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短編小説

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2023年4月の記事一覧

短編小説【ウラとオモテシリーズ】「恋の賞味期限日・オモテ編」

短編小説【ウラとオモテシリーズ】「恋の賞味期限日・オモテ編」

「あっ、賞味期限、イヴの日だ」
今日は朝から何も食べていないことに気づき、深夜1時に家にストックされているカップヌードルを食べようとして、手に取って、ふとカップ麺の底を見ると、「賞味期限 22.12.24」と書かれてやがる。
くそっ「イヴ」と「賞味期限」の言葉を思い浮かべると、あのことを思い出すわ。
「恋の賞味期限は一般的におおよそ二年と言われている」
なんともクリスマスシーズンには相応しいことを

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短編小説【ウラとオモテシリーズ】「嘘つきな69番目の欠片・ウラ編」

短編小説【ウラとオモテシリーズ】「嘘つきな69番目の欠片・ウラ編」

※「嘘つきな69番目の欠片・オモテ編」を読んでいない方は上記のページに飛んでいただければと存じます。

公園の隅にあるベンチに丸くなって座る。この場所が定位置だ。
この場所は公園全体を見回せれるから、気に入ってる。
隣には、目が死んでいて白髪交じりの人間の男が足組んで、新聞を読みながら座っている。
「最悪”69番”が覚醒するようなことがあれば、むこうとこちらの世界を結ぶ門を閉じるとする。いいよな、

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短編小説【ウラとオモテシリーズ】「嘘つきな69番目の欠片・オモテ編」

短編小説【ウラとオモテシリーズ】「嘘つきな69番目の欠片・オモテ編」

「トルソニーミカは絶対復活してはならぬ」
鏡には机の上に座って、足をぶらぶらとしている黒のワンピースの女の子と神妙な面持ちの黒猫が映っている。
「その話、何度目?聞き飽きた」
女の子は幼い顔立ちだが、眉間のシワを寄せると老婆と見間違う程に渋い顔で黒猫を睨みつける。
「平和ボケとしている貴様にトルソニーミカの恐ろしさを何度でも理解してもらうためだ」
黒猫は身体を正面に向けて、ブツブツと文句を垂れる。

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