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詩とか俳句とか

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匂ひ鳥

ころがれる筆に影あり匂ひ鳥 / 八田木枯

「匂ひ鳥」は鶯の異名だそうで。

転がった筆。

筆、としかないけれど。絵筆か?

それとも、紅筆か。

なぜ、転がったのだろうか?そこに、人影があるとしたら。

誰と、誰なのか?

何をしているのか?

なんとも、艶めいた雰囲気を漂わせているのは、「鶯」でもなく「春告鳥」でもなく、「匂ひ鳥」だから。

この、ことばの選び方ひとつで雰囲気が変わるのが、面

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飛び立つ希望

飛び立つ希望

いつもかすかな鳥のかたちをして氷る / 対馬康子

(NHK俳句1月2週目)

氷の中には鳥がいて。

わずかでも溶けてきさえすれば、少しずつ動き出す。

中の鳥は、こころの芯とか、核となるところ。美しさ、情熱、真実。

もうダメかも、とか。今は先が見えない、とか。

こころが冷たくなるような現状があっても、まんなかのいちばん大切なところはきっと、氷が溶けたら羽ばたき、空へ、光へ飛び立つのだ。

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俳句本を読んでみた その一

俳句本を読んでみた その一

一日一句ずつ作って美麗ダイヤリーに書く…というのを細々と続けている。最初のうちは、夏井いつき先生の提唱する日常の出来事を五・七で描写してあとは五音の季語をつける…という方法でやっていたが、少々限界を感じるようになってきた。

まず、季語への理解がいっこうに深まらないし、語彙もなかなか増えないのでつい同じような季語ばかり使いそうになってしまったり。どっかにすでにありそうな句を作ってしまったり。

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俳句って日記なんだな

俳句って日記なんだな

俳句をはじめて、ほぼ1年たつ。

先日、古いものから少しずつノートに書き直してみた。

平成のおわり。
上原の引退。
梅雨の始まり。
タイへの旅行。
球場での野球観戦。
同僚の送別会。

何気なく目についたこと、感じたこと、そこになぜか注目したこと。
そういう色々なものが、句になってるのが興味深い。

時間がたってから振り返ってみることができるような俳句を、これからも作っていってみようと思う。

【健康で文化的な最高の土曜日:後編】 俳句を詠むようになった話

2019年12月21日。夕暮れ時の定禅寺通りを、1人のアホが地下鉄駅に向かってひた走っていた。

アホは全力疾走した。必ずや、あと30分くらいで次の目的地に着かねばならぬ。アホには高尚な芸術が分からぬ。しかし、面白そうなことに対しては人一倍敏感であった。

さて、文化的な土曜日後半が幕を開ける(急に素に戻る)。この日、1人のアホが人生初めての句会に参加した。時間に余裕をもって移動すれば良かっただけ

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うつつ

うつつ

しあわせや
よろこびは
ゆめでしょうか
げんじつでしょうか

ゆめをみているひとは
しあわせなのでしょうか

よろこびをいだいているひとは
ゆめをみているのでしょうか

げんじつのなかに
しあわせもよろこびも
はいっているのでしょうか

ならば
げんじつにいきているわたしは
よろこびをみいだせるのでしょうか

あるはずのものがみつからないのは
なぜでしょうか

それとも
わたしは
ゆめをみているの

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自分の判断だけでは、結果はわからないもんだ

自分でもいいと思ったものしか、他人もいいと思わない。
まあ、だいたいそうかもしれないけど。

自分ではイマイチかも、と思うものでも、案外他人から見たら、よかったりすることも、ある。

今日は、ミニ句会だった。
一人三句持っていくんだけど、自分的には、今日は全部ダメダメだと思ってた。
でも、とにかく作ってみたなかから、なんとか三句、提出。

結果的に、三つとも誰かの「いいね」がついた。

あまり、自

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春と慈愛によせて #ひかむろ賞愛の漣

春と慈愛によせて #ひかむろ賞愛の漣

ひかりのいしむろさんの、素敵なイベント「石と言葉のひかむろ賞」に参加します。

って、勝手に宣言して、俳句を作りました。

アメジストの石言葉より、慈愛をテーマにされています。

それぞれに、自由に鑑賞していただければ幸いです。

主催であるひかりのいしむろのあゆみさん、ありがとうございました。
この企画のおかげで、ふだんの自分とは違ったテーマを選んでみることができました。
これを機会に、もっとい

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十五夜

肩寄せて月と別れる家路かな

今年は、十三日だけど、十三夜じゃなくて十五夜。
ややこしいけど、趣深い日本の時候の慣わし。
中でも、月の風情は格別と思う。

毎朝の風景

明け方はいくらか涼しくなったこの頃。
家を出る頃には、やはり暑い日差し。
国道沿いより一本線路側の道を行く。
公園の脇を通る。
まだまだ、セミの声。
おしろいばなと、ねこじゃらし。
そして、次々と通る電車。

踏切が閉まる。

カンカンカンカン

線路を鳴らす、ガタンガタンという音。
駅のアナウンス。
通過電車の轟音。
発車を知らせる短い音楽。
ドアが閉まるときの、プシューという音。
自動改札機が

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夏空の雲波

夏空の雲波

夏の青空に雲が横にならぶ。
波打ち際のしぶきのように、白く光る。

着陸体勢に入った飛行機が、ゆっくりと機体を滑らせてくる。

飛行機も、海の波に遊ぶのだな。