歴史の中で考えてくれています。

ただ、個人的に一番シンプルで強力なのが”なぜを繰り返す”と言うことです(トヨタでも用いられている方法だそうです)。

なぜを繰り返す

やることは単純で、なぜその原因が生じてくるのか、なぜそれが課題なのかと何度も”なぜの問いかけ”を繰り返していきます。
これだけと言ってしまえばそれまでですが、これだけでもある程度の表面上の課題に見えるものに対して疑問をもち、本当に課題なのかと疑うことができます。

ただ、むやみやたらになぜと繰り返しても意味がないのである程度見切りをつける必要があり、その判断ポイントは以下の2点だと考えています。

見極めPoint

まず1つ目の根本に近い課題であることに関してはある程度納得がいく方は多いのではないかと思います。

根っこから原因を立たないで表面に見えることだけ解決していてもそれは対処療法にしかならないので、できるだけ根本にあり、いろんな事象の影響を与えているような原因を解決することが大事です。

ただ、実際のビジネスだといつも根本原因を解決できるとは限りません。根本原因が組織文化にあったり、施策実施までの納期があったり、あるいは技術的にまだ解決できなかったり。
いろいろと制約条件が出てくるのが常だと思います。

そこで大事なのが2点目で、実際に課題が解決できるものなのかということです。
本来は根本解決からできればいいが、現実問題を考えると落とし所を作る必要がある。そんな場合にできるだけ根本原因に近く、かつ現実的にも実現可能な課題を見極める必要があり、それが企画や分析で設定すべき課題だと考えています。

例えば、残業時間で行くと、なぜを繰り返せば人材育成や組織文化のような原因も現れてきます。しかし、人材を育てるのも文化を変えていくのもどちらも今日明日でできることではなく数年がかりでやっていくものです。

そんな時に1年で何かしら施策案を出してくれとなったらこれらの解決をメインでやりますとはしづらいものです。(とはいえ、根本解決を諮るための企画も動かすことが大事だとは考えます。個人的に。)

そうするとまずは業務量を分析したり、業務を可視化・整理して優先順位をつける、外部委託するなどが解決策として見えてくることになります(あくまでも仮説です)。このような感じで実際の制約条件に照らしながら解くべき課題を決めていくことが重要です。

右下に騙されずに右上を考えながら調整して青の領域になっていく

結局、伝えたいのは表面的な課題に見えるものにとりあえず手をつけて解決するというのは避けて、できれば”なぜ”を何回か自問自答して解くべき課題を見つけてほしいというところです。

ここさえ設定できれば、あとは何度も仮説を立てて、検証しながら進むだけなので間違った解決先に辿り着き効果が出なかったという状態をなるべく減らすことができます。

もし、これから企画や分析をやっていく必要がある方は是非意識してもらえたら嬉しいです。

まとめ

今回はコラムとして企画や分析において解決すべき課題を見極める大事さとなぜを繰り返すことを記事にしました。
これをベースにして原因を深ぼるのをアシストしてくれるようなプロンプトも次の記事で作成しているので興味があれば読んで試してください!

いいねとフォローもいただけると嬉しいです!

サポート費用は次の記事を書くための資金にさせていただいています。 ホワイトワーカーの在り方が問われていくこれからの時代にとって、考える職業の方々に価値あるナレッジを発信していくので応援よろしくお願いします! ※その代わり有料記事は作る気ないです。