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突然ふりかかってきたW介護(2)

7年前の突然の出来事から始まります。


外階段の1番上から転落してしまった同居の義母。(当時75歳)
救急車で病院へ。

病院到着後、義母は慌ただしく検査室に運ばれていきました。


医師から出た言葉は、思いもよらないものでした。

「両腕両足、相当の範囲で骨折しています。大腿骨も折れています。」

「重傷です。特に左腕はひどい粉砕骨折で、手の施しようがありません。

「手術できませんので、今後左腕はぶらぶらの状態になってしまうでしょう。」

(えーっ!痛がってなかったのに、そんなに悪いの?)


医師は続けておっしゃいました。
「転院という選択方法もありますよ。」

医師自ら「転院」という言葉が出たのには驚きましたが、
包み隠さずハッキリと状況を言っていただいたことに感謝しております。


私はすぐに転院のお願いをしました。
以前私が熱中症で搬送された総合病院を選びました

実は初めに救急隊の方にその病院をお願いしたのですが、その時は受け入れができなかったのです。


再び義母と救急車に乗り、転院先で緊急手術になりました


手術が終わるのを待っていると、息子から電話が…

「おじいちゃんが、お母さん(私のこと)はどこにいるの?って何回も何回も聞いてきて大変やわ!」

(うあっ、おじいちゃんどうしよう?!)

私がなんでもやってくれると思っているのか、
認知症の義父は、私ばかりを呼ぶようになっていました。


(いつ家に帰れるかわからないし、息子一人におじいちゃんを看させるのは無理やなぁ…、そうや!ケアマネージャーさんに相談しよう。)


あいにく頼りのケアマネージャーさんはお休みでした🤣
しかし、電話先のケアマネさん所属施設の方に事情を話したところ、


「今日はうちの施設で1泊してもらいましょう。」

「敷地内のデーサービスに来ていただいているので、
お義父さんはこの場所に抵抗はないと思いますよ。」

「今から家にお迎えに上がります。お昼ご飯もうちで食べてもらうように手配いたします。手続きは後日でかまいませんから。」


助かりました!ありがたくて涙が出ました。

7年近く経った今でも、その時のことを思い出すとジーンと心が熱くなります。機転をきかしていただいたスタッフさんに、今も深く恩を感じております。

すぐに息子に電話をし、義父の着替え等を準備するように伝えました。


その後、施設の方から私のところへ3、4回電話がありました。
「大変な時に申し訳ありません!お義父様がどうしても電話してほしいと、何度も何度も言ってこられますので……。」


義父:「なんでこんな所におらなあかんのや!?家に帰らせてくれ!なんでも自分の事は出来るから。」(そんなわけないでしょ)


私:「おばあちゃんが今、大怪我して大変やねん!頼むから今日だけは我慢して。」

舅:「いやや〜!絶対に帰る!」

この繰り返しです。



やがて長時間にわたる大手術が終わりました。

手術は成功!
ただ左腕に3箇所大きな穴をあけ、外から太い金属を入れて固定しているとのこと。

また、足にはボルトを3本入れたとのこと、
両手足の指も骨折しており、包帯やギプスやらですごい状態でした。

義母は数日間をベッドの上だけで過ごしました。

それでも手の施しようがないと別の病院で言われていましたので、
感謝しかありませんでした。



義母は75歳になるまで1回も入院経験がありません。
いきなりこの日から、約半年間の長い入院生活が始まります。

そのストレスで、
とても明るかった義母が、退院する頃には鬱になってしまいました。


認知症悪化で自分の思いだけを異常に訴え続ける義父に振り回される中、
私は更に、大怪我の後遺症が残り鬱も発症した義母をも、家に迎えることになります。


3年間余り私は最後は夢遊病者のようになって、
義父母二人の介護をしておりました。


10年間お世話をした義父が入院し、
亡くなったことにより、W介護は終了いたしました。

今ならわかります。私一人で二人の介護をするのは無謀な事でした。
しかし当時は深く考えもせず、硬い決心をしてしまったのです。

「今こそ私が頑張る時、親孝行すべき時や!絶対に私は乗り越えてみせる~!」


……こんな思いも、時と場合によります。数年経ってボロボロになってから、やっとわかりました。

しかし身をもって介護の辛さを味わったことは、今後の私の人生において、無駄ではなかったように思います。


なぜなら介護に直面されている方々のお気持ちを、少なからず察することができると思うからです。


たおたおの壮絶介護体験シリーズは以下からどうぞ。
↓ ↓

拒絶の日々…孤立していった私
介護疲れで悲鳴をあげた心と身体
突然ふりかかってきたW介護(1)
突然ふりかかってきたW介護(2)


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