ダメクジラ

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    ツイキャス配信「禍話」を自分なりに整理しながらリライトしています。多少、創作入ってますが、悪しからずお願いします。楽しんでいただければ幸いです。

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[禍話リライト]まだ出る[禍話 第五夜]

実話怪談を集めるの、もうやめようかな。 仕事も人間関係もうまくいかない。そんな日々が続いた帰りの電車で、座席に身を沈めながら思いついた。幼少期の心霊体験をきっかけに何かにとりつかれたように怪談を蒐集していたが、そろそろ限界かもしれなかった。 この世には私たちの常識では測れないような存在が確かにいる。そんなロマンを追い求めているのが急に馬鹿らしく思えた。ネットや大多数の人が言うように幽霊やお化けは目の錯覚や気の迷い、脳の欠陥だという考えが脳幹にじっくりと染み渡っていく。

    • [禍話リライト]女の路地[THE禍話 第1夜]

      「おなかがすいた」 夜中に子供が起きだして泣くので、仕方なくコンビニに行くことにした。 時計を見るとすでに丑三つ時。 夫は夜勤ですでに家にいない。 夜中に壁の薄いアパートで子供の泣き声を響かせるわけにもいかなかった。 都会で夜中に歩くのは怖い。 早く帰ってしまいたかったので、近道を通ることにした。 コンビニは近道である路地を抜けた先の大通りにある。 路地を出てすぐ横にあるので、路地を通るだけで30分ほどの時間短縮になるはずだ。 路地に差し掛かって一息つく。 自転車がすれ

      • [禍話リライト]廃墟の鏡[禍ちゃんねる 新春初禍話スペシャル]

        車を走らせていると、徐々に林の風景が増えてきた。 時折、木造家屋を通りかかるが、その多くは玄関や屋根が朽ちかけている。まだ昼前であるにもかかわらず、電気のついている家もない。 廃集落の中を抜けていくと、少しの坂を上ったところに今回の探索の目的である廃校が見えてきた。 いつ廃校になっただとか、何が原因だとかはネットで調べても分からなかった。しかし、これまでの集落の様子から人口減少に伴う就学児童の減少が原因であることは察しがついた。 朽ちた校門の残骸を跨いで敷地内に入る。

        • [禍話リライト]夜の妻[真・禍話 第二夜]

          新卒入社二年目の僕の同僚には既婚者がいる。 大学卒業後にすぐ入籍した彼はしっかり高身長のイケメンだった。しかも有能で入社後すぐに仕事を覚え、バリバリとこなす。物腰やわらかで上司からの覚えもいい彼と低空飛行で何とか業務をこなしている僕とでは格の差みたいなものを感じて気後れしてしまい業務連絡ぐらいでしか話すことはなかった。 そんな彼と会社の飲み会のふとした瞬間に一対一で飲むことになってしまった。 僕と彼の共通点なんてない。変な汗をかきながら最近の調子など当たり障りないことを

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        [禍話リライト]まだ出る[禍話 第五夜]

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          [禍話リライト]異道[禍話R 第三夜]

          (ほろ酔いだけど、家も近いし自転車で帰ってしまおうか) もうすっかり夜も更けた故郷の町。 久しぶりの同窓会で懐かしの面々に会った楽しさも手伝ってか、大分頭が緩くなっている感じがする。 同窓会の最後にうたった青春時代の流行歌を口ずさみながら、ゆったり街を見てはキコキコとペダルをこいで帰るのはノスタルジックな感じがした。普段はやりがいのない仕事に無理矢理やる気を出しているのに、当時は勉強以外は何でも楽しく精力的に過ごせていた。家々の間を抜けながら思い出を楽しんでいると、ふと

          [禍話リライト]異道[禍話R 第三夜]

          [禍話リライト]深夜のファミレス[燈魂百物語 第零夜]

          これで机を拭いて回るのも何周目になるだろうか。 布巾をたたみつつ店内を見渡しても男子大学生らしきグループが窓際の席でダル気に話しているだけだ。今日も特に仕事はなさそうだな、と独り言ちながらボックス席に挟まれた通路を歩く。 一応24時間経営ファミレスの系列店ではあるが、交通の便などの事情で昼にさえ客があまり来ないような店である。深夜二時ともなればなおさらで一組の客がいるだけでも相当な珍事だった。 24時間営業など辞めてしまえばいいのにとも思うが、深夜だけに時給も高く楽な仕

          [禍話リライト]深夜のファミレス[燈魂百物語 第零夜]

          [禍話リライト]冷蔵庫の世界[燈魂百物語 第零夜]

          幼稚園を卒業したら学区の関係で家から少し遠い小学校に通うことになってしまった。 自転車で一時間弱かけて着く小学校に顔見知りはいない。他の皆は顔見知りのようで、校門では多くの生徒たちが挨拶し合い、喜ばしくふざけ合っていた。 そんな中、僕にはただの一人も知り合いがいなかった。 朝礼を待つ間も一人ポツンと座って、忘れ物がないか確認するふりをしていたし、授業が始まっても誰かとヒソヒソ話をすることもなかった。友達を作ろうにも、同級生で顔見知りではないのが僕だけのようで何処か遠巻き

          [禍話リライト]冷蔵庫の世界[燈魂百物語 第零夜]

          [禍話リライト]夢の中の人形[禍話 第六夜]

          いつもと変わらない家族と囲む食卓で、俺は無性にイライラしていた。 部活の苦労話をさえずる妹。苦笑いしながら相槌を打っている父。テーブルに並べられている母が得意だという麻婆豆腐。調理器具を洗っている母。 いつも聞いているはずの家族の声や生活音がうるさすぎて頭がどうにかなりそうだった。このままここに居たら怒鳴ってしまうか、暴力をふるってしまうに違いない。手早く料理を済ませてさっさと部屋に帰って宿題でもしよう。必死に飯をかき込んでいると父が口を開いた。 「そういえば、お前の方

          [禍話リライト]夢の中の人形[禍話 第六夜]

          [禍話リライト]公園の集団[禍話 第六夜]

          「町内会長……、いい加減あの件何とかなりませんか?」 朝早く開かれた定例の町内会議は、中年の主婦の非難まがいの口調から始まった。 「あぁ、あの件はもう警察に連絡していまして。見回りして頂けるとのことでしたので、こちらで出来ることは全て…」 「前回もそう言って!!町内会の役割、馬鹿にしてるんですか?!」 「いえ、そんなことは……」 あはは、と愛想笑いをする。ヒステリックに騒ぐ主婦を周りにとりなしてもらいながら、例の件に関して現状確認をすることになった。 例の件とは町

          [禍話リライト]公園の集団[禍話 第六夜]

          [禍話リライト]トンネルの宴[禍話 第六夜]

          個人で経営している塾が閑散期に入ってどうにも暇である。久々に実家のある北九州に帰省することにした。 あくまで個人でやっているので、世間一般の休みとは微妙にずれている。せっかくなので鈍行を利用してのんびり帰ってやろう。 ガタンゴトン ガタンゴトン 都会から徐々に田舎に移り変わっていく景色を楽しみながら、久しぶりにくつろいだ気持ちになれた。こういうゆったりとした時間は久しぶりである。乗客のスーツの割合も少なくなってきて、緩んだ田舎の空気の割合が増えてきた気がした。 そろ

          [禍話リライト]トンネルの宴[禍話 第六夜]

          [禍話リライト]ロットリエスピン [禍話 第六夜]

          「先輩、ロットリエスピンって言葉知ってますか?」 会社で昼休憩を取っていると大学時代の後輩から電話がかかってきて妙なことを聞かれた。 「ロットリエスピン?何かの専門用語?」 煙草を吸いながら何気なく聞く。 「いや、僕もよく分かんなかったんですけど、変な夢見たんですよ」 そういって彼は電話越しに語り始めた。 仕事から帰って疲れのままに布団にもぐったら、なんと地元の小学校の机に小学生の姿で座っている。周りには見覚えのあるような生徒たちが熱心に授業に聞き入ってノートを取

          [禍話リライト]ロットリエスピン [禍話 第六夜]

          [禍話リライト]野焼きの娘[禍話 第五夜]

          母が亡くなってから10年も経ってしまった。 お盆の時期になったので、大分県fが丘にある実家に帰省した。父と近況を話してから、仏壇の前に正座する。 仏壇に飾られた写真の中で在りし日の母が静かに笑っている。 ロウソクを灯し、鈴を鳴らす。 りーーーーーーーーん……… 部屋に鈴の音が溶けていく様を聴いているうちに、昔のことが思い出された。 母はとても厳しい人だった。 行儀が悪いと自分のことをぶったし、テストの点が悪いと烈火のごとく怒った。キンキンと頭に響く金切り声で怒鳴

          [禍話リライト]野焼きの娘[禍話 第五夜]

          [禍話リライト]アイスの森[禍話 第五夜]

          「行こうぜ、アイスの森」 今年、就職してしまう先輩がまじめな顔で言い放った。 「嫌ですよ、一人で行ってください」 「何でそんな冷たいこと言うんだ。先輩が頼んでるんだぞ」 不機嫌そうにする先輩にため息が出てしまう。 「先輩が言ったんですよ?”アイスの森”は私有地で、入ったら通報されるって。僕にも将来があるので、絶対行きません」 僕は、頑として譲らなかったが、先輩があまりにもしつこく頼んでくるので、面倒くさくなって、つい同行することを承諾してしまった。 「行くのはい

          [禍話リライト]アイスの森[禍話 第五夜]

          [禍話リライト]人のいい佐藤君[禍話 第五夜]

          大学を卒業してから、通勤の便のために故郷から都内に引っ越した。 父にも母にも、ものすごく心配された。 「お前は優しすぎるから、東京行って変な奴に騙されたりしないように気をつけろよ?世の中、良い人の方が珍しいんだから」 僕ははいはい、とか適当に返事しといたけど、そんなことはないと思う。どんな人だって、真心で接していれば、きっと心を開いてくれる。そのためには、きちんとコミュニケーションをとることが大事だ。 例えば、円満なご近所付き合いのための挨拶は大切だ。ちゃんと引っ越し

          [禍話リライト]人のいい佐藤君[禍話 第五夜]

          [禍話リライト]踏切の音[禍話 第五夜]

          俺のバイト先のコンビニで、Aさんが無断欠勤してからもう一週間になる。 Aさんはそんなことをするような人じゃない。 Aさんはバイトながらに尊敬できる仕事人だった。性格は気さくで、温厚。仕事も効率的にこなし、怒ったところは見たことがない。 店長にも信頼されていて、右も左も分からないような新人は、みんなAさんに教育されて、お世話になっている。俺なんか、新人の頃に厄介客の接客を代わってもらわなければ、こんな仕事辞めてたかもしれない。 とにもかくにも、そのコンビニはAさんのおか

          [禍話リライト]踏切の音[禍話 第五夜]

          [禍話リライト]雛人形[禍話 第五夜]

          大分県、fが丘に引っ越してから、一か月たった。 お父さんとお母さんは、ずっと一軒家に住みたがっていたので、狭いアパートから引っ越せて嬉しいみたいだった。 新居は、一階建てだけど、五人家族で使うのに十分なスペースがあって、清潔な感じ。僕と弟は広い居間で遊んだりして嬉しかった。でも、三歳の妹は新しい家が嫌だったみたいで、グズッたり、夜泣きしたりすることが多くなってしまった。 両親も、なんとか機嫌をよくしてもらおうとするけれども、引っ越した直後で、お金も時間もないらしく、困っ

          [禍話リライト]雛人形[禍話 第五夜]