妄想ネタ「えせ性被害行為対応の手引」(案)

〇参考:法務省「えせ同和行為対応の手引」https://www.moj.go.jp/content/001361670.pdf


【えせ性被害行為とは】
性被害の解決に寄与しているかのように装って,企業・個人などに不当な利益や義務のないことを要求する行為です。
えせ性被害行為は,女性差別に対する誤った認識を植え付け,偏見や差別を助長する要因となっており,女性差別の解決を阻害するものです。
安易な妥協は,被害の拡大と差別の助長につながります。女性差別の解決に向けて,えせ性被害行為に対して毅然とした態度で要求を拒否することが求められています。

【排除の対象・目的は】
えせ性被害行為排除の対象となるのは,当該「行為そのもの」です。団体ではありません。
また,えせ性被害行為をする者がどのような団体に所属するかも問いません。女性差別を口実にこのような行為をする者は, もはや,女性差別の解決を語る資格はありません。
不当な要求に対しては,き然とした態度で臨み,つけ入るすきを与えないことが肝要です。
えせ性被害行為排除の目的は,当該違法・不当な行為の排除と同時に,新たな差別意識の発生を防止し,女性差別を解決するところにあります。
真に差別のない平和で住みよい社会の実現のため,一人一人が責任と勇気を持って,えせ性被害行為の排除のために取り組むことが必要です。

【えせ性被害行為の態様について】
具体的な要求としては,娯楽作品と提携した広告や企画の取り下げ、論文・図書等の学習の強要,寄附金・賛助金の強要,講演会・研修会への参加強要,広告・企画部門への顧問参加強要等様々な形態があります。

〇基本的注意事項

1 基本的姿勢
えせ性被害行為に対する基本的姿勢は,違法・不当な要求を断固として拒否することにあります。
応ずることのできない違法・不当な要求を拒否するのは当然のことで,たとえその要求が女性差別への取組等の名目で行われた場合であっても同様です。

2 怖いものという意識を捨てること
女性差別の名の下に違法・不当な要求をする者は,もはや女性差別を論じる資格はないというべきです。そのような者の要求行為を恐れる必要はありません。

3 最初からき然とした態度で対応すること
最初から一貫して,き然とした態度で対応しましょう。
最初の対応の誤りが事態を悪化させるので,最初に相手にすきを見せたり,脈ありと思わせるような態度は避けてください。

4 安易な妥協はしないこと
えせ性被害行為者は,弱いと感じた者には強く出る傾向があり,安易な妥協をすると,更につけ込まれるおそれがあるため,その場しのぎの安易な妥協はしないようにしましょう。
例えば,えせ性被害行為者は,刑事事件になることを恐れて,具体的な対応の要求をせず,「誠意をみせろ。」,「善処しろ。」などと執ように攻めてくる場合がありますが,それに根負けして、相手の不当な要求に従ってはなりません。

5 脅しを恐れないこと
えせ性被害行為者自身,刑事事件になることを恐れているため,激しい言葉を発言しても実際に暴力的行為に出るおそれは低いと考えられますが,仮に,暴力的言動があった場合には,直ちに警察へ通報してください。

6 女性差別への取組を非難された場合
女性差別への取組や人権研修の在り方を口実に,不当と思われる要求を受けたときは,相手方に対し,「法務局に申し出て,それが人権侵害になるかどうか,また,今後どうすべきかについて,法務局の処理に委ねたい。」と伝えてください。
法務局・地方法務局及びその支局では,えせ性被害行為排除のための相談を受け付けており,必要に応じて,警察及び弁護士会と連絡を取る体制を敷いています。

7 弱みを追及された場合
事務上の過誤等の弱みを追及された場合でも,密室での取引ではなく,紛争の適正かつ妥当な解決を図るための法律に従った正当な手続によるべきです。
相手の指摘する内容が仮に事実であるとしても,法的な観点から見れば,損害賠償等を認めるには,故意過失の有無,賠償の対象になるかどうか,適正妥当な賠償額はどうかなどの検討が必要となります。したがって,それらの検討をしないまま,安易に相手の要求を認めたり,謝罪的な発言をしたりしてはなりません。事務上の過誤等の弱みを口実にする相手方の違法・不当な要求は,断固として拒否すべきです。

8 組織全体で対応
えせ性被害行為に対しては,組織全体で対応してください。支店等で不当な要求を受けた場合に,支店長等が個人的に,又は支店限りで,その要求に応ずるべきではありません。
相手は,個人的な又は支店限りの対応の不備等を口実にして,本店に対し,より大きな要求をしてくることが多いので,本店に報告したり,本店に指示を求めたりするなどして,組織全体として対応する必要があります。

9 官公署の影響力が利用された場合
えせ性被害行為者は,企業に対して不当な要求をする場合,その手口として,その企業の監督官庁等に連絡をとり,その官庁の企業に対する影響力を悪用しようとすることがあります。
各行政機関は,都道府県単位の「えせ性被害行為対策関係機関連絡会」への参加を通じるなどして,えせ性被害行為の排除に積極的に取り組んでおり,えせ性被害行為者に加担することはないので,このようなえせ性被害行為者の手口にだまされてはなりません。

10 法務局への相談
法務局・地方法務局及び支局では,えせ性被害行為の排除のための相談を受け付けており,必要に応じて,警察及び弁護士会と連絡をとる体制を敷いているので,女性差別問題を口実にする不当な要求を受けたときは,法務局に相談してください。

11 警察への連絡等
警察は,えせ性被害行為者の排除に積極的に取り組んでいます。
現在,都道府県警察では,「企業対象暴力対策本部」等を設置して,暴力団やえせ性被害行為者等に関する企業からの各種相談に対応しているほか,これらとの関係遮断に取り組む企業に対しては情勢に応じて必要な警戒を行うなど,関係者の身辺の安全を確保するための保護対策を実施しています。暴力団やえせ性被害行為者等から不当な要求を受けた場合又は受けるおそれがある場合には,次のように対処してください。
(1) 警察本部(暴力団対策課等),最寄りの警察署又は暴力追放運動推進センターに速やかに連絡をとり,対応等について助言を受ける。
(2) 緊急を要する場合は,ちゅうちょせず110番通報する。
12 弁護士への相談
(1) 弁護士に相談し,その解決を依頼することも有効です。
日本弁護士連合会(日弁連)は,民事介入暴力対策委員会を中心に,えせ性被害行為の排除に取り組んでいます。
また,そのために各都道府県にある弁護士会に民事介入暴力被害者救済センターを置き,えせ女性差別行為者に対する対応について相談を受けています。
⑵ なお,民事上の手続として,以下のものが挙げられます。これらの手続について,弁護士と相談することも有効です。
ア 内容証明郵便の送達
相手方の行為が継続すると予想される場合には,法的手続をとる前に内容証明郵便を送達
する。内容証明郵便には,次のような事項を記載することが考えらます。
① 相手方の行為が刑法上脅迫罪・強要罪・恐喝罪等を構成すること(あるいは民法上不法行為となること)。
② 弁護士に依頼済みのときは,今後の連絡は弁護士事務所宛てにされたいこと。
③ 違法行為があるときは,断固として法的手続をとる意思があること。
イ 仮処分の申請
不作為の仮処分(面談禁止,架電禁止,立入禁止,業務妨害禁止等)の申立てを裁判所に対して行う。
※ 仮処分決定を得ることにより,禁止事項が明確になり,相手方の動きが止まる効果を期待することができます。
ウ 債務不存在確認の訴えの提起等
些細な誤りにつけ入って損害賠償を求めてくる場合には,相手に対して訴訟を提起するよう促し,これに応じないときは,逆に債務不存在確認の訴えを提起するなど,紛争を裁判によって解決する方策が考えられます。

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