第4話「みえない地雷」感想

1 モチーフとジャンル

 「ガンダム+学園もの」という異色さで話題となり、怒涛の展開で様々な層にも届いている本作ですが、何度も指摘している通り、基本モチーフは

シェイクスピア「テンペスト」

であり、

復讐から和解へ/呪縛から解放へ

というのがメインテーマだろうと推測しています。

 その意味で、

表の主役:スレッタ・マーキュリー
表のジャンル:学園もの

裏の主役:プロスペラ・マーキュリー
裏のジャンル:企業謀略もの

という二重構造で構成されていると解釈できるでしょう。

 また、その「学園もの」というジャンル分けについても、

で指摘されているように、

・「恋愛もの」
・「不良/ヤンキーもの」

という複数のジャンルが混在しています。

また、「寮」や「決闘」という要素や、専科が存在することから考えて、

・「寄宿学校もの」
・「職業学校もの」

の側面もあると考える方が妥当でしょう。

 実際に、

MOBILE HEAVY MACHINARY ENGINEERING PRINCIPLES
モビル重機の工学原理

のように、パイロット科らしいテストが行われていました。

2 「寮」の位置づけと「学園」の共同体類型

 現在、存在が確認されている「寮」は、

・ジェターク寮
・ペイル寮
・グラスレー寮
・ブリオン寮
・地球寮

の5つです。

 最初の3つはグループ内御三家とされる三社とその系列企業推薦の生徒、ブリオン寮は部品製造や修理・メンテナンス関連企業推薦の生徒、そして地球寮は地球系企業推薦の生徒といった分類になるものと推測されます。

 当然、上記以外にも、

・経営コンサルティングや会計監査系企業の寮
・民間軍事会社系企業の寮

とかが出てきてくれると面白いと思います。

 今回の描写で分かったことは、

ベネリットグループにより経営されている高等教育機関。パイロット科、メカニック科、経営戦略科の3つの専科が存在する。ベネリットグループ傘下の企業推薦が入学条件となっている。

という設定で明記されている通り、

「推薦企業の序列」≒「生徒の学内序列」

であるだけでなく、

・学園の教員は生徒間のトラブルには関与しない

という態度が徹底されていることです。

 言い換えるなら、

・「法の支配」は存在せず、「自力救済」が原則

・「前-近代的社会」

ということです。

 恐らく、「決闘」という制度そのものも、

・「学園」=「属人的・部族的共同体の連合」

ということを暗示していると解釈できそうです。

 その意味で、

・ミオリネ=「学園理事長の娘」という立場を利用して「理事長室」を占拠

というのは、

「王族の特権行使」

に等しい所業ですし、

・スレッタ=水星を本拠とするFランク企業推薦の生徒

というのは、

「スペーシアンでもアーシアンでもない中途半端な立場」

であると言えるでしょう。

3 地球圏と宇宙圏の関係

公式サイトの「WORDS」という用語集に、

スペーシアンとアーシアン

宇宙居住者は「スペーシアン」、地球居住者は「アーシアン」と呼称される。
宇宙産業の発展から両者間の経済格差が広がったことで、スペーシアンとアーシアンの間に分断・衝突が生じている。

と記述されています。

ここでいう

「スペーシアンとアーシアンの間での分断・衝突」

について、

・地球でのデモ活動と治安出動のニュース映像
・学園内におけるスペーシアンとアーシアンの対立

等が描写されました。

これらの描写から、

・経済的・政治的・軍事的均衡=地球圏<宇宙圏
・各政府はほとんど機能していない
・企業が政府機能を代行している可能性が高い

等が窺われます。

個人的に気になったのは、

・デモ隊鎮圧活動にMSが普通に運用されている。
・学園の試験が想定している状況が「地球での制圧任務」に近い。

ということです。

これらの事実が示唆するのは、

「宇宙圏資本の企業によって地球圏が分割統治されている」

「様々な暗黒メガコーポがそれぞれ地域を支配している」

という

「サイバーパンク的ディストピア」

が地球圏の実情である可能性が高いということになります。


#ガンダム #水星の魔女 #感想 #アニメ


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