発達障がい者はピュアーな心の持ち主なのです。
50年以上生きてきた私。
息子を通して、これまで全く知り得なかった発達障がいという未知の世界を深く理解しつつあります。
息子は精神科で「認知行動療法」を受けています。
臨床心理士さんからご指導をいただいています。
まず息子が記入したアンケートを基に、状態を分析していきます。
ASD(自閉症スペクトラム)とADHD(注意欠陥多動性障害)の両方の症状があるらしい息子。
彼の話の中で、知らなかった事がいくつも出てきました。
例えば面接の時に
「ドアを3回ノックする」と聞いたとします。
私なら、別に何も考えずに言われたとおりにします。
しかし息子の場合は……
「なんで3回ノックをしなければならないのだろう?」
「3回にどんな意味があるんだろう?」
と考え込んでしまい、結局はできなくなるのだそうです。
もしそこで、息子が理由を具体的に知ることができれば、全く問題なくできるのだそうです。
「これは○○だから××するんですよ。」と説明を受ければ、
「はーい!」と素直に言われたことができるようになるのだそうです。
なんてめんどくさいやつ!と私は感じてしまいました。
臨床心理士さんは
「純粋、ピュアーな心の持ち主なんですよ。」と表現してくださいました。
他には文章を読んだり書いたりは全く問題なく、むしろ得意なのですが、
耳から入ってくる、音としての言葉は整理が苦手です。
複数で話し合いになると、誰が誰に対して言っているのか分からなくなるそうです。
「就職活動の際のディスカッションが苦しかった。」
と息子が言っていた理由がようやくわかりました。
今まで息子に対して私は、
「常にメモを取りしなさい!」といつも言ってきました。
しかしメモをとるという事は、まず初めに聞いた内容を頭でまとめて整理し、それを書き出さなければなりません。
音が整理できないという息子にとっては、それは苦しみでしかありませんでした。
他にも気づいたことがあります。
「社会に出たら、たとえ苦手な人とでもコミュニケーションをとっていかなければならない!」と強い口調で息子に言っていた私です。
よくよく考えてみると、息子の心の中は
「みんなが出来ることでも自分だけができない!」
「僕はバカなんや~!」という強い劣等感で充満しています。
そんな状態で、すんなりとコミュニケーションの輪の中に入っていけるわけがないと、やっと私は気がつきました。
「私が苦労して身につけた事は絶対だ~!」という、間違った私に気がつきました。その考えこそが傲(おご)りです。あたりまえが、あたりまえではありませんでした。
自閉症スペクトラムの人は、脳から出る信号が定型発達(発達障がいではない)の人よりも多く、枝葉の事が非常に気になり、疲れやすい傾向が強いそうです。
その枝葉の細かい部分にこだわるところを、一つの才能として活かしている人も少なくないそうです。
私:「発達障がい者とそうでない人の境界線はどこですか?」
臨床心理士:「色がだんだんと変化していく感じです。はい、ここです!という境目はありません。」
「症状が原因で、生活に支障があるかどうかが大きな決め手でしょうか。支障がある人にはサポートを受けるいろいろな制度があります。」
これまで全く経験していない未知の世界を垣間見た私です。
今後は、息子と共に臨床心理士さんのアドバイスをよくお聞きして、息子に合ったやり方で、ソーシャルスキルを学んでいきたいと思いました。
まずは彼が、自分自身に自信を持つことが第一歩だそうです。
今さら焦ってはいません。なんだか良い方向に向かっているのかな?と、意外に明るい気持ちでいます。
たおたおです。よろしくお願いいたします。
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