独裁者を目にしたら「ライオンを殺せ」
<文学(190歩目)>
重たいことも、ちょっと笑えるように展開させていく。これは素晴らしい技です!
ライオンを殺せ (フィクションのエル・ドラード)
ホルヘ・イバルグエンゴイティア (著), 寺尾隆吉 (翻訳)
水声社
「190歩目」は、ホルヘ・イバルグエンゴイティアさんによる乾いた笑いの出る、独裁者物語。メキシコの感性だと思いました。
「88年に及ぶ英雄的独立戦争の末、1898年にアレパは独立国となった。独立戦争最後の生き残りで、《独立戦争の英雄少年》として名高い陸軍元帥ドン・マヌエル・ベラウンサランが大統領を務め、憲法上最後となる四期目を全うしつつある。」
のっけから、ハードボイルドな書き出しであり、独裁者ベラウンサランの強烈な物語。それもラテンアメリカ的な強烈さが際立つ作品かと思いました。
ここからの展開は強烈かつ、力強く進んでいく。
恐怖政治、陰謀、暗殺、クーデター、暗殺計画、裏切り。。。
まさにハードボイルドな世界なのですが、ここは作者のイバルグエンゴイティアさんのテクニックが光り、普通の展開ではない。
そして、ところどころに笑える文章を差し込み、最後まで引っ張ります。
独裁者って、周囲も「自分のことしか考えない」から生まれてくる怪物ですね。
これが、「笑い」の中から学び取れる秀作です。
もっと若いうちに読みたかった作品でした。
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