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それで、経営企画って何やるの?

コンサルや投資銀行、監査法人へ行った友人からよく「経営企画って何してるの?」と聞かれることがあります。

経営企画部。よく、「経企」「ケイキ」と略しますが「経営を企画する部」と書きますから、なかなかエリートな感じがしますね。経営企画は、やはり会社の中長期の企業戦略を考えている、次期経営者の集うエリート部署なのでしょうか?

ところがどっこい、現実はそうカッコイイものではないのです。現実の経企の仕事は、地味で、目立たなくて、色んな部署から文句を言われ、あげく何か問題が起ころうものなら全て経企のせいになる、そんな部署です。(もちろん、楽しいこともいっぱいあります!!)

ということで、今回は経企の仕事をみなさんに知ってもらう、そんな文章にしたいと思います。

念のためにお伝えしておくと、経企の仕事は会社によって全く異なります。あくまでも、私が所属する会社での経企の仕事だという前提で読んでいただけると幸いです!

ていうか、あなたは誰?

申し遅れました、ジョン千次郎と申します。

もちろん、仮名です。

私は、新卒で現在の事業会社に入社しました。従業員は1,000人程度、東証上場一部、就活界隈でいうとメガベンチャーと呼ばれている企業です。5年ほど勤務をしており、最初の2年は経理部に、後の3年は経営企画部に所属をし、現在はM&Aした子会社の経営企画部マネージャーとして勤務しております。

事業会社の経営企画部で働くことに興味がある方、経営企画部で働いている方に、少しでも「読んでよかった」と思っていただける情報をお届けできるよう頑張ります!

経企の仕事とは

経企の仕事は、大きく分けると以下の6種類があります。

1.経営者サポート

2.経営計画の策定・管理

3.組織設計

4.子会社管理

5.開示とIR

6.その他の突発案件対応

順に説明していきますね。

1.経営者サポート

これは、会議体の設計・運営と書けばイメージがつくでしょうか。個人的な感覚としては、経企の仕事の15%~20%を占めていると感じています。

事業会社(特に上場会社)は基本的には「取締役会」という会議体を設置し、重要な意思決定をそこで行うこととなっています。半沢直樹でいうところの「役員会」ですね。

経企は、このような会議体の運営を任させれることが多いです。といっても、議事録作成や役員へのアナウンス等の事務手続きは総務部などが対応してくれますので、経企で対応すべきなのは、以下の2点です。

会議体の設計:例えば、全部の意思決定事項を取締役会で話すと大変なので、小さな会議体を作って権限移譲し、意思決定をスピーディーにするなどの会社の意思決定プロセスの設計を行う

議案の交通整理:各事業部から上がってきた資料を見て、「経営者が意思決定できる情報がそろっているか?」「事業部の作った資料に重大な間違い・抜けている視点、ミスリードな表現がないか?」を確認する

特に、議案の整理は事業部とモメがちです・・・事業部としては「案を通したい!」という想いがあるので、いい面を押し出した資料になりがちですが、意思決定のためには当然リスクを加味する必要があり、現場に何度も何度も資料修正を依頼することとなります・・・「経企のヤツ、ほんとめんどくさいな!」と現場に言われる所以でもあります。

かと言って、事業部の資料のチェックをスルーして会議が炎上しようものなら目もあてられません。「こんな資料上げてきやがって、経企は何をやっているんだ!こんなんで意思決定できるか!」とCFOの雷が落ちてくるのです。

経企の仕事は、取締役(経営者)に近いところで行う業務も多く、時給単価の超高い取締役の方々の時間を無駄にすることはできません。資料チェックひとつでも気を抜くことはできないのです。

2.経営計画の策定・管理

これは、ザ・経企というような仕事ですね。

イメージ通り、中期経営計画の策定や、年度予算の編成、期中の業績管理を行います。経企の業務に占める割合は20%程度でしょうか。割と時期によって業務負荷が大きく変わるので、本格的に稼働する時期は経企の繁忙期でもあります。

イメージがつきやすい業務だと思うので、こちらについては簡潔にこのくらいにしておきます(後日詳しく書こうと思います)

3.組織設計

これは、規程や職務権限の整備というとイメージが付くでしょうか。こちらは経企の業務の10%程度と、他と比較すると少し少なめですね。(実際、総務や人事が大部分をやっている会社も多いと思います)

規程というのは、企業が独自に設定する法律のようなものです。「こういうことはしたらダメですよ」「これをやるんだったら上司に前もって許可もらってね」というような、あらゆるルールを規程という文章に落とし込んでおり、経企はこのルール整備を行います。

整備とは、例えば「リスク管理の主幹部署はこれまで法務だったけど、組織が変わったから今後は経企だね」とか「今までなかったけど、コロナのこともあるし在宅勤務のルールを明文化した規定をつくろう」とか、実態や状況に合わせた変更のことです。

職務権限とは、会社が行う「判断」ごとに「誰が行うべきか」を定めたルールのことで、これの整備を経営企画が担当します。

例えば、「1,000億円のM&Aを実行する!」というのをマネージャークラスの社員が判断してよいでしょうか?さすがに問題ありそうですよね。

このように、「M&Aは取締役会で決議しよう」「契約の締結は取締役の判断でしよう」「マネージャーは100万円までの経費なら自己判断で承認してOK」という権限を定めたルールを職務権限といい、会社という組織の基盤となります。

この会社の基盤となるルールの整備を任されるのが経営企画なのです!


4.子会社管理

経企の仕事に占める割合は25%と他と比較して大きめである一方、何やってるかわからない仕事 No.1がこの子会社管理です。

子会社は、資本関係があるとはいえ親会社とは別の会社ですので目が届きにくく、気が付くと不祥事が起きていたり、不祥事と行かないまでも問題がおきたり、はたまた買収時の経営計画や想定と大幅に乖離が出たりします。

それもそのはずで、管理体制がガッチリできている子会社を取得することなんて本当にまれ。多くの子会社は管理部を1人で回しているような、ザ・中小企業なのです。

そのため、子会社の経営企画機能や経営管理機能を一部引き受け、子会社が企業としての体をなすような体制づくりをサポートしたり、子会社に足りないものを親会社から引っ張るために暗躍したり(人、増資・貸付、バックオフィス業務委託など)、子会社の取締役会に参加して経営計画が順調に進捗しているかモニタリングしたり、子会社で問題が起きた際には子会社担当者と一緒になって消化に奔走する・・・子会社管理とは、陰ながら子会社の経営・運営を支える「子会社の次期経営者候補」です。

実際、私のように子会社に役職者で出向したり、取締役として派遣することもあり、経企の業務の中でもやりがいのある業務の1つです!


5.開示とIR

会社によっては、経理がやることも多い業務ですね。個人的には、重要な情報が集まりやすい部署である経企だからこそ、開示やIRをやる意味は大きいと思います。私の会社では、経企業務のおよそ20%程度を占めています。

開示には、「決算開示」「適時開示」があります。

決算開示は、有価証券報告書や決算短信などの決算書類を決算の都度、東証や金融庁に提出する必要があります。

金融庁(EDINET)に提出するもの:有価証券報告書、半期・四半期報告書

東証(TDnet)に提出するもの:決算短信、四半期決算短信

適時開示は、取締役会などで決定した事実などの情報をすみやかに世間に対して発表することを言います。例えば、M&Aや増資、重要な業務提携がそうです。適時開示は、原則として決定した当日に開示する必要があるのですが、適時開示すべき事項だと認識してなかったりで後から開示してないことに気づくことが往々にしてあるので、特に取締役会など重要な会議体の議題に注意することが重要です。

ちなみに、一度開示した文章は「削除」することができません。修正する場合は、「修正報告書」というのを出す必要があり、経企マンとしては出来る限り避けたいものになります。

そのため、開示するまで経企は死にものぐるいで文章チェックをします。誤字脱字、数値確認、フォントサイズや書式の細かいところまで・・・

死にものぐるいで確認し開示した後は、二度と書類を見ることはありません。なぜなら、書類を見なければミスに気が付くことがないからです(笑)


6.その他の突発案件対応

個人的に、経企の仕事で最もワクワクする、かつスポットライトがあたる仕事が、この突発案件対応です。経企の仕事に占める割合は5%くらいでしょうか。

この手の業務はほんとに色々あるのですが・・・例えばこんなイメージ。

「M&A」「PMI」「資金調達」「上場準備」「業務提携」「不祥事対応」

良くも悪くも、新聞の1面を賑わすような、そんな案件対応がメインです。

「じゃあ、他にできそうな部署ないし経企やって」と取締役から色んな業務を振られがちな経企なので、ごくたまにアドレナリンが噴き出るような大きな案件を振られたときは、ワクワクします。「この案件、今後の人生でもう一度やることがあるのかな・・・?」と思いながらも、手を動かし関係者を動かしてプロジェクトを進めるのは、経企ならではの面白さがあります。

自分が手塩にかけて進めてきた案件が、新聞の1面を飾ったり、Twitterでトレンド入りしたときには・・・経企としてのやりがいを感じる瞬間です。


終わりに

いかがでしたでしょうか。経企の業務をざっくり解説させていただきました。

次回からは、各業務をもっと深く解説し、経企に配属になった方や経企で働いている方にとって実務に役立つ情報を発信していければな~と思っています。

最後までご覧いただき、ありがとうございました!

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