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ドラッグストア

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ドラッグストア(4)

ドラッグストア(4)

そして最後に残った杏を指で摘んで口に運ぼうとして、止める。
 私のことをじっと誰かが見ている。
 私は、視線の感じた先に目をやると8歳くらいの綺麗に髪を切り揃えた男の子がこちらを見ていた。
 男の子は、私と、そして血の海に沈んだ男達をじっと見る。
「映画の撮影だよ」
 私は、男の子が聞いてくる前に答える。
「急遽、映画にエキストラ出演することになってね。おじさん達は死体役だから動くわけにはいかない

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ドラッグストア(3)

ドラッグストア(3)

 弁当を食べるのも佳境に迫ってきた頃、黒い影が花弁を閉じるように私を包む。
 私の座るベンチの周りを複数の男達が取り囲んだのだ。
 皆、一様に強面で、ガタイが良く、黒く、だらしなく着込んだ安物のスーツを見ても普通の筋の人間達ではなさそうだ。
 男達は、ニヤニヤといやらしい笑みを浮かべ、睨んで私を威圧してこようとするが、当の私は弁当に張り付いた米粒を取るのに忙しくてそれどころではない。
 彼らも何と

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ドラッグストア(2)

ドラッグストア(2)

「薬を下さい」
 窶れた背の高い男性が私を見下ろしながら言う。
 私は、箸を止めて男を見上げる。
「いらっしゃい」
 私は、思い切り輝いた営業スマイルを浮かべる。
 楽しみを奪われた不平不満なんて決して出しはしない。
 私の笑みに釣られて彼も小さく笑う。
 彼は、先ほどの女性同様に私の商売の常連だ。しかしその顔は、私の知る彼の顔よりも採掘機で彫られたのではないかと思うほど、頬の肉が削れ、小麦粉でも

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ドラッグストア(1)

ドラッグストア(1)

いい天気だ。
 私は、いつもの公園のいつものベンチに深々と腰を下ろし、お気に入りの白いハットのツバを持ち上げて空を仰ぐ。
 さめざめと広がった青い空。
 叱りつけるように頬を嬲る風。
 そして嫌気かするほどに暑い太陽。
 まったく、何て商売日和な日なんだ!
 私は、妻が用意してくれたお弁当を膝の上に広げる。
 これが1日で1番楽しみな時間だ。
 今日のおかずは、鮪の照り焼き、卵焼き、蒲鉾、筍の甘辛

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