自分で”道”を切り拓く!サイボウズの楽校 カリキュラムのつくり方
東京・吉祥寺にあるフリースクール(オルタナティブスクール)「サイボウズの楽校」は、現在小学生のお子さんを対象に授業を行っています。
今回は、そんなサイボウズの楽校のカリキュラムをご紹介!
どんな授業があるのか、どのような内容を組み立て子どもたちと向き合っているのか、カリキュラム制作と授業を担当する株式会社3rdschoolの慶徳大介さん(以下、慶徳さん)に聞きました。
◾︎サイボウズの楽校ならではの学びを目指して
サイボウズの楽校の時間割は、毎日kintoneで保護者に共有されています。一般的な学校のように毎週決まった科目を履修するのではなく、日によって内容が異なります。慶徳さんはどのようなことを考えて授業やカリキュラムを組んでいるのでしょうか。
「今年本格的に開校したサイボウズの楽校は、全てゼロベースで始動しました。そのため、授業は公立学校のように学習指導要領を元に作成したカリキュラムと独自の内容を組み合わせて実施しています。子どもたちの年齢に合わせた科目に加え、サイボウズの楽校だからこそ得られる学びを目指して時間割を組んでいるんです。」
時間割を眺めると、国語や算数、理科、社会のほか、「道」や「OH旅(おおたび)」「KO旅(こたび)」といった馴染みのない名前の科目を見つけました。これらは一体、どんな狙いで作られたのでしょうか。
◾︎テーマは「道」
まずは「道」の授業についてです。
「道」では、あえて『すべきこと』を設定せず、子どもたち自身に何をするか考えてもらう時間として設定されています。できた時間の中で何をするかを自分で決め、それを深掘って探究していくことが目的です。
そのため、子どもたちも運動をしたり、歌を歌ったり、カードゲームをしたり、ドリルを進めたり……思い思いの時間を過ごしています。
この授業は、慶徳さんが公立小学校で働いていた時からつくりたかったということですが、どんな思いで実施しているのでしょうか。
「僕の人生の中に、”道をつくる”というのが1つのテーマとしてあります。自分らしく生きていく道、それを一人ひとりに見つけてほしいと思っています。
私たちが今生きている社会では、何も考えなくても歩いていけるレールや道がありますよね。それに乗ることももちろん良いのですが、できれば僕の生徒たちには、自分の道を自分で選んでいってほしいと考えています。自分で選択する、自分が主体となってつくっていくことで幸せを掴む、そんな大人になってほしいなと思うんです。」
道の授業中は”一言も口出しをしない”というのが、スタッフのルール。大人が一言でも口を挟むと子どもの意思をコントロールしてしまうからだそうです。「自習」などとは一味違う、自律を掲げるサイボウズの楽校らしい授業です。
慶徳さんのお話を聞いていると、内容だけでなく、「道」という言葉にもこだわりを持っているのが感じられました。なぜ「道」がテーマなのでしょうか。これには、日々のニュースで私たちも出会う痛ましい現実に対し、慶徳さんが寄せる大きな思いにきっかけがあるようです。
「僕は、子どもが自分で命を絶つことは絶対にあってはならないと思っています。理由は色々あると思うのですが、その選択をしてしまうのは、子どもにとって人生が行き止まりに見えてしまったり、絶望や不安に襲われて、生きていても仕方ないと思ってしまったりするからだと思うんです。
そんな子どもたちに、”道”は行き止まりに見えても自分で切り開けること、真っ直ぐじゃなくても左を曲がってみようとか少し上に登ってみようとかいろんな選択ができることを感じてほしいんです。その”自分なりの道”が見えたときに、見えていた世界がより広く感じられる。そうした子どもたちが増えてほしいなと思います。」
学校とは異なる、もう一つの学び場として存在するサイボウズの楽校。この「道」の授業こそが、学校以外に居場所を求める子どもたちと向き合う中での大きな肝となっているのではと感じました。
◾︎「旅」は新しい発見と出会い
続いては「OH旅(おおたび)」「KO旅(こたび)」についてです。名前から窺えるように、外に出ることが多い授業です。
「大枠の狙いは出会い、まだ見ぬ現象に出会うことです。『OH旅(おおたび)』のOHは、英語でよく出てくる”OH!”をヒントに名づけました。OH旅は宿泊を伴う宿泊学習で、頻度は多くありません。
それより身近な場所に出かける授業には、OH旅を大きな旅となぞらえて、小さい旅、つまり『KO旅(こたび)』としています。KO旅は、半径1時間以内に行ける場所を徹底的に味わい尽くすことがテーマです。」
これも、サイボウズの楽校で初めて実践した授業なんだそう。初めての試みですが、慶徳さんは手応えを感じています。
「この旅の授業も、”私もあなたも楽しい”を掲げるサイボウズの楽校のコアを支える授業になっています。旅にはあらゆる教科で学んだことが詰め込まれているんですよね。行き先を調べたり、必要なお金を計算したり、しおりを作ったり……。色々な教科で学んだことを実践するいい機会になっています。
この授業で感じてほしいのは、全ての学びは身近なものであることと、予定はどれだけ決めても変更があるということ。イレギュラーなことが発生した時にそれを受け入れる強さ、守らないといけないルールを大切にしながら臨機応変に対応していく力、さまざまなものを学んでもらえると思っています。」
3月に実施した初めてのOH旅では、箱根に向かったサイボウズの楽校の子どもたち。旅の前後で、それぞれの子たちに成長を感じたと目を細めて話してくださいました。
◾︎今の学んでいる全てが 未来で芽吹く
今後も独自のカリキュラムで実践的な学びを目指すサイボウズの楽校。
最後に、サイボウズの楽校で学ぶ子どもたち、学校以外の居場所に身を置く子どもたちに伝えたいことを慶徳さんに聞きました。
「子どもの数が少なくなっているのに反して、不登校の数が増えている今、学校での学びに自信が持てなかったり、自分の道がどこに繋がるか心配になったり、不安を抱える子どもたちも少なくないと思います。
でも小学生の6年間で芽が出なくてもいいんです。今学んでいる全てのことが未来で芽吹いて、人生を豊かにするきっかけにしてほしいと思っています。
サイボウズの楽校では、そんな学びを提供していきたいと思って、僕自身も学び続けていきますよ。」
◾︎通ってくれるお子さんを随時募集中!
サイボウズの楽校では、通ってくれるお子さんを募集しています!見学会や説明会も実施中。ご関心のある方は以下よりお気軽にお問い合わせください!
詳しい情報はこちらのnoteでも発信していくので、ぜひフォローをお願いいたします!
サイボウズの楽校noteへの応援のスキ♡や、コメントをいただけると励みになります!✨
慶徳さんのフリースクールにかける思いを聞いた過去のインタビューはこちらでも!↓