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冬の高山 2020/12/7

JR東海の「ひさびさ旅割引」を使い、今回は岐阜県高山市を訪れた。この場所を選んだ理由として、高山の古い町並みや合掌造りを見たかったのと、30年走り続けてきた特急ワイドビューひだの車両が近々引退するため、今のうちに乗っておきたかったというのがある。新幹線と特急で往復しても料金は1万円足らずで済むのだから、本当にこのプランは神だ。

始発の新幹線に乗り、7時半に名古屋に到着。在来線のホームで待っていると、特急ひだがブォーッとエンジンを吹かしながら入線してきた。子供の頃にVHSで観ていた車両が今も動き続けている姿はとても逞しい。月曜日だったので車内は人がかなり少なく、名古屋から高山までの間シートを倒して思いっきり寛ぐことができた。

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高山に着いたのは午前10時過ぎ。ここは市街地でも標高が500mを超える山岳都市で、遠くには真っ白な北アルプスの山々を見渡せる。だからきっと物凄く寒いんじゃないかと思って防寒対策はしてきたのだが、案外街中はそれほどでもなく、むしろずっと歩いてると防寒具を外したくなるくらいの涼しい気温だった。

この旅行商品に付いてきた「飛騨高山1日フリー木っぷ」という立て札のような形の乗車券を使い、先ずはバスで「飛騨の里」に向かった。先日下呂温泉に訪れた際に「合掌村」という合掌造りの野外博物館があったが、ここ飛騨の里もそれと似たような所である。とは言っても飛騨の里の規模の方が体感的にとても大きく、中に入ると巨大な池の奥に若干霞がかった巨大な茅葺きの家が佇むという、壮大な光景が目に飛び込んでくる。また、合掌村には食事処やお店があったりしたが、ここにはそういったものは無く、暮らしとしての、故郷のような空間をつくることに重きを置いてるように感じられた。館内では多数の古民家に入ることができ、家によって違った生活があったことが分かる。この時は他の観光客が10人も居なかったので、とても清々しい気分で散策できた。駅からバスで6分の距離であり、歩いても来れる近さだ。昼は一旦街に戻り、高山ラーメンの店と高山陣屋という代官所を訪れ、古い町並みも少しだけ歩いた。

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午後はシャトルバスでホテルアソシア高山リゾートの温泉に入りに行った。ここの温泉はかなり高層の所にあり、露天風呂からは高山の街と真っ白な山脈を眺められる。来たときは他に誰も居なかったので、温泉と風景を一人占めするという最高の一時だった。これで疲れも一気に回復。

それから街に戻り、再び古い町並みの散策をした。日が暮れかけの頃だったので、店はほとんど閉まっていてどこかに寄ることもなかったのだが、古い町並みは昼より暗くなってからの方が見ごたえがあると思う。

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夜の古い町に観光客はほとんどおらず、店じまいをする音の方がよく聞こえる。歩いているとどこからともなく美味しそうな匂いが漂ってきて、それは外食店として出す料理ではなく、家庭料理の匂いのようだった。皿を洗ったり片付けたりするときのカチャンという音もちらほら聞こえてきて、観光地として有名なこの町の古民家一つ一つにも家庭があり、生活があることを感じ取った。それは当たり前のことかもしれないが、自分にとっての非日常的な場所は、誰かにとっての日常的な空間でもあるのだということが、この町にいると犇々と伝わってくる。初めて来た場所なのにこんなノスタルジーな気分にさせられたことはない。何はともあれこういった古い町並みというのは、昼と夜とでは雰囲気がガラリと変わるので、余裕があれば両方の時間帯に訪れたいものだ。

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お土産には高山ラーメンと飛騨牛肉味噌を購入。肉味噌はご飯にかけると五平餅のような味になるので、好きな人にはとてもお勧めできる。

高山市は本州の奥地にあるため、中々行きづらい場所ではあるのだが、格安のプランのお陰で高山の魅力に触れることが出来たし、しかも終始三密を避ける形で観光することが出来たのでとても良かった。しかし、高山市というのは日本で最も面積が広い自治体であり、今回行ったのはほんの僅かな一部に過ぎない。街を遠く離れれば奥飛騨温泉郷や標高の高い山々などがあるので、そちらにも行ってみたい。

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