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新しい百合SFの世界「ガーンズバック変換」

<SF(78歩目)>
中国出身で日本在住の陸秋槎さんからの新しいSFの提案を読む。

ガーンズバック変換
陸 秋槎 (著), 大久保 洋子 (翻訳), 稲村 文吾 (翻訳), 阿井 幸作 (翻訳)
早川書房

「78歩目」は、ちょっとふしぎな気持ちになれる作品が沢山ある短篇集です。

陸秋槎さんは、日本在住の中国人作家です。
刺激的な才能に溢れる作家で、私は刊行されるたびに読み込んでいます。

この短篇集には8篇が収められているのですが、どれもSF者には刺激的。なんか初心を思い出させてくれる作品が多い。

どれも色々な試行が施されていて刺激的ですが、特に心に残ったものを紹介します。

「色のない緑」
これはアンソロジーの「アステリズムに花束を 百合SFアンソロジー」に収められていた作品。陸さんとの出会いの作品です。
パンデミック後の生成AIの流行にあっている。

百合の世界を広げた作品だと思う。それまでは女性観の「恋愛」だったような。これからは「女性間の関係性」ですね。

それにしても、一ジャンルに終わらせてはいけない百合の世界を垣間見える作品で、これだけでも手に取る価値がある。
美しい情景からラストのシーンへ。素晴らしい。

「開かれた世界から有限世界へ」
思わず調べてしまいました。
こんな「調べないと」と思う作品は石黒達昌さんの「冬至草」以来。
どうも、、、と思ったら「異常論文」に収められていたのですね。
納得しました。

とても短い短篇ですが、読ませます。

「ガーンズバック変換」
香川県のゲーム条例ネタのコント。SF者の話題になった。
かなりオタク度高め。読んでいて、陸さんが中国出身であることを忘れた。まさに、SF・オタクの世界。
社会がどんなであろうが人間は変わらない。

中国SFで、劉慈欣やケン・リュウのようなものとも違う。
ちょっと日本的なものも入っていて、新しい世界です。

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