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相続登記が義務化された! ~ その2


|相続登記とは?

前回に続くが、まずは相続登記とはどんな手続きなのか再確認することにする。
相続登記とは、
「不動産の所有者が亡くなったときに、その相続人に名義を変更する手続き」
のこと。

相続すると当たり前に登記を行っていると思いがちだが、実際にはそうでなく、その後のいろいろな行政手続き等に支障をきたしていることから法律によって義務化されたのだ。

|登記の効力

不動産の登記の効力は、
一般的に、土地や建物を所有している場合は、法務局で所有者名義の登記をすることによって、権利関係を明確にすることができる。
例えば第三者から「これは自分の土地だ」などと主張されても、登記されていれば、他人に対して「登記をしているのは自分。土地の権利は自分にある」と主張できるのだ(「公示力」という)。

|公信力がない

登記という制度があると登記することが絶対要件のようにも見えるが、実は日本の登記制度では「登記墓記載内容が絶対」ではなく、公信力がないと言われている。

公信力とは、不動産の登記簿に記載された内容に効力が生じることなのだが・・・。登記簿に記載された内容は一般的には正しいが、真実の権利関係と登記の記載とが異なっているときは、仮に登記簿の記載を信用してもこれを保護することができないという原則である。

公示力があり所有権を主張できるものの、あくまでも登記という手続きは、形式的要件に基づき登記官吏に書類を提出することで所有者として登記される事務的なもの。

言い換えると、書面審査だけなのでその登記が真偽についての現地調査や確認行為を行わない、いわば机上での作業でしかないのだ。

公示力と公信力という2つの考え方があるのでちょっと混乱しそうだが、登記簿の記載より真実の権利関係を優先させるということ。

|土地の所有者が死亡すると

土地の所有者が亡くなった場合にいつまでも故人名義になっていると、誰が所有しているかが分からなくなってしまう。
通常、財産を引き継ぐことになった相続人が、土地などの不動産に新たな所有者として名義を変更することになる。

相続等による名義変更の手続きをしないと、第三者に対して対抗できず、仮に善意の第三者が一定期間その土地を管理使用している場合に時効等により善意取得することもできてしまうことになる場合があるのだ。

|相続登記をしていないデメリット

登記をしないことによるデメリットは想像以上に大きく、特に相続登記は「あわてることはないとそのままにしていたら、後日大きなトラブルになった」という事例も多くある。
デメリットの一例を以下に挙げることにする。

○ 第三者に権利を主張できない
登記名義が自分にない以上、第三者に対して自分が正当な権利者であると法的に主張(対抗)できない。

○ 不動産を売却できない
相続↓土地を売却しようとしても、登記簿上の所有者として登録がないので、不動産を買う人はいない。自分名義の登記をしない限り、不動産を売ること(売買契約を締結すること)はできない

○ 不動産を担保にした融資を受けることができない
お金が必要になった時に、不動産を担保にして金融機関から借りる場合に、相続した土地であっても登記をしていないと、貸付(金銭の交付)に伴う抵当権の設定登記を申請することになるが、自分名義で登記されていないと抵当権設定登記申請ができず不動産を担保にした借り入れすることができない。

○ 賃貸不動産の賃料を受け取れない可能性がある
相続不動産にアパートなどの賃貸不動産などがある場合、アパートの賃貸借契約は従前のまま引き継がれるのが基本だが、新たな大家(賃貸人)としてアパートの住人(賃借人)に家賃を請求するには所有権移転登記をしておく必要がある。

以上の他にも、
損害賠償金や災害保険金をすみやかに受けとれない可能性がある
・公共事業の際の用地買収が進まない
・相続による名義変更前に、相続人が死亡した場合、その子ども等がこれを相続する場合に相続放棄等の手続きが面倒になる

など多くのデメリットが生じることになる。

|登記をしないメリット

相続登記をしないことのメリットはないといっても良い。
相続登記をしないことから、固定資産税が課せられない、登記に係る手数料がかからないなど考えられるが、固定資産税は相続人と看做されれば課税される(名義変更にかかわらず)ことになるし、登記手数料もその時点では必要ないものの後日の登記手続きなどの際には必要になる。また、相続登記前に相続人が死亡した場合などは、その子などの新たな相続人が手間と手数料が必要になることになる。
トータルすると、登記をしないことのメリットはないといえる。

未登記に罰則が課せられることからも相続⇒登記の流れは必須だ!

次回は、相続登記に関するハウツー的なことを書きますね。


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