ジョン・フィンレー「1冊で学位 芸術史」感想

◇要約

○「ものの見方」

●ベンヤミン「複製技術時代の芸術」
・芸術品↔️機械的複製
・アウラ=芸術の真正性

●形式主義
・様式=「描写の形態」

●図像学(イコノロジー)
・イメージを研究する学問。作品の主題やイメージの特定。

●図像解釈学(イコノグラフィー)
・文化的文脈における視覚心像や関連する象徴を研究する学問。

○芸術の起源=旧石器時代の芸術
・動産芸術=彫刻された道具、立像等。
・洞窟壁画=動物や手型等。
・未分化な芸術?

○ルネサンス
・工房(ボッテーガ)=委託作品を共同製作する組織。
・ギルド=同業組合。
・徒弟制度=親方と弟子(見習い、職人、助手等)で修行や共同製作するための制度。
・画家と彫刻家:技術としての芸術=機械的技術に関わる手工業。
・建築家:学問としての芸術=教養(リベラルアーツ)。

○美術史

●プラトン「国家」
・「模倣」(ミメーシス)。
・イデア論=万物はイデアの似姿。
・芸術=事物(イデアの似姿)の「模倣」=「イデアのコピー」のコピー。
→「王を真実から遠ざける」=国家を弱体化させるもの。

●アルベルティ「絵画論」
・絵画=目に見えるものの描写=理想化。
・「身体の動き」で「魂の動き」を表現。

●ヴァザーリ「美術家列伝」
・画家、彫刻家、建築家の解説。
・芸術の成熟と劣化=自然周期。

○芸術理論

●ホラティウス「詩論」
「あらゆるものは、それぞれ割り当てられた、ふさわしい場所を守らなければならない。そして、『秩序』が最も『優美』であると心得よ」

●バウムガルテン「美学」
・美学(aesthetica)→感性による経験には、論理や理由にとらわれない独自の完全性がある。

●カント「判断力批判」
・感性的認識→美=趣味判断
・悟性的認識→論理=概念把握
☆感性<悟性

●ヴェルフリン「美術史の基礎概念」
・4つの表出=国、人種、流派、気質。
・「様式の二重根源」
線的↔️絵画的
平面↔️深奥
閉じられた形式↔️開かれた形式
多様性↔️統一性
絶対的明瞭性↔️相対的明瞭性

●パノフスキー「イコノグラフィーとイコノロジー」
・研究の三段階:形式→主題→象徴
・形式=対象/出来事→「様式」
・主題=寓意/概念→「類型」
・象徴=文化/価値→「世界観」

●フロイトの精神分析
・芸術=昇華された原始的欲求。
・芸術家=無自覚な精神異常。

○芸術と時代
・芸術の主題、表現技法、鑑賞法、製作技術、配布方法等は、時代の制約や影響を受ける。
・美や芸術の定義そのものすら、時代に応じて変わる。

◇感想

 絵画を中心に、旧石器時代から1930年代までの芸術史と芸術理論を概観する入門書。

 美学や芸術理論の基本概念と絵画の変遷やその歴史背景を知るにはとても便利です。

 個人的には、芸術批評の前提となる基礎概念や理論、方法論を概観出来たので、芸術系の議論を理解する解釈枠組に対する取っ掛かりが掴めたという印象。

#読書 #感想 #芸術 #歴史

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