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初心者向けポートフォリオの作り方講座(東北ポートフォリオ展・募集受付中です)

東北ポートフォリオ展について


東北ポートフォリオ展(Tohoku Portfolio Exhibition、略称TPE)は、岩手県盛岡市のCyg art gallery(シグアートギャラリー)が主催している公募型イベントです。今年で4回目の開催となります。

 東北ゆかりのアーティストからポートフォリオ用紙を募集し、ファイリングしてシグアートギャラリーで展示します。展示終了後のポートフォリオは、どなたでも常時閲覧できるようにギャラリー内のスペースに設置されます。東北ゆかりのアーティストからポートフォリオを募集し、展示・保管することで、最新の東北のアートシーンの状況がわかる場を作り出すとともにアーカイブ機能をも担うことを主な目的としています。
 
 応募ジャンルは問いません。絵画、版画、彫刻、現代美術、デザイン、映像、写真、建築、イラストレーション、演劇、詩、etc… 毎年、幅広い方々から応募があります。
 
 このイベントはCyg art galleryとアーティストの出会いの場ともなっており、実際に何人ものアーティストがTPEへの応募をきっかけに個展やグループ展へ参加しています。昨年の第3回からは過去の応募者の中で特に活躍が期待されるアーティストを選び、TPEと同時開催でグループ展「TPE セレクション」を開催しています。

 第4回の応募期間は2022年12月5日(月)〜2023年1月22日(日)(10:00-19:00)です。


TPE2022の様子

ポートフォリオって何?

 この記事では、いま応募受付中の「東北ポートフォリオ展」に参加を考えている方に向けて「ポートフォリオの作り方講座」と題して、ポートフォリオの作り方の基礎をご紹介します。

 そもそもポートフォリオとは何でしょうか?業界によっても異なりますが、クリエイターが用いる場合には「作品集」を指します。ですが、作品の鑑賞のためのものではなく、自身の活動を記録アピールする履歴書のような役割であるという点に注意が必要です。
 紙に出力しファイルに綴じたり製本したりする場合が多く、最近ではウェブサイトをポートフォリオサイトとして作成することもあります。
 デザインやアートなどそれぞれの業界ごとに内容も少しづつ違いますが、今回はアーティスト向けの作り方をご紹介します。
 

ポートフォリオを作るとき準備するもの

 ポートフォリオを作るときに、準備しておくものがいくつかあります。

①作品・展示の画像
②作品・展示・アーティストの文字情報
③ファイルなど綴じるもの

最低限、この3つを用意し、①、②をレイアウト・印刷し③に収納すれば、ポートフォリオを作ることができます。

①作品・展示の画像

 ポートフォリオが履歴書と最も違うところは、ビジュアル要素をメインにしているところです。画像の見せ方がポートフォリオを作る上で最も重要だと言ってもいいかも知れません。作品や展示の一番見てほしい部分を意識して画像(写真記録)を準備しましょう。
 絵画であれば全体を正面から捉えた画像と、細部に注目してほしい箇所があれば数点アップの画像を準備しましょう。
 立体作品であれば全体がわかる画像を複数のアングルで準備し、細部の画像も数点あると良いでしょう。
 インスタレーションであれば、全体の様子がわかることを意識して画像を準備しましょう。展示についても同様に、全体の作品配置の様子がわかる画像を準備しましょう。
 知人や写真家に依頼して撮影してもらった写真を用いる場合は、撮影者に使用許可をとり、撮影者名の表記を確認しましょう。

②作品・展示・アーティストの文字情報

 ポートフォリオでもっとも重要なのは画像ですが、文字情報も大切です。
 作品の文字情報には、タイトル、制作年、素材、技法、サイズなどがあります。
 タイトルは外国語名もあれば併記しましょう(公募展では作品の英語名が必要になることがよくありますので、普段から考えておくことをおすすめします)。
 素材は、絵画であれば「支持体→絵の具」のように、使用された順に書くと良いでしょう。例えば「紙に色鉛筆、水彩絵具」「キャンバス、アクリル絵具、油絵具」などです。写真や版画の場合は素材に加えて技法も併記すると良いでしょう。例えば銅版画の場合は「べランアルシュ紙、銅版画(エッチング、アクワチント、ドライポイント)」などとなります。複数の素材を組み合わせるミクストメディアの場合は、できれば細かく素材を列記しましょう。例えば「ミクストメディア(トレーシングペーパー、鉛筆、木炭、水彩絵の具、毛糸)」となります。
 サイズはH×W×D(高さ×幅×奥行き)で記載する場合が多く、単位はcm(センチメートル)とmm(ミリメートル)がよく使われます。混在しないように注意しましょう。
 そのほか、写真作品は撮影地を載せても良いでしょう。

絵画のサイズ


立体作品のサイズ



 展示の情報には、展示タイトル、会期(年月日、開場時間、定休日)、参加者(出品アーティストやキュレーター)、会場名、会場の住所などがあります。展示にステートメント(展示の趣旨をまとめた文章)が用意されている場合は、記録しておきましょう。
 
 アーティスト自身の情報としては大まかには、生年、出身地、在住地、学歴、活動歴、受賞歴、所蔵歴などがあります。生年や出身地、在住地は書いていない場合もあり、重要度はアーティストによって異なるでしょう。活動歴は個展、グループ展、ワークショップ、レジデンス、メディア出演などがあります。さらに経歴と共に制作活動のコンセプトをまとめた文章があるとなお良いでしょう。
 これらをまとめて、ポートフォリオに経歴や略歴のページを作る場合が多いです。

経歴のページの例

③ファイルなど綴じるもの

 ①、②の情報を整理しレイアウトして紙に出力すればポートフォリオ完成まではもうすぐです。見やすく運びやすいようにファイルにポートフォリオ用紙を綴じましょう。
 ポートフォリオの使い方として、配布する場合としない場合とがあります。
 作品のアピールなどのためギャラリーなどにポートフォリオを配布する場合は、郵送を見越してA4サイズ以内大きさの簡易的なファイルを使うのが良いでしょう。
 配布せず自身の展示会場に設置して来場者に見てもらう場合や、持ち歩いて作品を紹介したい場合は、少し大きめの分厚いファイルを用意してもいいかも知れません。
 できれば、自身の作品の雰囲気に合うデザインのファイルを探しましょう。後からページを追加したり順番を入れ替えることもあるので、ページが増やせるタイプがおすすめです。
 ちなみに東北ポートフォリオ展の場合はシグアートギャラリーでファイルを準備しますので、参加者が用意する必要はありません。用紙はA4サイズ、10ポケット分、20面まで受け付けます。

 このほか、ウェブサイトのアドレスやSNSアカウントなど連絡先の情報をまとめておくと良いでしょう(公表してもよい連絡先を事前に準備しましょう)。
 

ポートフォリオの作り方

 これで材料は揃いました。ここからは情報を並べて構成していく編集のような作業が必要になってきます。
 ポートフォリオのベーシックな構成は次のようなものです。

例:①表紙(作家名)②目次 ③経歴 ④作品・展示ページ ⑤連絡先

 目次がなかったり、経歴と連絡先を最後にまとめたりしている場合もありますが、どのようなポートフォリオも概ねこの5つの内容を含んでいます。
 ここでおすすめなのは、小さいメモ用紙などに各ページの内容を簡単に書き込み、順番を入れ替えて構成を考える方法です。実際に手を動かす前に、どういう順番で作品を見せると魅力が伝わるか考えると効率良くポートフォリオ作りを進めることができます。


シグアートギャラリー店頭では、
過去に東北ポートフォリオ展に参加した方のファイルを見ることができます! 

最後に

 ここまで簡単にポートフォリオの作り方をご紹介してきました。とはいえ、どこから手をつけていいか分からない方もいると思います。ポートフォリオは一度作って終わり、ではなく制作活動が続けば更新されていくものです。まずは身近にある展覧会カタログなどを参考に、とにかく形にしてみるとよいかも知れません。
 ポートフォリオはもともと、自身の活動を記録しアピールするためのもの。履歴書のように決まったフォーマットはありません。この記事に書いてある以外の要素を足すのもいいですし、この記事のやり方をあえて無視してもいいかも知れません。最も大切なのは自分の作品の良さが伝わるように工夫することではないでしょうか。
 ぜひ自分らしいポートフォリオを作って、「東北ポートフォリオ」展に応募してみてください。ポートフォリオを通して、新しい出会いが生まれるかも知れません!


【募集中!】

Tohoku Portfolio Exhibition 2023

+TPEセレクション2023

募集受付期間
2022年12月5日(月)〜2023年1月22日(日)10:00-19:00
※年末年始の営業時間はパルクアベニュー・カワトクcube-Ⅱに準じます

募集締め切り
2023年1月22日(日) 19:00 必着(参加登録・ポートフォリオ提出)

展示期間
2023年2月11日(土・祝)~3月1日(水)10:00-19:00

会場
Cyg art gallery

応募対象(全てに当てはまる方が対象となります)※今年から条件を緩和しました!

  • 東北にゆかりがある(出身/在住/住んでいた/リサーチの対象である/東北を中心に活動している・/以上のいずれかに当てはまること)

  • 表現活動を続けており、今後も続ける意欲がある。

  • 50歳未満である(2023年1月22日時点で20歳未満の方は、保護者の同意を得てください)

  • 個人またはユニット、グループである。

参加料
1,100円(税込)

支払い方法:振込/クレジットカード/Cyg店頭支払


☆詳細・参加登録はシグアートギャラリーウェブサイトへ!




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