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中国発の短篇SFの名手から「郝景芳短篇集」

<SF(71歩目)>
中国SFで、特に短篇がすばらしい郝景芳の短篇集で有意義な時間を過ごす。おススメです。

郝景芳短篇集
郝景芳 (著), 及川 茜 (翻訳)
白水社

「71歩目」は、郝景芳さんの渾身の短篇集。ハズシが無いです。
郝景芳さんの作品はどれもハズシ無しで、それぞれが訴えること。後々まで心に残ります。

7篇がおさめられています。「北京 おりたたみの都市」は別に紹介したいので、その他の短篇で心に残った3点を紹介いたします。

「弦の調べ」
宇宙エレベーターも出てきますが、この作品の核心部は「共振」です。

「共振」について、理解はしていたのですが、ここまでスケールの大きな作品に仕上げられることに率直に驚きました。素晴らしい。
尊敬するフォン・カルマン博士、ニコラ・テスラ博士に対するオマージュでもあり、とても素晴らしいです。科学史もかかわり、とても重厚な作品になっています。「長編」も期待です。

「山奥の療養院」
主人公の韓知にはまるで及ばない私たちですが、エリートのプレッシャーというのは中国でも、日本でも同様だと感じた作品です。この作品はSFテイストよりも、より現代中国の問題点を突く作品。
何故かとても心に残りました。

この郝景芳さんの作品は「中国」「中国SF」としてとらえるのではなく、純粋に「文学」「SF」でとらえたい作品だと思います。どうも読む間際まで「中国」というのが脳裏を離れないのですが、「ニュートラル」に捉えると、心の奥を突いてくると感じました。
今後も期待しています。

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