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MONO-COTO INNOVATION 2022 中高生部門優勝チームインタビュー チーム『Akakani』前編

MCI2022中高生部門参加者集合写真

MONO-COTO INNOVATION 2022 中高生部門

MONO-COTO INNOVATION (以下MCI)中高生部門は、弊社主催のデザイン思考を活用した創造力を競い合うコンテストです。2015年から始まり今年で8年目を迎えます。全国の中高生たちがデザイン思考を使って、テーマ課題の解決に取り組みます。

今年度の課題は「新たなファッション言語となるモノ」で、ファッションとは何か、言語とは何かをチーム内で議論し、それぞれアイデアを考えていきました。

2022年の本選は総勢72名、計18チームが参加し、全4日間で開催しました。DAY1、DAY2は武蔵野美術大学市ヶ谷キャンパスにて、アイデア発想やプロトタイプテストを行いながらチームで課題に取り組みました。DAY3はプロのデザイナーやエンジニアからメンタリングを受け、アイデアをブラッシュアップしていきました。中間審査で選ばれたファイナリスト8チームが、3名の審査員に最終プレゼンをし優勝チームが決まりました。

MCI2022中高生部門の優勝を勝ち取ったのは「こまもり」マークを生み出したチーム『Akakani』。「こまもり」マークは小さな子供をもつ保護者を応援したいと考えている人が意思表示できるマークです。マスクやキーホルダー、ピンバッチなどファッションアイテムの一部として使用します。当事者である小さい子供を連れている保護者がマークをつけるのではなく、周囲にいる人がマークをつけ、子育てに理解があるというメッセージを発することができるのが特徴です。子育てユーザーの心理をしっかり汲み取れている点や社会課題を解決できる程のインパクトがある点を評価され、優勝を勝ち取りました。

今回はチーム3『Akakani』のメンバーの臼井さん(中3)、板谷さん(高2)、島村さん(高1)、岩田さん(中2)にインタビューをさせていただきました。

左から臼井さん、岩田さん、島村さん、板谷さん

MCIに参加したきっかけ

角田:MONO-COTO INNOVATIONに参加したきっかけを教えてください。

臼井さん:私がMCIを知ったきっかけは、Instagramの広告です。私は元々ものづくりに興味があり、放課後ユニットという部活動のようなものに参加していました。アイデア発想班に所属しており、考えたアイデアを文房具コンテストに応募したこともあります。InstagramでMCIの広告を見つけ、参加してみたいと思い応募しました。

岩田さん:私は教室の後ろの黒板に貼ってあったMCIの赤いポスターを見たのがきっかけです。私もものづくり、特にDIYが好きで、よくのこぎりや電動ドリルなどの工具を集めています。MCIのポスターを見て、やってみようかなと思い応募しました。あまり大きな声では言えないのですが、優勝賞品がiPadだったことにも魅力を感じていました。

板谷さん:学校から送られてきた高校生が参加できるイベントやプログラムの一覧からMCIを見つけました。私は高校2年生なので夏休み中に何かやりたいと思い、探していたところでした。学校でMCI2019中高生部門ファイナリストである先輩から話を聞く会に参加していたこともあり、MCIに惹かれました。

島村さん:私は担任の先生に勧められたからです。私は小学生の頃に、発明クラブに参加していましたが、高校生になり卒業してしまいました。さらにコロナ禍が重なり、ものづくりが好きという私の特性を生かせる機会がなくなってしまいました。そんな時に担任の先生にMCIを勧められました。MCI2021中高生部門が終わった頃だったので、今年応募しました。先生の「来年は絶対出なよ」という言葉に後押しされました。

角田:ありがとうございます。参加された理由は四者四様ですね。さまざまなきっかけで参加した皆さんがチームになったのは、すごく面白いですね。

「こまもり」マークができるまで

角田:「こまもり」のアイデアができたきっかけはなんですか?

板谷さん:最初はとりあえずみんなで話し合って、身近な困りごとを色々出していきました。流れの中で保護者の話というか、子育てが大変という話が出てきました。

島村さん:身の回りで困ってることを書き出していた時に、「電車の中」「 赤ちゃんの泣き声」というワードが出てきたんだよね。子供がいる方にインタビューしたところ、こまもりに繋がるインサイトが見つかりました。

角田:最初にテーマやシーンがあり、インタビューしたらダイレクトなインサイトが見えてきたんですね。その後はどうやって進んでいったのですか?

島村さん:今とは少しインサイトがずれていて、小さな子供を持つ保護者も子育てに理解がある周りの人もアイテムをつけるイメージでした。アイテムをつけた周りの人が、子供をあやしに行って落ち着かせることで課題を解決しようと考えていたからです。話し合いをしていくうちに犯罪面など問題が出てきて、インサイトがずれていることにも気がつきました。

臼井さん:最初のインサイトは「子供が電車の中で泣くと不安そうにしている保護者や子供に声をかけても大丈夫だという確信が欲しい」というものでした。しかし話し合いをするうちに本当のインサイトは「自分が話しかけに行ける機会を知りたい」ではなく、「不安そうな保護者の役に立ちたい」ことだと気がつきました。


こまもりマークとは
話し合いの中、見つけ出したインサイト

角田:「こまもり」マークを作る中で行き詰まったことはありますか。

岩田さん:DAY1の時から何を課題設定にしようか行き詰まってたよね。

島村さん:そうだね。DAY1は身の回りにある困りごとや、ファッションアイテムをブレインストーミングするだけで終わってしまいました。DAY2の午前中にはプロトタイプ作り始めるグループが出始め焦りました。私たちはまだテーマを決めていなかったので、キャンプスペースのテントの中に移動してインタビューをしました。その時点ではユーザーを私にし、私の困りごとを解決する事を考えていました。私へのインタビューが終わった頃に、急に岩田さんが「DAY1に出した電車内の赤ちゃんの困り事をやりたいんだ。」と言い出しました。そこで小さいお子さんがいるとお聞きしていた大門さん(弊社スタッフ)にインタビューすることにしました。

島村さん:電車内の赤ちゃんの困りごとは、DAY1では難しそうな課題だと思ったので、絞り込んでいくうちに候補から外したんだよね。DAY2に来て、消えかけてたテーマが急に復活した感じです。岩田さんがテーマを拾ってくれたことが、優勝への大きな一歩だったと思います。

角田:なぜ岩田さんは小さな子供を持つ保護者の困りごとをテーマにしようと考えたのでしょうか?

岩田さん:絞り込んだテーマがあまりパッとしないと感じたからです。電車内の赤ちゃんと保護者の困りごとは、私は経験したことはありませんが一番イメージがつきやすいと思いました。

ブレインストーミングでファッションアイテムを書き出している様子

角田:テーマを決めた皆さんはその後どうされたのでしょうか?

板谷さん:DAY3までにこまもりマークのデザインを決めたんだよね。はじめはこまもりマークのキーホルダーを考えていました。しかしDAY3のメンタリングで、メンターさんから「 キーホルダーに限定しなくてもいいんじゃないか」というアドバイスをいただきました。レインボーマークのように色で伝えることを意識した配色を勧められ、デザインの方向性が変わっていきました。

岩田さん:そうだね。メンターさんと話すことで、キーホルダーではなくマークを作る方向になりました。元々は背景は青ではなくて白で考えていました。デザインも大きく変わり、手の中に文字が入っていたのですが、文字を入れないようにしました。

「優勝したい」という強い思い

角田:最終審査まではどのように進んでかれたのでしょうか。

岩田さん :毎晩Zoomを繋いでたよね。

島村さん:20時半集合とか時間決めてね。

岩田さん:私は、MCIの時期にお盆で祖母の家に行っていたので、プロトタイプを祖母をはじめとした親族に見てもらいフィードバックをもらいました。もらったフィードバックをzoomでみんなに共有していました。

角田:他の皆さんはどうですか。

島村さん:最終プレゼンの日までがむしゃらに頑張ってました。

板谷さん:結構ギリギリだったよね。

島村さん :そうだ。めっちゃギリギリだったんだ。前日も深夜1時までみんなでスライドを編集してました。次の日も午前中使って修正して、お昼に提出というギリギリのスケジュールでしたね。

岩田さん:どうしようという不安があったので最後の最後まで議論を詰めてました。

角田:最後まで議論を詰めたところはどこですか?

臼井さん :スプレッドシートでスケジュールを立てていたのですが、 最後まで犯罪面をどう解決するかという課題が残りました。

島村さん:大門さんの「子供に触られるのは、犯罪面ですごく心配がある」という言葉に私たちはすごく納得しました。周りの人に泣いている子供を構ってもらっても、子供に危害が加わるかもしれないと思う状況では保護者は安心できません。こまもりマークが原因で犯罪に繋がってしまう可能性も考えられました。保護者を安心させるためにも犯罪面を解決するにはどうしたらいいか、かなり議論しました。

角田:良いアイデアだけど、懸念点の解決方法が最後まで課題だったのですね。

島村さん:ファイナリストに選ばれ最終審査への進出が決まってからは、ひたすら懸念点を見つけては潰していく作業をしていました。最終審査が終わったらすぐに社会実装できるくらいに内容を詰めて行きましたね。

岩田さん:中間審査では1位だったのですが、他のチームもレベルが高いと感じました。このままではすぐ追いつかれてしまう思ったので頑張れました。

島村さん:私は2位にいかに差をつけていくかを考えてました。

臼井さん:中間審査では審査員の方から褒めていただいてることが多く、問題点を指摘されることはありませんでした。

島村さん:そうだね、あまりなかったよね。

臼井さん:なので最終審査までは他のチームと差をつけるために、改善できる点を考えました。自分達で課題をたくさんあげ、改善点を見つけていきました。

角田:私だったら中間審査で1位をいただいたら安心してしまうのですが、みなさんが最後まで熱意を持ってできたのはなぜでしょうか?

岩田さん:私はとても頑張らないとMCIでは優勝できない思っていました。なので本選が始まってから中間審査までは毎晩打ち合わせをしていました。気づいたら、打ち合わせが生活の一部になっていったので、今はMCIを頑張ろうという気持ちで取り組みました。

板谷さん:私は中間審査で1位を獲ったのに、最終審査で優勝できないのが怖かった気持ちもあります。

島村さん:わかる。私もそうだな。

臼井さん:中間審査で他のチームのプレゼン動画を見て、こんなアイデアもあるんだと驚きました。他のチームがもっと改善してきてたら追い抜かれると危機感を覚えました。私はいい順位を取りたいという気持ちがあったので、できる限りのことを頑張ろうと思っていました。

島村さん:実は私は中間審査で順位が出ることを知りませんでした。でも1位と書かれた順位表を見て、「もう1位とったからにはこのまま絶対このまま走り切ってやる」という気持ちが芽生えました。「他のチームに絶対1位は渡さない」という気持ちがあったからこそ頑張れました。

ポストイットにアイデアを書き出し共有している様子

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(インタビュー・記事:角田・田中)

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