山本淳子『紫式部ひとり語り』を読んで
現実の人生を受け入れ、もののあはれを知る この書は、作者の紫式部「私」が語るという文体で書かれている。山本氏自身が「ひとり語り」は冒険というのも頷ける。山本氏が研究者として『紫式部日記』『紫式部集』『源氏物語』などを読み込み、式部の出自や時代背景など研究的な視点で資料補強がされており、史書『大鏡』や日記『小右記』『御堂関白記』、『古今和歌集』『千載和歌集』を駆使し、系図も示し出自を自慢げに語らせるなどの方法である。紫式部が自分を語るという設定で書きながら、「自分語り」設定そ