第9話「あと一歩、キミに踏み出せたなら」感想

1 対GUND兵装「アンチドート」と「対アンチドート兵装」

ECM:Electronic Counter Measuresの略。

電子的妨害手段のことで、電子的に敵レーダーを妨害し、レーダーの精度を低下ないし使用不可にする装置全般を指す。

初期はレーダー周波数全域を妨害するものが主流だったが、現在はレーダー波を分析して必要に応じた妨害を行うものが主流となっている。

ECMへの対抗手段をECCM(Electronic Counter Counter Measures)と呼ぶ。

 基本的には、

対GUND兵装「アンチドート」≒ECM
「対アンチドート兵装」≒ECCM

という関係だと推測できます。

 問題は、

GUNDフォーマット封じ≒電子妨害

だとして、

どのようにしてGUNDフォーマットを妨害しているのか?

という点です。

 プロローグ放映時点ではパーメットに関する情報が開示されなかったため、

電磁波等、既存の科学技術によるGUNDフォーマットへの妨害

だと素朴に認識していました。

 しかし、今回のエアリアルによる対アンチドート関連の描写を見ると、

既存の科学技術によるGUNDフォーマットへの妨害

という風には見えませんでした。

 実際、

オーバーライド【override】
オーバーライドとは、乗り越える、~に優先する、覆す、圧倒する、などの意味を持つ英単語。ITの分野では、ある場所で定義された設定や手続き、属性などを、別の定義で上書きすることを指すことが多い。

という専門用語で説明されていたことから勘案すると、

アンチドート:パーメットリンクに大量の無意味な情報を共有させることで、特定領域範囲内にあるパーメットリンクの情報共有を阻害する。
オーバーライド:アンチドートが設定した情報共有阻害領域を上書きする。

ということではないかと予想できます。

 ここで気になるのは、

パーメットリンクの阻害や上書き等の現象は出力の問題なのか?

という点です。

 そもそも、

今回のエアリアルによるオーバーライド

に類似した現象として私が連想するのは、

プロローグでパーメットリンク・スコア4以上に到達したナディムが、ドミニコス隊旗艦ユリシーズの通信をジャックして、「ハッピー・バースデイの歌」を流したこと

です。

 言い換えるなら、

「パーメットリンク・スコア」=「パーメットリンク・ネットワーク」の利用権限

みたいなものであり、

物理的な出力≒単純なエネルギー量

みたいなアナロジーで解釈するのは的外れではないかと言う印象です。

2 「量子脳理論」と「パーメットリンク・ネットワーク」

 そもそも論を言うなら、

パーメットリンクとは何か?

というのが、未だにまともに情報開示されていないという点です。

 確かに、

パーメット=情報を共有する機能を持つ新元素

という基本性質は直接的に開示されています。

 また、

パーメット流入値=パーメットリンク接続時に人体に流入してくるパーメットの総量

等の用語から類推される性質も間接的に開示されています。

 しかし、根本的な情報である

・パーメット同士の情報共有はどのような原理で、どのように行われているのか?
・人体とパーメット機器とのインターフェイスはどのような原理で、どのように行われているのか?

というのは、全く明らかになっていません。

 今までの描写から、

・パーメット=加工することで、常温・常圧でも量子的振る舞いをする元素
・パーメットリンク=「量子もつれ」による情報共有を利用した通信・制御系技術

であろうことは推測可能です。

 しかし、

GUND技術の根幹=人体と機械のマン・マシン・インターフェイスの基本原理

については、何も判明していない状態です。

 と言うのも、

パーメットリンク・スコア1:パーメット機器によるマン・マシン・インターフェイス

については、

GUND手術を受けずに、
誰でも利用可能で、
データストームを引き起こさない

ため、通常のMSや各種通信機等に実装されているらしき描写が散見されるからです。

 言い換えるなら、パーメットリンク・スコア1の際、

・パーメット機器⇔パーメット機器間の通信や制御:パーメット同士の情報共有で説明可能。
・パーメット機器⇔人体のインターフェイス:パーメットと脳や神経系をどのように接続しているか、原理不明。

というのが現状な訳です。

 私なりの仮説を述べるなら、

パーメット=「量子もつれ」等の量子的振る舞いをマクロ・レベルでも引き起こす元素→「量子脳理論」でいう「意識=量子的現象」とも相互作用可能な元素

ということになります。

 正直なところ、「量子脳理論」については、私自身ほとんど理解できてないので、ざっくりした説明しかできなくて恐縮ですが、

・「意識」=神経細胞間の複雑な相互作用による「量子的現象」の一種である。
・「パーメットリンク」=パーメット間の複雑な相互作用による「量子的現象」の一種である。
・GUND技術=「意識」と「パーメットリンク」という「量子的現象」同士の相互作用を利用したマン・マシン・インターフェイスを基盤とする身体機能拡張技術。

という設定になっているのではないかという推測です。

 ちなみに、メタ的な観点から言うと、

・人間の「意識」と「意識」の間の「量子的現象」≒ガンダムシリーズの「ニュータイプ」系能力。
・「意識」と「パーメット」の「量子的相互作用」を利用したパーメットリンク技術≒ガンダムシリーズの「サイコミュ」系技術。
・GUND技術(身体機能拡張技術)≒ガンダムシリーズにおける「モビル・スーツ」(「動く衣服」)の根本的設計思想。

という解釈になります。

3 「パーメットリンク・スコア」

 前置きが長くなりましたが、ここからが本題です。

 前述の私の仮説を踏まえると、

・「パーメット」=マクロレベルでも量子的現象を引き起こす特殊元素。
・「GUND技術」=「意識」⇔「パーメットリンク」相互の「量子もつれ」を原理としたマン・マシン・インターフェイスを基盤とする身体機能拡張=人造身体制御技術。
・「パーメットリンク・ネットワーク」=パーメット間の「量子もつれ」を利用した、最低でも太陽系規模の情報共有ネットワーク。

となります。

 そして、

「パーメットリンク・スコア」=「パーメットリンク・ネットワーク」における「管理/利用権限」に相当するものを数値化したもの

ではないかというのが、私の推測です。

 非常に大雑把に言えば、

・スコア1:「パーメット機器」を利用する権限。パーメット流入はないか、無視できる位に微量。GUND義肢はこのレベルで利用できるので、データストーム問題は起こらないと予想。

・スコア2:「パーメット機器」を操作する権限。「パーメット機器」を「身体の延長」として制御が可能。「GUND-ARM」単体であれば、このレベルで利用できる。パーメット流入はそれなりに起こるが、自然に排出できる量と予想。ここまでであれば、適切な休息や利用時間の管理でデータストームは予防できると思われます。

・スコア3:複数の「パーメット機器」を操作する権限。「GUND-ARM」に加え、スウォーム兵器等を「身体の延長」として制御が可能。情報共有=「量子もつれ」するパーメット量が増大するのに比例して、人体へのパーメット流入量も増大するので、短時間でないと人体や意識に致命的なダメージが加わると予想されます。

・スコア4:「パーメットリンク・ネットワーク」を操作する権限。「パーメットリンク・ネットワーク」を介して、接続する各種の「パーメット機器」への干渉が可能。このレベルになると、瞬間的にパーメット流入量が致死量を超えると予想されます。

※1:スコア1~3は、所謂、「パーメットリンク・ネットワークの利用者権限」に相当すると予想します。

※2:対GUND-ARM兵装である「アンチドート」は、「スコア1で膨大な操作を繰り返すことにより、周囲のパーメットリンク・ネットワークの情報共有を無意味なノイズで飽和状態に誘導する」類の妨害≒「F5攻撃によるサーバーダウン」みたいなものだと予想します。

※3:スコア4以上が、所謂、「パーメットリンク・ネットワークの管理者権限」に相当すると予想します。

※4:プロローグのナディムや覚醒したエアリアルは、「パーメット機器」ではなく、「パーメットリンク・ネットワーク」そのものへアクセスしているので、そこへ接続している「パーメット機器」への指示や命令を「オーバーライド」(上書き)できるのだと予想します。

4 正規アクセスと不正規アクセス

 そして、この「パーメットリンク・ネットワーク」仮説を採用すると、

・「赤い発光」=非正規アクセスに対する「パーメットリンク・ネットワーク」のファイアウォール発動状態の証。
→「データストーム」=「非正規アクセス者」に対する「パーメットリンク・ネットワーク」側の防衛反応であり、「GUND技術」における技術的欠陥ではない可能性あり。
・「青い発光」=正規アクセスに対する認証の証。
→原理や方法は不明だが、「青い発光」から、エリクトやエアリアルは正規のアクセス権限を取得することに成功したと予想。ただし、本編時点において、人類は正規のアクセス権限を取得する正確な方法を確立していない。

だと解釈できます。

 ただ、そうなってくると、

「パーメットリンク・ネットワーク」は何らかの基準で、正規/不正規アクセスを判断し、「データストーム」という形で不正規アクセスへのセキュリティ対応をしている。

ということになります。

 そして、今回、

スレッタがエアリアル等の声を聞くことで、決闘相手の精密な行動予測を実施

しています。

 恐らく、

「パーメットリンク・ネットワーク」へ正規アクセス

をすることで、

・「パーメットリンク・ネットワーク」影響下にある対象の正確な位置や運動ベクトルの観測。
・「パーメットリンク・ネットワーク」の超高速演算による驚異的な未来予測。

等が実現可能になるということだと予想できます。

5 「真の魔女」と「魔女狩り」

 これらの予想が正しいと仮定すると、

・「パーメットリンク・ネットワーク」=先史/異星文明等の遺産。
・「パーメットリンク・ネットワーク」の存在や利用法を伝承/研究し、禁忌としてきた勢力=「真の魔女」が存在する。
・ヴァナディース機関が殲滅されたり、「GUND技術」が禁止されたりしたのは、その敵対勢力に「真の魔女」の関係者と誤認された結果のコラテラル・ダメージ(副次的被害)。

等の可能性が高いと推測可能です。

 物語のメタ的な観点からすると、

・「真の魔女」=「パーメットリンク・ネットワーク」を伝承/研究してきた勢力。エアリアル関係の不穏な技術は、この勢力の技術の応用。
・「濡れ衣の魔女」=カルド・ナボ博士他、「GUND技術」研究をしていた良心的勢力。「真の魔女」の仲間と誤認され、「魔女狩り」に殲滅された。
・「魔女狩り」=デリング総裁の背後に居ると思われる、「真の魔女」の敵対勢力。

という風に推測できます。

 ただ、これらの予測を前提にしても、プロスペラの立場や目的はまだ明らかになっていません。

 可能性としては、

・「ヴァナディース事変」の復讐のため、「真の魔女」と手を組み、「魔女狩り」を復讐相手に選んだ。
・「ヴァナディース事変」の復讐のため、「魔女狩り」と手を組み、「真の魔女」を復讐相手に選んだ。
・「ヴァナディース事変」の復讐のため、「真の魔女」と「魔女狩り」の両陣営から技術や情報を奪取しつつ、「真の魔女」と「魔女狩り」の両方を復讐相手に選んだ。

等が候補として挙げられますが、現状では確実にこの路線だと判断できる情報はありません。

 ただ、

スレッタとエアリアルは「復讐の道具」=敵陣営を誘き出す囮

であるのはほぼ確定になってしまうので、

スレッタとエアリアルの「自立」

が今後どのようになるかを注視していきたいです。

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