織部

挫折した夢をもう一度追いかけています。 基本的には小説しか上げません。 冷たい男 …

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挫折した夢をもう一度追いかけています。 基本的には小説しか上げません。 冷たい男  エブリスタ 新星ファンタジーコンテスト佳作受賞 結尾美織はみそ汁が飲めない エブリスタ大賞 最終選考 看取り人 フレンチトーストにオレンジピール エブリスタ 執筆応援キャンペーン佳作受賞

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  • 希望のハコ 最愛の娘になった最愛の君へ

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  • 半竜の心臓

    半竜の心臓をこちらにまとめていきます! あらすじ 白竜の王と人間の女性との間に生まれた少女。棲家としている雪山で父竜と平穏に暮らしていたが、突如、現れた暗黒竜の群れに父竜を殺され、少女は手足の自由を奪われて虐げられていた。絶望の日々の中、神鳴と共に勇者一行が現れて・・。 数奇な運命を歩む半竜の少女の話し

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看取り人 第一話

あらすじ  宗介は、末期癌患者が最後を迎える場所、ホスピスのベッドに横たわり、いずれ訪れるであろう最後の時が来るのを待っていた。 後悔はない。そして訪れる人もいな…

織部
1年前
200

希望のハコ 最愛の娘になった最愛の君へ 第二十二話

 全開になった車の窓から入り込む塩気を含む風、雲一つない青い空の下に果てなく広がる大きな海にハコは目と口を丸くして思わず窓の外に顔を出そうとするのをカギが手を伸…

織部
8時間前
17

こんばんは。
織部です。
希望のハコ 最愛の娘になった最愛の君へを読んで下さりありがとうございます。
現在、ゾーン状態で執筆中ですが、一日一回投稿だと間に合わないので明日、明後日は数回投稿します。
どうぞお付き合いください!

https://note.com/d_suke33/n/na659aaf6a7d6

織部
18時間前
20

希望のハコ 最愛の娘になった最愛の君へ 第二十一話

 死に物狂いで走って警察に駆け込んだカギを出迎えたのは気が抜けるくらいあっけらかんとしたハコの声だった。 「パパお帰りー!」  ハコは、にっこり微笑んでカギに大き…

織部
1日前
20

希望のハコ 最愛の娘になった最愛の君へ 第二十話

"ねえ、ゆかり見て!あの空、マンゴーラッシーみたいじゃない?"  夏の夕暮れと夜の混じり合った空を見てハコが楽しそうに笑っていたのをゆかりは思い出す。  あの時は…

織部
2日前
23

希望のハコ 最愛の娘になった最愛の君へ 第十九話

 時は二時間前に遡る。 「まあ、可愛い!」  ダリア婦人が目尻の下がった優しい目を輝かせて感嘆の声を上げる。  ダリア婦人の目の前には浴衣を着たハコが立っていた。 …

織部
3日前
25

こんばんは。織部です。
希望のハコ 最愛の娘になった最愛の君へを読んでくださりありがとうございます😊
物語終盤まで近づいてますが恐らく創作大賞の締め切りに合わせての終了は難しそう。一応、完成しなくてもいいとは書いてあるけど・・不安

織部
3日前
22

希望のハコ 最愛の娘になった最愛の君へ 第十八話

 夏休みに入った。  しかし、大人達の生活にそれはあまり大きな影響を及ぼさない。仕事と言うのは夏を迎えたから無くなる訳ではなく、一般的にはお盆休みが来るまでは大…

織部
4日前
27

希望のハコ 最愛の娘になった最愛の君へ 第十七話

「彼ね。本当に良い人なのよ」  屋敷を出る時、ダリア婦人は今日のことを謝罪すると同時にそのように言ってきた。  台湾カステラと件の影響で出足は遅れたもののハコとカ…

織部
5日前
27

希望のハコ 最愛の娘になった最愛の君へ 第十六話

 お手伝いするぅ!と大声で叫ぶハコとカンナをダリア婦人にお願いしてキッチンを離れたカギ、ゆかりは雨宮にされて最初の面接の時に入った応接室のような居間に入った。 …

織部
6日前
23

希望のハコ 最愛の娘になった最愛の君へ 第十五話

 あの後、往来を気にせず散々大泣きしたゆかりをハコとカンナは宥め、守るように両側から彼女を抱きしめながらダリア婦人の屋敷へと向かった。 「パパは、近づいちゃダメ…

織部
7日前
28

希望のハコ 最愛の娘になった最愛の君へ 第十四話

 三日後……。  仕事を終えたカギとハコは、いつものパーキングにキッキンカーを停め、ゆかりとカンナと合流してダリア婦人の屋敷へと向かった。  ハコとカンナは、出会…

織部
8日前
22

希望のハコ 最愛の娘になった最愛の君へ 第十三話

 季節も時間も今と同じ。  違うのは二人がまだ本当に子どもで、本当に純粋で、お互いのことをまだ意識してなかったことだ。  それは二人が中学三年生なったばかりの頃、…

織部
9日前
27

希望のハコ 最愛の娘になった最愛の君へ 第十二話

「パパァ!」  ダリア婦人の屋敷に戻り、インターフォンを押した瞬間、扉が破裂するように開いてハコが飛び出してきた。 「パパァ!」  ハコは、星屑が舞い散るような輝…

織部
10日前
29

山根あきら様が"希望のハコ"を紹介してくれました!

こんばんは。 織部です。 山根あきら様が"創作大賞感想"で私の諸作"希望のハコ 最愛の娘になった最愛の君へ"を紹介してくれました! 山根様!ありがとうございます! …

織部
10日前
28

希望のハコ 最愛の娘になった最愛の君へ 第十一話

 ゆかりは、平静に言い、コーヒーを啜る。 「一ヶ月前に突然現れたの」  ゆかりの話しによると孔雀会は齧った林檎から青虫が飛び出すくらい唐突に出現したのだという。 …

織部
11日前
21
看取り人 第一話

看取り人 第一話

あらすじ
 宗介は、末期癌患者が最後を迎える場所、ホスピスのベッドに横たわり、いずれ訪れるであろう最後の時が来るのを待っていた。
後悔はない。そして訪れる人もいない。そんな中、彼が唯一の心残りは心の底で今も疼く若かりし頃の思い出、そして最愛の人のこと。
 そんな時、彼の元に1人の少年が訪れる。

「僕は、看取り人です。貴方と最後の時を過ごすために参りました」

 これは看取り人と宗介の最後の数時間

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希望のハコ 最愛の娘になった最愛の君へ 第二十二話

希望のハコ 最愛の娘になった最愛の君へ 第二十二話

 全開になった車の窓から入り込む塩気を含む風、雲一つない青い空の下に果てなく広がる大きな海にハコは目と口を丸くして思わず窓の外に顔を出そうとするのをカギが手を伸ばして止める。
「鼻削れるぞ」
 カギは、視線だけをハコに向け、窓を閉める。
 ハコは、むすっと頬を膨らませてカギを睨む。
「ちゃんとカンナを見習っていい子にして見ろ」
 真ん中の席に座ったカンナは、窓に頬っぺたをみしっとくっ付けて空と海を

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こんばんは。
織部です。
希望のハコ 最愛の娘になった最愛の君へを読んで下さりありがとうございます。
現在、ゾーン状態で執筆中ですが、一日一回投稿だと間に合わないので明日、明後日は数回投稿します。
どうぞお付き合いください!

https://note.com/d_suke33/n/na659aaf6a7d6

希望のハコ 最愛の娘になった最愛の君へ 第二十一話

希望のハコ 最愛の娘になった最愛の君へ 第二十一話

 死に物狂いで走って警察に駆け込んだカギを出迎えたのは気が抜けるくらいあっけらかんとしたハコの声だった。
「パパお帰りー!」
 ハコは、にっこり微笑んでカギに大きく手を振る。
 その瞬間、カギの中で筵のように突き刺さっていた緊張と恐怖の針が全て抜け落ちた。
 カギは、警察署の廊下で崩れ落ちて思わず膝を付いてしまう。
「パパァ?」
 ハコは、慌ててカギに駆け寄る。
「パパ?大丈夫?お風邪引いたの?」

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希望のハコ 最愛の娘になった最愛の君へ 第二十話

希望のハコ 最愛の娘になった最愛の君へ 第二十話

"ねえ、ゆかり見て!あの空、マンゴーラッシーみたいじゃない?"

 夏の夕暮れと夜の混じり合った空を見てハコが楽しそうに笑っていたのをゆかりは思い出す。
 あの時は、何言ってんだろう?くらいにしか思わなかったが、環境が変わり、心境が変わってから改めて見ると確かにマンゴーラッシーのように見える。
(つまり……あの頃のハコはとても幸せだったってことだ)
 愛情をたっぷり注いでくれる祖母がいて、親友と呼

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希望のハコ 最愛の娘になった最愛の君へ 第十九話

希望のハコ 最愛の娘になった最愛の君へ 第十九話

 時は二時間前に遡る。
「まあ、可愛い!」
 ダリア婦人が目尻の下がった優しい目を輝かせて感嘆の声を上げる。
 ダリア婦人の目の前には浴衣を着たハコが立っていた。
 淡いピンクの生地に赤紫や水色の大きな朝顔の絵柄の浴衣を襟元を整えて品良く着こなし、綺麗に梳かされた髪には同じ朝顔の簪が刺している。顔には薄く化粧がされており、左手の薬指の大きな指輪も相まって普段とは違う大人の雰囲気を醸し出していた。

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こんばんは。織部です。
希望のハコ 最愛の娘になった最愛の君へを読んでくださりありがとうございます😊
物語終盤まで近づいてますが恐らく創作大賞の締め切りに合わせての終了は難しそう。一応、完成しなくてもいいとは書いてあるけど・・不安

希望のハコ 最愛の娘になった最愛の君へ 第十八話

希望のハコ 最愛の娘になった最愛の君へ 第十八話

 夏休みに入った。
 しかし、大人達の生活にそれはあまり大きな影響を及ぼさない。仕事と言うのは夏を迎えたから無くなる訳ではなく、一般的にはお盆休みが来るまでは大人に取っての夏休みは来ないし、職種によってはお盆休みなどと言うものが存在しないものもある。
 カギのキッチンカーがいい例だ。
 特に夏休みはキッチンカーに取っては稼ぎ時でカギも熱い小籠包だけでなくかき氷やアイスキャンディ、ラムネ等を売ること

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希望のハコ 最愛の娘になった最愛の君へ 第十七話

希望のハコ 最愛の娘になった最愛の君へ 第十七話

「彼ね。本当に良い人なのよ」
 屋敷を出る時、ダリア婦人は今日のことを謝罪すると同時にそのように言ってきた。
 台湾カステラと件の影響で出足は遅れたもののハコとカンナは無事に授業を終えることが出来た。
 今日は、国語の勉強をしたそうでハコはカギに習ったばかりの"木"と"川"の書き方を自慢げに教え、カンナは漢数字の一〜十までの書き方をゆかりに披露した。
 その後、綺麗な狐色に焼き上がったクッションの

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希望のハコ 最愛の娘になった最愛の君へ 第十六話

希望のハコ 最愛の娘になった最愛の君へ 第十六話

 お手伝いするぅ!と大声で叫ぶハコとカンナをダリア婦人にお願いしてキッチンを離れたカギ、ゆかりは雨宮にされて最初の面接の時に入った応接室のような居間に入った。
「どうぞお座りください……って私の家ではないですが」
 そう言って雨宮は苦笑する。
 人好きのする柔らかくて気持ちの良い笑みだ。
 しかし、その笑みを見てもカギは警戒を解かず、ゆかりは緊張した面持ちで並んで座る。
 そんな二人とは対照的に雨

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希望のハコ 最愛の娘になった最愛の君へ 第十五話

希望のハコ 最愛の娘になった最愛の君へ 第十五話

 あの後、往来を気にせず散々大泣きしたゆかりをハコとカンナは宥め、守るように両側から彼女を抱きしめながらダリア婦人の屋敷へと向かった。
「パパは、近づいちゃダメだかんね」
「あとでパパに言いつけるからね」
 ゆかりを泣かしたという謂れのない罪を付けられたカギは、ハコとカンナに冷たい目で見られながら肩身が狭そうに後ろから付いて歩く。
 後でちゃんと誤解は解いてくれるのだろうか?
 愛娘と親友に両側か

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希望のハコ 最愛の娘になった最愛の君へ 第十四話

希望のハコ 最愛の娘になった最愛の君へ 第十四話

 三日後……。
 仕事を終えたカギとハコは、いつものパーキングにキッキンカーを停め、ゆかりとカンナと合流してダリア婦人の屋敷へと向かった。
 ハコとカンナは、出会うや否やいつものように何年も会ったなかったように大喜び。手を繋いで魔法少女の主題歌を歌いながらひたすら前を歩いていく。
 その表情は雲の上を飛び跳ねるように笑顔だ。
 しかし、その後ろを歩く親……ゆかりの顔は蒼白に固まる。
「ハコの……記

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希望のハコ 最愛の娘になった最愛の君へ 第十三話

希望のハコ 最愛の娘になった最愛の君へ 第十三話

 季節も時間も今と同じ。
 違うのは二人がまだ本当に子どもで、本当に純粋で、お互いのことをまだ意識してなかったことだ。
 それは二人が中学三年生なったばかりの頃、カギは既に十五になり、ハコももう少しで十五歳になる……そんな時だった。
 その日、ハコの祖母は仕事の関係で帰宅が遅くなっていた。
 そんな時、カギはいつもハコの家に遅くまで一緒にいた。
 別にカギがおばあさんが帰ってくるまで一緒にいるよ、

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希望のハコ 最愛の娘になった最愛の君へ 第十二話

希望のハコ 最愛の娘になった最愛の君へ 第十二話

「パパァ!」
 ダリア婦人の屋敷に戻り、インターフォンを押した瞬間、扉が破裂するように開いてハコが飛び出してきた。
「パパァ!」
 ハコは、星屑が舞い散るような輝く笑顔でカギの胸に飛び込み、ぎゅうっと抱きしめる。
「ハ……ハコォ?」
 カギは、目を大きく見開いて胸に飛び込んできたハコを見下ろす。
 ハコは、顔を上げて大きな目を輝かせてカギを見る。
「パパァ!ハコ勉強頑張ったよ!」
 鼻を大きく広げ

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山根あきら様が"希望のハコ"を紹介してくれました!

山根あきら様が"希望のハコ"を紹介してくれました!

こんばんは。
織部です。

山根あきら様が"創作大賞感想"で私の諸作"希望のハコ 最愛の娘になった最愛の君へ"を紹介してくれました!

山根様!ありがとうございます!

まだ、書きかけで期間中に全て出来上がるのかと不安に感じてますが、こうやって評価してくださるのは本当に嬉しいです!

これからも"希望のハコ"をよろしくお願いしまします!
#感謝

希望のハコ 最愛の娘になった最愛の君へ 第十一話

希望のハコ 最愛の娘になった最愛の君へ 第十一話

 ゆかりは、平静に言い、コーヒーを啜る。
「一ヶ月前に突然現れたの」
 ゆかりの話しによると孔雀会は齧った林檎から青虫が飛び出すくらい唐突に出現したのだという。
 元々が怪しいテナントだらけの雑居ビル、道ゆく人も駅前の交番も部屋を貸し出したビルのオーナーですら窓に孔雀会の文字が現れるまでその存在に気づいてなかったのだという。
 そして気づいた瞬間に当然のように慄いた。
 孔雀を見てカーマ教を思い浮

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