[2章6項]「プロであり続けることがどんどん難しくなっていく時代」に生き残るには何をすべきか
先週に続き、今日は第二章「儲ける力」の第六項について読んでいきたいと思う。
第六項 矛盾と戦う
プロがする仕事の価値とは
経営は矛盾との戦いです。まず、ユニクロの服そのものが矛盾との戦いと言えるでしょう。ユニクロの服はシンプルな方向性。反面、洋服だから夢があったり、着る人が気持ちよくなったりすることが必要。伝える側としても新しさとか情熱とかをできるだけ詰め込みたい。「内面には新しさ、情熱。しかし外面はシンプル。ある意味、真逆、矛盾です。しかし、これを実現するところにMADE FOR ALLの実現があるわけです。先ほどの項であげた、アップルの商品は、この矛盾解決の代表商品と言えます。服作りに関してもう一つ分かりやすい例をあげて考えてみます。いいものを作ろうと思うと、コストがかかります。しかし、コストがかかるからといって、その分を商品価格に上乗せしたら、どうなるでしょうか。お客様は離れていきます。我々の都合を押しつけられて、喜ぶお客様は一人もいないからです。ですから、本当にお客様に喜んでいただこうと思うと、品質をあげながら、コストを下げて、価格を雑持あるいはさらに安く提供する必要が出てきます。品賀をあげながらコストを下げるのですから、明らかに矛盾です。「できない」と思うのが人間です。しかし、「できない」と言って、あきらめるのだったら、これは素人です。そんなことだったら、一般の人にだって言えますし、できます。
我々はプロです。洋服を売ってお金をいただいているわけですから、洋服のプロのはずです。プロが素人と同じだとしたら、お給料をもらう価値、存在価値はどこにあるというのでしょうか。一流のプロのホテルマンは、決して「できない」というところから会話を始めないそうです。「分かりました。やってみましょう」。そう言ってから、お客様のご相談を解決できる方法をあれこれ工夫して、やってのけるそうです。プロの仕事の仕方というのは、こうあるべきだと思います。矛盾と戦って、何とか解決策を見出す。そこにプロとしての付加価値が生まれるのであって、そこからお客様の笑顔が生まれるのです。お客様の笑顔のないところに儲けはありません。矛盾が大きければ大きいほど、それを解決した時のお客様の笑顔、ひいては商売としての儲けも大きくなりフリースやヒートテック、あるいはguの九九○円ジーンズなどはその典型ではないでしょうか。
矛盾を解決すればチャンスが広がる
ユニクロの都心部への進出も矛盾との戦いでした。従来の郊外型店の場合、お客様はチラシを見てこられた目的買いの方が中心です。ですから、来店されたお客様の六、七割の方が実際に買っていかれます。しかし、都心部の場合は、そうではなかったのです。目的買いというよりは、フラッと立ち寄られて、気に入ったものがあったら買っていかれる。そうした購買動機の方が中心だったのです。最初の都心部として始めた原宿店で、来店されたお客様の二割くらいの人しか買っていかれないということが分かりました。しかも、自分の好みのものがないかを隅から隅まで探して、いろいろな商品を手に取っては、別の売場に行かれます。その結果、大量の商品整理が発生することになります。購買率は低いのに、商品整理は郊外店の比ではないほど発生する。これは大きな矛盾です。しかも郊外型店に比べて賃科が高いので、商品整理の負荷分だけ、そっくりそのまま人を投入して人件費を増やすことも難しい。
本当に離しい問題です。
しかし、当時の原宿店の店長をはじめとして、それに続く何人もの都心部の店長たちが、この矛盾解決の努力をしてくれました。そのおかげがあって、都心部での商売のやり方は徐々に進歩して、次の段階の都心部大型店の銀座店やソーホーニューヨーク店につなげることができたわけです。矛盾解決なしには、次なる成長はないというわけです。特に挑戦的なことをすると矛盾が伴うものです。そしてそこで目にする矛盾は、はじめての経験ですから、頭を抱えてしまう類のものだったりします。そこで、「やっぱり無理だった」とか「こんなのでは商売が成り立たない」と言ってあきらめてしまうか。それとも、何とか解決する方策はないのかと、必死になって食い下がって努力をするのか。これが大きな分かれ目になるわけです。「普通の人は前者です。ということは、そこの市場には挑戦者がいないか、あるいは挑戦者がいたとしてもあきらめて撤退をしているから、空日の市場だったりするわけです。ということは、あきらめないで粘って、その矛盾の問題解決を最後までやりきった会社が、その市場を創造することができるということです。矛盾を解決すれば、そこにチャンスが大きく広がるということなのです。
本当の問題を発見し、本質を解決する
ここで問題解決の仕方に関して一言。商売をやっていると、このような矛盾が大なり小なり発生するものです。その時、簡単にあきらめるのもよくないことですが、そうした問題解決を、表面的な対症療法的なことでやろうとしないことも大切です。「だいたいにして、表面的で短絡的な問題解決というものは、本当の問題解決につながらないため、同じような問題が、姿を変えて何回も出てきます。例えば、新店の立ち上げや、売上をあげるのに苦戦をしているお店では、スタッフの苦労も多かったりします。そこでモチベーションを高めたいと思って、スタッフの給料をあげたいという気持ちにかられることがあると思います。しかし、ただ給料をあげるだけだったら、これは表面的で短絡的な解決に終わる可能性があります。この場合は、おそらく、単純に給料をあげさえすれば売上があがるということではないように思います。また、その場しのぎの表面的なことだったら、モチベーションが高まったとしても、非常に短期的で、何かあったらまた給料をあげてほしいという話になって出てくることが想像されます。経営者ならば、短絡的にお金で何とかしようとするのではなく、売上につながるようなモチベーションをあげるためには、本質的にどんなことが必要なのかを必死になって考える。「もしかしたら目標や夢の強い共有ができていないかもしれない」「もしかしたらスタッフ教育が十分できていないかもしれない」「もしかしたら本音で話しきれていないかもしれない」「もレかしたら自分一人で全部決めようとしていて、スタッフを作業員としてしか見ていない、使っていないかもしれない」
「もしかしたらスタッフが頑張っていても、ねぎらったり、誉めたりしていないかもしれない」こうしたことを自間自答して、本質的なところまで掘り下げて実行するということです。短絡的に対応するのではなく、本当の問題がどこにあるのかを発見するのが先なのです。そして、そこを解決する。そうするとお金も活きてくる。それが本当の問題解決です。そうでないと、蝋たたきのように、いつも同じような問題にふりまわされて、時間と労力は食っているのに、成果が全然出てこない、そんなことになりかねないのです。
Cool Head,but Warm Heart
「内面には新しさ、情熱。しかし外面はシンプル。ある意味、真逆、矛盾です。しかし、これを実現するところにMADE FOR ALLの実現があるわけです。
僕はこの話を聞いて思い出したのが「Cool Head,but Warm Heart」という言葉だった。一見矛盾したこの二つのことを以下に掘り下げられるか。
CoolさとWarmさは、それぞれが真逆の方向性を向いている。でもその両方を追求し続けることで、そこに幅が生まれる。人の心を動かす仕事ができるかどうかは、この「coolとwarmの幅をどれだけ広げることができたか」にかかっているのではないだろうか。
「プロであり続けることがどんどん難しくなっていく時代」に生き残るには何をすべきか
「できない」と思うのが人間です。しかし、「できない」と言って、あきらめるのだったら、これは素人です。そんなことだったら、一般の人にだって言えますし、できます。
我々はプロです。
その分野において素人であるお客様の困ったを解決することがプロの仕事。
お客様の困ったの中には必ず矛盾がある。その矛盾さえも包括して解決する力を持つ人がプロを名乗れるだと思う。
お客様の笑顔はその先にしかないのだから、矛盾を言われたからといって「できないものはできません」で終わらせてしまっては、本当の付加価値の高いサービスは提供できないように思う。
「見積もり範囲外だから、やリません」
「言われてなかったから、やれません」
「責任範囲外だから。できません」
「できません」という前に一度踏みとどまって解決策を考えてみることが大切。この先にこそお客様を笑顔にさせる機会があるのだということを忘れてはいけない。
もう一つ考えたこと。今はインターネットで気軽に学習できるサービスが充実してきている。つまりは素人がキャッチアップしやすい環境になりつつあるということ。誰でも必要な情報を入手でき、いつでも、どこでも学ぶ環境が整いつつある。同じことだけをやり続け、停滞しているような自称プロはそんな「やる気のある素人」にすぐに追いつかれてしまう時代だと思う。
「プロであり続けることがどんどん難しくなっていく時代」に生き残るには何をすべきか、今一度考え直す必要があると思う。
毎日時代を読み、自戒と改善を積み重ねることを忘れないように。
問題の本質を見抜き、それを解決するためにやり抜く
商売をやっていると、このような矛盾が大なり小なり発生するものです。その時、簡単にあきらめるのもよくないことですが、そうした問題解決を、表面的な対症療法的なことでやろうとしないことも大切です。
問題の難易度が上がれば上がるほど、本質を掴むこと、解決することに必要な時間も増える。それは言い換えるなら「やり抜く力」が試されるということだと思う。その解決までの道中、何度も「もうダメかもしれない」と心が折れそうになるのは、誰でも同じだと思う。自分に負けそうになるとつい、対症療法的な短絡的な問題解決を行い、逃げそうになってしまう。
根底にあるべきマインドは「問題の本質を見抜き、それを解決するためにやり抜く」だと思う。
(少し話がずれるけれど、縦割り組織にありがちな「問題解決よりも、言われたことをやって評価されることの優先度が高い人たちの集団」も、同じように対症療法的な課題解決に終始しているような気がする。そのような組織は属人化が進み、チーム力が皆無であるため、いざというときにチームが全く機能しない。つまり弱い。)
日頃、素人とプロの違いを意識すること。プロとしてあり続ける時代において、プロとは何かを考え抜くこと。
お客様の矛盾した困ったを解決するのがプロだということ。その解決する矛盾の大きさがお客様の笑顔の大きさに繋がり、ひいては儲けの大きさに繋がる。
お客様から「矛盾した困った」を急に振られたとき、「無茶振りだ」と逃げるのではなく、機会だと考えること。必ず解決の糸口はあると信じ、いちどはじめたなら最後まで問題の本質を見抜き、やり抜くこと。
こうした業種問わずに応用できるような原理・原則を以下に全うできるかが大切。
来週から初心に返るつもりで頑張っていこう。
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この本は経営者の方だけでなく、サラリーマンや個人事業主の方、NPOやボランティアなど様々な組織で働いている人にとって、とても学びの多い良書だと思います。内容はnoteでも紹介していきますが、一部のみのピックアップとなりますので、内容に興味を持たれた方は是非ご購入いただき、自分だけのノートに仕上げていただければと思います。
また本には振り返りのためのセルフワークシートも含まれています。日々の振り返りを行いたい、自戒することを習慣化したいと考えている方にも、とても価値のある内容だと思います。
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この「経営者になるためのnote」は毎週日曜日に書いています。過去に書いたものは全てマガジンに纏めているので、宜しければそちらもご覧ください。
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