匂ひ鳥

ころがれる筆に影あり匂ひ鳥 / 八田木枯


「匂ひ鳥」は鶯の異名だそうで。

転がった筆。

筆、としかないけれど。絵筆か?

それとも、紅筆か。

なぜ、転がったのだろうか?そこに、人影があるとしたら。

誰と、誰なのか?

何をしているのか?

なんとも、艶めいた雰囲気を漂わせているのは、「鶯」でもなく「春告鳥」でもなく、「匂ひ鳥」だから。

この、ことばの選び方ひとつで雰囲気が変わるのが、面白いところ。

におう、は雰囲気を漂わせるという意味でもあるので、なんとも深読みのしがいがある。

本当は、「筆の影」を写生してるにすぎないかもしれないけど。いいのだ、鑑賞は自由だから。

春は春でも、気だるげな、少し霞がかった色気を感じました。


とはいえ、絵筆だったら?

艶っぽいどころか、殺人現場かもしれませんね。



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