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徒然 猫に気付かされた私の幸せは

今の私には唐突に電話をしても許してくれる人がいるんだ。

今日はどうしても体調が悪くてうげうげ言っていた。台風の影響か頭が痛くて、どうしたものかと思っていた。

それでも、八時に起きてある合同誌に提出する原稿をやった。もうすぐ書き終わるけど、面白いかどうか分からない、なんて思いながらキーボードを叩いていた。昼過ぎになり、疲れたとベッドへ休憩として向かってから頭の違和感に苛まれた。原稿と課題をやらなければならないのに、どうしても無理だ。眠いのに眠ることの出来ない気持ち悪さと目の重たさ、焦点のあわなさにモヤモヤした。

そんな時は、とマンガを読む。
ギャグマンガ日和を読む。増田こうすけって本当に天才的に頭おかしくて大好きだななんて思いながら、睡魔を誘おうとしていた。
ハコヅメに持ち替えて、少しだけ辛いけれど底抜けに面白くて笑った。

そんな時間を過ごして、お風呂を入れようとやっと立ち上がった。5時のチャイムがどこかから聞こえる。だけど、その音楽はいつもの物じゃなかった。何処かの市の5時のチャイムが流れてきている。台風の強い風に乗って。
その後、5時ぴったりにいつもの音楽が流れ始める。あの街はうちの街より時間の流れるスピードが早いのか。

その思考に引っ張られて、私は庭に出た。空気が騒がしくて、自由奔放なそれに私は身を預けたくなった。台風の涼しさが私を包んでくれる。

少しだけ散歩でもしようか。

猫を探したくなった。

最近私の家に現れる柄がヘンテコでぶちゃいくな子猫にどうしても心が惹かれてたのだ。会いたくて仕方がなかった。きっとこの近所にいるはずだから、部屋着のまま外に出た。この辺には猫が多い。野良猫の生息地域になっているんだ。だから、歩けば猫にあたる。

風は激しく少しだけぬるい。
視界は黄色がかっていて、緑と共存していた。

気持ちが良かった。
毎日の痛い暑さに焼かれるのが嫌だったから、私はひとり家に篭もる日々を選んだ。
インスタグラムのストーリーを見て、同期に苛立ちを感じる自分の心の狭さを見直す。
海やらUSJやらと友達と一緒に遊んでいる写真ばかりをあげる彼らと私とでは、人生の色が違うらしい。バラ色に憧れて大学に入ったのに、誰もいないじゃないか。友達がいない。私も遊びたい。だけど、だけど!
コロナなんだから、自粛しないといけないでしょう?私も出かけたいけど、出来るだけ人のいない場所に。

そう思って生きてきたこの2年を今日は特に憂いていた。

青春はどこだっ!!!

叫びたくて仕方がなかった。だから癒しを求めて猫を探した。可愛い子が何匹もいた。彼らは野良だ。どこかで餌を手に入れて生きている。

少しだけスッキリして、歩いて帰る。
家の前で猫の声がした。
大きな猫が擦り寄ってくる。首輪をした可愛い灰色の子。久しぶりに撫でることの出来る猫だった。

私は猫アレルギーなんです。

だから、猫が飼えないの。

悲しくて、猫を触ることすらしなかった。だけど、恋人に出会ってから猫派になった。
彼が猫好きだったから。
合わせたわけじゃない。ただ、世界の見方のなかで、ちょっとだけ猫に焦点が行くようになっただけ。

その猫がすり寄ってくるのが可愛くて、私は急に恋人に電話をかけた。ビデオ通話を。

すると直ぐに出てくれて、猫かわいいねって言い合えた。30分も喋り、一緒に猫を見た。素敵な時間だった。

私は元々電話をしない。
恋人とも急に電話することなんてなかった。

今何してる?
電話してもいい?
こんな用があってさ。

なんてチャットを入れてから返事を待つ。
他人に迷惑をかけたくなかったから。
きっとどれだけ仲良くなっても、私との時間なんて面倒だと思うだろうと考えていたから。

そんな私が、今日は急に電話をかけた。

それだけ、その人のことを信じていて、私がそれをしても許してくれるって安心しているから。
そう思っている自分に気づいた。

大丈夫じゃん。
私、ちゃんと幸せじゃん。

急に電話をかけてもいいなって思える人はいますか?
今まではNOだった。

今回も絶対に彼が喜ぶと知っていたから、猫だから、と掛けれただけだけど、それでもやっぱり大きな進展だ。

猫は可愛い。
猫によってその事に気付かされた。
ありがとう。

ところで、あのヘンテコな猫知らない?知ってたらうちに来てって言っといてくれる?ちょっとしゃくれたにゃんこちゃん。

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