見出し画像

MONO-COTO INNOVATION 2022 中高生部門優勝チームインタビュー チーム『Akakani』後編

前編

この記事は前編の続きです。


チームで取り組むことへの意識

角田:皆さんのお話を聞いていると、チームとしてのバランスがいいと感じるのですが、チーム内で役割分担はあるのですか?

臼井さん :高校生の島村さんと板谷さんが話すのがうまく、主になって進めてくれるので、任せていました。

島村さん:臼井さんも岩田さんも積極的に動いてくれたよね。こまもりのデザインが決まった次の日も、中学生の2人は既にプロトタイプを作り終えてテストをしにいっていて、彼女たちの行動力に驚きました。

臼井さん :私は日常生活で学校の課題を後回しにする性格なんです。でもMCIは「ちゃんと参加したい」という気持ちがあったので、忘れないように、すぐ行動していました。

板谷さん:それでも結構ギリギリなこともあったよね。いいデザインは思いつくんですけど、やっぱり相手が一目見て分かるものとなると難しかったです。

島村さん :ぱっと見て、「こまもりだ」ってわかるデザインにしたかったんです。誰かの「鍵括弧は2つ上下に並べたら、『こまもり』の『こ』みたいだよね」という発言からアイデアを出していって、最終的にこまもりの『こ』がハートを抱き抱えているデザインになりました。

最終的に決まった「こまもり」のロゴ

角田:チームで取り組む時に大切にしてたことはありますか。

岩田さん:私は、アイデア発想は得意なのですが、語彙力が足りないので言葉で伝えるのが苦手です。でも「思いついたものはどんなものでも全部出しとけば、いいものができるかな」と考え、遠慮せず言うようにしていました。

臼井さん :みんなで共通認識を持てるように意識していました。例えばプロトタイプテストの中で、お互いに認識がずれないように話し合って結論を出しました。話し合いの後も、すぐ行動に移すのではなく、MURAL等を使ってまとめることを心がけていました。

島村さん :DAY1から、みんなでアイデアを書き出して、お互いの意見をお互いが分かる形で出していくというところは、頑張ってたかな。

角田:それは、元々「そうやっていこう」という指針を決めたのか、それとも自然な流れでなったのかでいうと、どちらですか。

臼井さん:自然な流れだった気がします。私は忘れやすいこともあり、付箋に書き出したものを写真に撮っていました。今までやった内容が思い出せないとやりづらいと思ったので、記録を残すように心がけていました。

島村さん:行き詰まったときに過去の記録を確認して、「あ、そういえばこんなのあったよね」と解決の糸口になったことも何度かありました。

話し合いの内容を確認する島村さん

MCIでの経験

角田:皆さんがMCIで学んだことや、成長したことはありますか。

島村さん :企業から出されたお題に取り組む授業があったのですが、個々の性格の問題もあってチームメイトと合わなかったんです。その経験から、私は「ものづくりは自分のこだわりが強く出せるから個人でやった方がいい」と思っていました。MCIを通じて、自分のこだわりだけではなく、相手が出した変化球的なアイデアも受け止めて考えていくと、よりいいアイデアが出せることを知りました。私だったら絶対スルーするところに目をつけて、もう1回考えさせてくれるのはチームの特権です。私1人ではできません。

岩田さん:私は、デザインはアイデアが勝負だと思っていました。MCIを通じて「小さなアイデアでも話し合っていけば、どんどんいいアイデアになる」と気づきました。この気づきは今後商品開発等に挑戦する中でも大事だと思います。また他の参加者の姿勢やアイデアの生み出し方を見ていて、全国のレベルを知れたのも良かったです。

板谷さん :MCIは大人と話せる環境が整っているのがいいと思います。普段、親や先生と関わる機会はあるけど、専門家にフィードバックをもらったり、周りの大人にインタビューしたりすることはありません。緊張はするけど、いい経験になったと思います。

ファシリテーターに意見をもらう4人

臼井さん:MCIのグループワークは、みんなが積極的にやってくれることが学校や部活と違う点です。1人でアイデアを考えていると、視点がどうしても作る側からになってしまい、アイデアを発展させにくいと感じていました。グループでやることで、いろんな人の視点から気付きをもらって、改善できます。MCIではチームでやることの良さを、すごく感じました。また特定の個人に着目することや表面的なニーズではなく、本人も気づいていないような願望を探ることがすごく大事だと感じました。今まではユーザーの設定の仕方やインサイトがわかってなかったから、アイデア深めたり、広げたりできなかったのだと思います。デザイン思考の考え方は、今後も使っていきたいです。

角田:皆さんがMCIで学んだり、経験したりしたことで、今後に生かせそうなことはありますか。

臼井さん :私は今後デザイン思考の考え方を部活動の中でも取り入れて、アイデア出しに活かしたいと思っています。また私の学校はレポート課題が多いのですが、表面的なニーズに着目して調査・解決してしまうと評価が悪くなってしまいます。デザイン思考を課題に取り入れれば、深い探究ができるのではないかと思います。

岩田さん:私の学校はグループワークの授業が多いのですが、行き詰まってしまうことがあります。行き詰まった時はフィードバックもらったり、少し方向性を変えてみたりすることが大事だと気づきました。私はいつも盛り込みすぎてしまうのですが、MCIで必要なことだけわかりやすく伝えることにも慣れたと思います。

島村さん:私は、アイデアに行き詰まった時に「ちょっと別の視点でやってみよう」とすぐに切り替えていました。MCIでは、行き詰まったときにもう一度しっかり考えると、課題を振り返ることができると気づきました。諦めないのが大事だということです。グループワークをやる上で、はじめは疑問に思う意見でも、よく話を聞いてみたり、考えてみたりすると、いいスパイスになることを知りました。これからは積極的に拾っていけたらと思います。

板谷さん :私はMCIで学んだデザイン思考のプロセスは、授業や来年の大学受験に生かせると思います。MCIでは集めた情報をまとめて発展させていくことをすごくたくさんやりました。今回は詰まることもあったのですが、 もっとスムーズに綺麗にできるようにしていきたいと思います。

MCIと学校の授業の違い

角田:MCIと学校の授業との違いはなんでしょうか?

板谷さん :アウトプットする環境を整えるのは、学校じゃ絶対できないよね。

島村さん:知らない人といきなりグループワークをするのは、色々吸収できるいい機会だと思います。例えば、クラスの中でグループを作ると、普段の関係性で言いにくいことがあったり、誰かがずっと黙ってたりします。MCIの場合はチームメイトとは初めて会うので、お互いの普段のキャラを知らないので遠慮せずに意見を言えます。 言い方は悪いですが、「最悪ここで関係が悪くなっても、もう終わった後は別れちゃうだけだしいいや」と割り切れるからこそ本音が言えました。こういった思いきりも、いいアイデアを作る上で大事だと思います。

臼井さん:専門家の方たちが、アイデアを考えるときにサポートしてくれる環境があることは学校とかなり違います。教科担当の先生に探究について聞いても、アドバイスをもらえないことがあり、頼りないと感じてしまうことがありました。MCIでは、プロのデザイナーから専門家視点のアドバイスをもらうことができます。

ショートピッチでフィードバックをもらう様子

岩田さん:学校では時間割ごとに教科が変わってしまうので、話し合う時間が細切れになります。それに短い時間の中で色々な題材を何回もやります。一方、MCIは長い時間をかけて、ずっと1つの課題を考えられました。将来、商品開発をする機会ができた時は、ずっと同じ課題に向き合うことになると思うので、学校とは違った経験ができました。

島村さん:学校は、決められた授業の中でワークをやるので、「調査に何分」「課題出しに何分」と時間と次にやることが決まっています。1つのワークの時間も短く、しっかりみんなの意見を聞いたり、柔軟な発想をしたりする時間が全然ありません。MCIは意欲さえあれば、時間の制限がなくできたので、やる気も維持でき、アイデアも改善することができました。

未来のMCI参加者へのメッセージ

角田:MCIに参加しようか迷ってる人に、メッセージをお願いします。

臼井さん:MCIにエントリーするか迷うのは、自分がチーム内でうまく喋れるか、未経験のことをうまくできるか、心配だからだと思います。私が今回チームでやってみてわかったことは、自分が慣れないことや苦手なことが得意な人がチームメイトにいるかもしれないということです。チームで活動することは緊張するかもしれません。でもチームメイトが苦手なところを補ってくれることもあります。チームで活動するからこそ、自分がやりやすい環境になるので、どんな人でも参加して大丈夫だと思います。

板谷さん:MCIではチームで1つのものに1ヶ月もかけて取り組むからこそ、 物作りに対してだけではなく、自分自身を発見できると思っています。違う環境に身を置くことで、自分の得意な事を伸ばすことも、苦手なことに挑戦することもできるので、成長を感じられると思います。

岩田さん:私はMCIで得るものが多かったです。デザイン思考を知らない人でも、興味がない人でも、MCIに参加するからこそ得られるものが絶対あると思います。中高生なら失敗してもまだ大丈夫なので、時間のある夏休みに積極的に参加したらいい経験になると思います。

島村さん:私はとりあえずー歩踏み出せばどうにかなると思っています。やっていけるか不安に思っても、一歩踏み出してみる。ガムシャラに動いていくと、だんだんと綺麗な形になっていきます。例え何かあっても、最終的にチームメンバーがいてくれるからどうにかなります。それこそがこの大会の魅力でもあるから。とりあえず不安でも、 一歩踏み出すことが大事だと思います。

(インタビュー・記事:角田・田中)

探究プログラムやインタビューの詳細は、弊社担当までお問い合わせください。
・プログラム:https://mono-coto-program.com/
・イベント:https://mono-coto-innovation.com/
・Facebook:https://www.facebook.com/curioschool
・担当: s-daimon@curioschool.com(大門)




この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?