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#37 キャンプについての愛を語る

 外で食べたり飲んだりする食事は、なんでこんなに美味しいのだろう、と解き放たれた空間の下にいる時にわたしはいつも思う。あたりは森や川や海に囲まれており、時折虫の声や水が流れる音が聞こえてくる。

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Shall we camp?

 以前より友人のスケさんから「きみはキャンプやったらハマるから、絶対道具買ったほうがいいよ」とずっと言われて続けていて、わたしはそのたびに「んーキャンプかぁ。面白そうだけど、お金がなあ」と言ってのらりくらりと交わしていた。

 要は、ちょっとしたハードルを抱えていたのである。外で何かやるなんて、撤収がめんどくさそうや、と元来ものぐさなわたしは飛び込むことを躊躇していた。なんなら、夜外で一晩過ごして体がべたついた感じになるのも嫌だ、くらいに考えていた。

 そんな思いを抱えながらも、ちょうどコロナになる半年ほど前くらいに、別のカメラ友達にキャンプに誘われた。正直最後いつキャンプしたのか思い出せないくらいだったのだが、その時の胸の高揚ときたら!なんだこれは、缶詰を使った簡単な料理でさえも美味しく感じる。何ものにも縛られていない感じがまた良い。

 気が付けば、わたしはその衝撃的な経験以来、貪るようにキャンプ道具を買い集めていた。もともと、アウトドア自体は好きだったのでmon-bellのカード自体は持っていた。

 ちょうどその頃、ゆるキャン△というアニメが流行っていて、リンちゃんという子が持っているテントがいいなぁと思い、即座に店舗で購入した。所謂、ミーハーと呼ばれるやつである。コロナ禍になって、同じようにミーハーなキャンパーが増え始めた頃合い。そのブームに乗っかる形で、ゆるキャン△は映画化するらしい。
(あともう少しキャンプの面白さに気が付くのが早ければ…くぅ)

 寝袋はスケさんに以前いただいていたので、テントのほかは必需品というと椅子である。ローチェアの界隈だとHelinoxがそれなりに知名度高いのだが、何せお高い。うん、結構高い。今はブランドにこだわらなければ通販ショップで廉価品を買えるので、素晴らしい時代になったもんだ。俗にいう、パチノックスというやつである。

 それからガスバーナー。OD缶とCB缶という二つの種類があって、よくスーパーとかホームセンターとかで見つけることができるのはCB缶というタイプ(カセットガスボンベの略称だったのか……)。わたしは当時なぜか血迷ってどちらのタイプも買ったのだけれど、結局今は使い勝手の良いCB缶タイプで落ち着いている。

 とまあわたしがこれまで買ってきたものをグダグダと書いてしまっても、キャンプの面白さを伝えることはできなさそうなので、とりあえず最近いった中で思ったことについてつらつら書いていこうと思う。

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ソロキャンかグルキャンか

両天秤にかけているイメージです。

 キャンプのスタイルに関していうと、おそらく人の数ほどあるのではないだろうか。もともとわたしは最初グルキャン(グループキャンプ)から始まり、暖かい焚き火の中で友人たちと語らう時間に愛おしさを感じていたたわけだが。人によっては、キャンプの中で求めるものも探しているものも千差万別だ。そこがまた、面白い。

 グループキャンプはこれまでどちらかというと、みんなキャンプ道具を持っているパターンが多く、とりあえず食べるときはみんな一緒、寝るときは各自それぞれのテントで寝ましょうねというスタイルだった。まあ、それなりに気楽な感じだったわけだ。

 それが最近になって、このキャンプで食べるご飯の美味しさを他の人にも伝えたい!と思うようになり、あまりキャンプ行ったことのない人に対して気が付けば「Shall we camp?」と口癖のように言うようになってしまった。そうすると、ソロテントだけでは物足りなくなり、勢い余ってファミリー用のテントを買った。チャリンチャリン。

 これまでどちらかというと、誰かと一緒に行くときも手間暇かからない刺身とか缶詰とかが多かった。それがせっかく来てくれるんだから楽しんでもらいたい!というマインドに切り替わり、最近ではスパイスを持参してカレーを作るように。カレーを食べた時にみんなが「美味しい!」っていってくれるのがこそばゆくて、でもそれがモチベーションになったりして。

 思えば、カレーも写真も、今までひとりで完結することが多かったけれど、ぶつ切りになった事柄がキャンプを通じてようやくひとつの線になってきたような感覚を覚える。

 こんなにも誰かに喜んでもらえるのって楽しいのか。キャンプをするようになってから、沸々と奉仕の心が芽生えたような気がする。

 これまたスケさんから貰ったツーバーナーのコンロを使って、料理をする。もう10年くらい使い古しているせいか、あちこち錆だらけなのだけど未だ現役でバッチリ使える。

 せっかくなので、わたしがよくキャンプで作るお手軽に作ることのできるカレーのレシピを載せておこうと思う。どなたか作る機会があれば、食レポをしていただけると嬉しいです 笑

◆お酒が進む!サバ威張るカレー
【用意するもの】
・油 小さじ2
・にんにく 1カケラ
・しょうが 1カケラ
・トマト缶 200g
・たまねぎ 1個
・サバ缶 2つ
・なす 2個くらい
・水 300ml
・塩 小さじ1
★パウダースパイス
 コリアンダー 大さじ1、ターメリック 小さじ1、
 チリペッパー小さじ1、クミン 小さじ1
(他にも好みに合わせてフェヌグリーク、フェンネル、ディルあたりを入れてもバランス取れるかと思います)
【作り方】
①フライパンに油をひき、みじん切りにしたにんにく、しょうがを入れる。
②薄くスライスしたたまねぎを入れ、飴色になるまで中火で炒める。
③トマト缶を入れて水分を飛ばした後、弱火にしてスパイスと塩を入れる。
④サバ缶とナスを投入し、水を入れる。
 トマト缶を使って、目分量3/4程度まで入れて流し込むと手間ないです。
⑤10分ほど煮込んで完成。最後、しょうがの千切りを添える。

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 とは言いつつも、ソロキャンはソロキャンで楽しい。何しろ一から最後まで自分でプランを練ることができる。何を持っていくのか、何を作るのか、何をするのか。ひとつひとつ計画していく自由さ。好きなことを、なんだってできるのだ。

 どうも夜、ムードが欲しくてコールマンの「ガソリンランタン」を買ってしまった。いつの間にかかつて面倒だと思っていたメンテナンスも、そのかける時間含めて愛おしいと思うようになっていた。ランタンを点けながら、本を読んだり映画を観たり。ホゥホゥと、どこからか鳥の鳴き声が聞こえてくる。ああ、この時間が好きだなぁ。

*

 次の日の朝、ゆっくりとテントから這い出して、ガスバーナーを使ってホットサンドとスープを作る。ひとりで行くとどうしても、分量がわからなくなってしまうのが難点だ。キャンプの夜と朝は寒い。これ、本当に自然を舐めたらあかん。

 簡易的なミルでコーヒー豆をその場でガリガリとひいて、粉の状態でドリップさせる。ポタポタと雫がポットの中に落ちて、芳醇な香りが鼻口をくすぐる。朝の静けさと涼しさが頬を撫でて、頭の中が次第にクリアになっていく。今日も、また新しい1日が始まるのだ。

 爽やかな1日の始まりの中で、大切な人たちのことを考える。原始人が固定された住居を持たず、狩りに明け暮れていた日のことを想像する。彼らも誰かに対して愛を感じていたのだろうか。遠く過ぎ去った日のことを考えていたら、くしゅんとくしゃみをした。

 愛くるしい時間は、こうしてゆっくり流れていく。漣のごとく。


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