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消えない喪失を抱えながらも懸命に生きる人々「闇の中をどこまで高く」

<SF(152歩目)>
読後に余韻が残るデビュー作、今後も期待です。

闇の中をどこまで高く
セコイア・ナガマツ (著), 金子 浩 (翻訳)
東京創元社

「152歩目」はセコイア・ナガマツさんのデビュー作で、アーシュラ・K・ル=グイン賞らしく美しいSF作品です。

設定は、特にシベリアでの3万年前の未知のウイルスによるパンデミック。
これが予想以上に強く、人々の絆や社会が崩壊しかけた近未来。

出だしは、ウラジーミル・ソローキンさんの「ブロの道: 氷三部作 河出書房新社」を彷彿させるスタートでしたが、静謐な文章の中にセコイア・ナガマツさんらしい世界観あって、最後まで緊張感をもって読めました。
美しい。

アーシュラ・K・ル=グイン賞特別賞受賞作とのことですが、納得しました。

それぞれのシーンの切り出し方が美しい作品で、「喪失」というテーマでオムニバス形式の物語が進む。
なんか、自作に期待している自分がいます。

切なくも美しいと帯にありますが、本当に切なく美しいです。章立てされた長編小説ですが、それぞれの章が独立した作品でも読めます。
いいね!です。

特にマイナーかもしれないですが、「豚息子」は一つで切り出しても素晴らしいと思いました。

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