Tadahito

読書と昼寝をこよなく愛す逸般人。

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最近の記事

上枝美典「『神』という謎【第二版】」感想

◇要約 1 論理実証主義の宗教批判 ・論理実証主義=「科学的でないものは無意味だ」という主張。 →意味のある命題=真偽が検証できること。 ・検証原理=言語によって表現されるものは、論理的なものであるか、または、経験的に検証可能であるときに限り、意味を持つ。 ・「神は存在する」 有神論=有意味、真 無神論=有意味、偽 不可知論=有意味、真偽不明 論理実証主義=無意味、真偽判断不能 ・論理実証主義の問題 →検証原理は自然法則のような全称命題を排除し、荒唐無稽な「A∨B」命題を受容

    • 第9話「あと一歩、キミに踏み出せたなら」感想

      1 対GUND兵装「アンチドート」と「対アンチドート兵装」 ECM:Electronic Counter Measuresの略。 電子的妨害手段のことで、電子的に敵レーダーを妨害し、レーダーの精度を低下ないし使用不可にする装置全般を指す。 初期はレーダー周波数全域を妨害するものが主流だったが、現在はレーダー波を分析して必要に応じた妨害を行うものが主流となっている。 ECMへの対抗手段をECCM(Electronic Counter Counter Measures)と

      • 田口茂・西郷甲矢人「<現実>とは何か」感想

        ◇要約 1 実体から不定元へ ・「物」=いつでも誰にとっても、つまりどのような観測者にとっても同じようにある。 →「観測者から独立である恒常性」 ・「場」=誰がどのようにそれを見るかによって変わってある。 →「観測者をも考慮に入れた変換規則の恒常性」 ・実体論=現象の背後に「真なる実体」を仮定する。↔️「現象に即す」 ・法則=「二度と繰り返すことのできない」、「出来事の間の置き換え」に立脚して物事を見ること。 →「問いがなければ答えはない」 ・自然の「現れ方」=「それ自体と

        • 妄想ネタ「えせ性被害行為対応の手引」(案)

          〇参考:法務省「えせ同和行為対応の手引」https://www.moj.go.jp/content/001361670.pdf 【えせ性被害行為とは】 性被害の解決に寄与しているかのように装って,企業・個人などに不当な利益や義務のないことを要求する行為です。 えせ性被害行為は,女性差別に対する誤った認識を植え付け,偏見や差別を助長する要因となっており,女性差別の解決を阻害するものです。 安易な妥協は,被害の拡大と差別の助長につながります。女性差別の解決に向けて,えせ性被害行

        上枝美典「『神』という謎【第二版】」感想

          「えせ同和行為」覚書

          ◇引用 法務省:「えせ同和行為」を排除するために https://www.moj.go.jp/JINKEN/jinken86.html 〇「えせ同和行為」とは  「同和問題はこわい問題である」という人々の誤った意識に乗じ,例えば,同和問題に対する理解が足りないなどという理由で難癖を付けて高額の書籍を売りつけるなど,同和問題を口実にして,会社・個人や官公署などに不当な利益や義務のないことを求める行為を指します。えせ同和行為は,国民に同和問題に関する誤った意識を植えつける大き

          「えせ同和行為」覚書

          第8話「彼らの採択」感想

          https://g-witch.net/story/8/ 1 プロスペラ発言の信頼性評価  今回、スレッタ同伴でミオリネがプロスペラと会談し、シン・セー開発公社の「GUND-ARM」関連技術の供与を要求しました。  しかし、プロスペラは、 ・「GUNDフォーマット」はブラックボックス部分が多く、実用化には技術解析から始めなければならない。 という趣旨の発言をした上で、碌に説明もせず、関連データ提出だけしました。  また、スレッタの疑念や質問に対し、明らかにはぐらか

          第8話「彼らの採択」感想

          第23回哲学カフェ活動報告 テーマ:「芸術」とは?

          ○日時:2022年11月26日(土)13:00~14:00 ○場所:「Cafe伊太利庵堺東店」 ○参加者 淡野(40代男性) Mさん(20代男性) Tさん(30代男性) ウルフさん(50代男性) ○テーマ:「芸術」とは? ●「芸術」を巡る議論 ・古代において、「芸術」を巡る議論はプラトン「国家」の詩人追放論が典型です。「イデア」を分有する個々の「事物」は「イデアの模倣」であり、「芸術作品」は「事物の模倣」という意味で、「二重の模倣」であるが故に、人を真理から遠ざけるもの

          第23回哲学カフェ活動報告 テーマ:「芸術」とは?

          第7話「シャル・ウィ・ガンダム?」感想

          1 「GUND-ARM」を巡る三社の思惑  冒頭の会議シーンで御三家のCEOが揃い、何らかの合意に達します。  前後の状況から考えると、 ・グラスレー社:デリング総裁の「GUND-ARM」に対する態度(容認/否認)を確認すること。 ・ペイル社:「GUND-ARM」開発部門を尻尾きりに使いつつ、グループ内の「GUND-ARM」開発状況の確認及び妨害すること。 ・ジェターク社:二社に協力しつつ、自社の「GUND-ARM」開発の遅れを挽回する機会を掴むこと。 ではないかと推

          第7話「シャル・ウィ・ガンダム?」感想

          カロル・タロン=ユゴン「美学への手引き」感想

          ◇要約 ○美学前史 ●テクネー/アルス ・制作に関わる実践的知識と技量の総体。 →芸術と技術や職人技が未分化。 ●プラトン ・芸術の二面性=神の賜物↔️二重の模倣 ・美の形而上学=真・善・美の一致→美=知性的なこと≠感性的なこと。 ●アリストテレス ・芸術=規則と共に生産する能力。 ・模倣描写=「可能なもの」を扱う↔️「存在しているもの」を扱う。 ●トマス・アクィナス ・美の3つの特性=完全性+調和+光輝。 ○美学の誕生 ●趣味の発明 ・味覚の比喩的用法→趣味。 ・

          カロル・タロン=ユゴン「美学への手引き」感想

          第6話「鬱陶しい歌」感想

          1 「21年前」  ベルメリアとプロスペラの会話から、 ・前日譚「プロローグ」が本編の21年前 という可能性が浮上しました。  この結果、 21年前に4歳の誕生日を迎えたエリクト:現在25歳 スレッタ:経歴上は17歳 ということになり、別人説の可能性が高まってきました。  勿論、 ・コールドスリープ等、肉体年齢を数年間止める措置が取られた。 ・その間の記憶は本人にはない。 等の可能性は排除できないでしょう。  従って、現状では続報待ちということで、判断保留

          第6話「鬱陶しい歌」感想

          源河亨「『美味しい』とは何か 食からひもとく美学入門」感想

          ◇要約 ●伝統美学 ・高級感覚=視覚、聴覚 ・低級感覚=嗅覚、味覚、触覚 ・美的経験=高級感覚に基づく経験 →低級感覚は無関係。 ●媒介⇔直接 ・媒介=視覚(光)、聴覚(大気) ・直接=嗅覚、味覚、触覚 ●多感覚知覚 ・人間の知覚は複数の感覚情報を統合したもの。 →「純粋な知覚」は存在しない。 ●多感覚錯覚 ・腹話術効果:空間認識=視覚>聴覚。 ・フラッシュ効果:時間認識=視覚<聴覚。 ・ポテトチップス実験:咀嚼音を変化→食感が変化。 ・チョコレート実験:丸みを加えたり

          源河亨「『美味しい』とは何か 食からひもとく美学入門」感想

          佐々木健一「美学への招待 増補版」感想

          ◇要約 〇近代美学 ・美学=「美を表現するもの」としての芸術と、芸術を鑑賞する「美的体験」を基盤たる感性的認識と、その枠組である美的範疇等を考察する哲学。 〇センス ・感覚=身体の感じる能力。 ・感性=精神の感じる能力。 ・感性の性質=直接性、即時性、総合性。 〇ミュージアム ・Mouseion=古代ギリシアで信仰された学術・芸術の女神「ムーサイ」( Muse)の祀堂が学堂に発展したもの。 ・Musa=古代ギリシアの芸術の女神。複数形はMusai。 ・近世:様々な芸術品の

          佐々木健一「美学への招待 増補版」感想

          シェイクスピア「テンペスト」感想

          ◇筋書 ●開幕前状況 ・ミラノ大公プロスペローが、ナポリ王アロンゾーと自分を裏切った弟アントーニオによって追放され、娘ミランダと共に孤島に漂着する。 ・その孤島は魔女シコラクスの持ち物だったが、彼女は既に死去していた。残された彼女の息子、獣人キャリバンは言葉も知らない野生児として暮らしていた。 ・その孤島の樹木に妖精エアリアルが封印されていた。 ・プロスペローは、獣人キャリバンに教育を施すが、上手くいかず、魔術で束縛し、下僕として使役することにした。結果として、キャリバンか

          シェイクスピア「テンペスト」感想

          第5話「氷の瞳に映るのは」感想

          1 ペイル社の立場と方針  「GUND-ARM」禁止という協約があるにも関わらず、 ・自社で「GUND-ARM」を極秘開発。 ・「GUNDフォーマット」を利用した「強化人士」という人体実験実施。 等と、グループ内御三家の一家であるペイル社が極秘に協約違反をして非人道兵器の開発をしている状況です。  さらに、強化人士であるエランのボディメンテナンス及びガンダム・ファラクト開発を行っているベルメリアは、プロスペラを「先輩」と呼んでいたことから、 ・カルド・ナボ博士の思想

          第5話「氷の瞳に映るのは」感想

          第4話「みえない地雷」感想

          1 モチーフとジャンル  「ガンダム+学園もの」という異色さで話題となり、怒涛の展開で様々な層にも届いている本作ですが、何度も指摘している通り、基本モチーフは シェイクスピア「テンペスト」 であり、 復讐から和解へ/呪縛から解放へ というのがメインテーマだろうと推測しています。  その意味で、 表の主役:スレッタ・マーキュリー 表のジャンル:学園もの 裏の主役:プロスペラ・マーキュリー 裏のジャンル:企業謀略もの という二重構造で構成されていると解釈できるで

          第4話「みえない地雷」感想

          ジョン・フィンレー「1冊で学位 芸術史」感想

          ◇要約 ○「ものの見方」 ●ベンヤミン「複製技術時代の芸術」 ・芸術品↔️機械的複製 ・アウラ=芸術の真正性 ●形式主義 ・様式=「描写の形態」 ●図像学(イコノロジー) ・イメージを研究する学問。作品の主題やイメージの特定。 ●図像解釈学(イコノグラフィー) ・文化的文脈における視覚心像や関連する象徴を研究する学問。 ○芸術の起源=旧石器時代の芸術 ・動産芸術=彫刻された道具、立像等。 ・洞窟壁画=動物や手型等。 ・未分化な芸術? ○ルネサンス ・工房(ボッテ

          ジョン・フィンレー「1冊で学位 芸術史」感想