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相続登記が義務化された! ~ その3

今回はいくつか相続登記に関した内容を記載します。


|改正内容

繰り返しになるが相続登記に関する改正のポイントは

① 相続(遺言も含む。)によって不動産を取得した相続人は、その所有権の取得を知った日から3年以内に相続登記の申請をしなければならない。

② 
遺産分割が成立した場合には、これによって不動産を取得した相続人は、遺産分割が成立した日から3年以内に、相続登記をしなければならない。

①と②のいずれについても、正当な理由(※)なく義務に違反した場合は
10万円以下の過料(行政上のペナルティ)の適用対象となる。
(※)相続人が極めて多数に上り、戸籍謄本等の資料収集や他の相続人の把握に多くの時間を要するケースなど。

ということであり、

相続により所有権の取得を知った日
○遺産分割が成立した日

のいずれかに該当する日から3年以内に相続登記をしないと罰則の対象になるということだ!

|相続登記の義務化とは?

相続人は、不動産(土地・建物)を相続で取得したことを知った日から3年以内に、相続登記をすることが法律上の義務になった。

正当な理由がないのに相続登記をしない場合、10万円以下の過料が科される可能性がある。

遺産分割(相続人間の話合い)で不動産を取得した場合も、別途、遺産分割から3年以内に、遺産分割の内容に応じた登記をする必要があるのだ。

参考:https://www.moj.go.jp/content/001404761.pdf

(法務省資料抜粋)

|相続登記が義務化された理由は?

所有者が亡くなったのに相続登記がされないと、登記簿を見ても所有者が誰か分からないという「所有者不明土地」が全国で増加、結果的に周辺の環境悪化や民間取引・公共事業の阻害が生ずるなどの社会問題となってきた。
そこで令和3年に法律が改正され、これまで任意だった相続登記が義務化されることになった。

|相続登記の義務化が始まるのは、いつから?

相続登記の義務化は、令和6年4月1日から始まる。
ただし、令和6年4月1日より前に相続した不動産も、相続登記がされていないものは、義務化の対象になるので要注意!

(法務省資料)抜粋

|いつまでに相続登記をすればよいのか?

不動産を相続で取得したことを知った日から3年以内に相続登記をする必要がある。
また、令和6年4月1日より前に相続した不動産で、相続登記がされていないものは、令和9年3月31日までに相続登記をすることとされている。

|不動産(土地・建物)を所有していた親が亡くなった場合、どう対応すればよいか?

○相続人の間で早めに遺産分割の話合いを行うこと。
○不動産を取得した方は、法務局で相続登記をすること。

なお、早期の遺産分割が難しい場合には、今回新たに作られた「相続人申告登記」の手続をし(法務局)義務を果たすことになる。

(筆者撮影)

|相続で揉めることがるのか?

愚問かな~。一般的相続は大きな問題もなく、相続人同士の協議によって速やかに相続開始されることが多いが、時には相続権のある兄弟等によって、揉めて収拾が付かず裁判沙汰になることもあるのだ。

|相続で揉めた場合、登記はできるか?

揉めた場合には相続登記が期間内にできない可能性もある。
相続登記
をするには、例えば「この不動産は、長男の○○が所有者として相続する」というような、相続人同士での話し合いと、全員の実印を押した遺産分割協議書という書類の作成が必要になるのだ。

もし相続人の間で、資産価値の高い不動産の奪い合いや、資産価値の低い”負”動産(負債)の押し付け合い等で、相続人が決まらない、相続割合で揉めてまとまらないなどの場合には、相続登記することはできず、結果として手続き期限の3年間が経過してしまうこともあるかもしれない。

|「相続人申告登記」とは

相続で揉めて期間に相続登記ができないときは、相続人であることを申告することにより相続登記をする義務を免れる制度が新たに設けられた。これが「相続人申告登記」いうものだ。

|不動産を持っていない親だったが・・・?

「親は不動産を一切持っていない。うちは関係ない!」と思う人がいるが、それは早計だ。

例えば、現に父親は不動産を所有していないが、祖父母の代やそれよりも前の代から相続登記がされないままになっている不動産が残っている場合には、ある日突然、付き合いのない先祖が持っていた山林の相続人として、会ったこともない他の相続人たちと、誰がその山林を所有するのかを話し合い、相続登記の義務を負うことになる可能性があるのだ。

|亡くなった親が不動産を所有していたかもしれないが・・

相続登記の義務は、特定の不動産を相続で取得したことを「知った日」からスタートしますので、取得した不動産を具体的に知るまでは、相続登記の義務はない。

|親の不動産を、遺産分割の結果、私の兄が相続したが、兄はまだ相続登記をしていない。このような場合私にも相続登記の義務があるのか?

相続登記の義務の対象は、不動産を相続で取得した人。つまりあなたの兄でありあなたではない。

|相続人申告登記は、相続人のうちの誰か一人がすればよいのか?

相続人申告登記は、申出をした相続人についてのみ、相続登記の義務を履行したものとみなされる。

相続人の全員が義務を履行したとみなされるには、相続人全員がそれぞれ申出をする必要がある。

なお、複数の相続人が連名で(話し合って)申出書を作成することで、複数人分の申出をまとめてすることも可能。

|相続登記についての相談先はどが良いか?

近くの法務局(予約制の手続案内を実施中)や、登記の専門家である司法書士・司法書士会等に相談を!

<相続登記の手続について、法務局の案内を受けたい方>
https://www.legal-ab.moj.go.jp/houmu.home-t/top/portal_initDisplay.action
※「法務局手続案内予約サービス」ホームページ
<登記の申請先(管轄法務局)を探したい方>
https://houmukyoku.moj.go.jp/homu/static/kankatsu_index.html
※法務局ホームページ「管轄の御案内」
<司法書士に相談したい方>
https://www.shiho-shoshi.or.jp/inheritance_lp
※日本司法書士会連合会ホームページ
<相続登記の申請手続の詳細を調べたい方>
https://houmukyoku.moj.go.jp/homu/page7_000001_00014.html
※法務局ホームページ「相続登記・遺贈の登記の申請をされる相続人の方へ(登記手続ハンドブック)」
〈建物の登記(表題登記)について土地家屋調査士に相談したい方〉
https://www.chosashi.or.jp
※日本土地家屋調査士会連合会ホームページ
  


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