#ことのはいけばな
ことのはいけばな’22 立春 第一候『東風解氷』2・4〜
花を活けるように、言葉を三十一文字ほかの器にのせて活ける。はなとことばを立てて相互記譜。七十二候のことのはとはなの旅。
*歌つくり人間以外のものとなる
*木蓮の花弁の傷にふれるまい
*木蓮のレンゲで春を掬わんと
*木蓮のコートはだけてことのほか
*木蓮も裳裾ひらいて東風まねく
*如月に衣を脱いで粋だねい!
*木蓮の花弁の立ちて囲いたる厳かに溢る蘂守らんか
*紅季三寒四温で烟り立つ
ことのはいけばな’22 立春 第2候 『「黄鶯睍睆(うぐいすなく)」2/9〜
花を活けるように、言葉を三十一文字の器にのせて活ける。はなとことばを立てて相互記譜。七十二候のことのはとはなの旅。
稲村ヶ崎のお庭で。谷間で猫のさかりがひとしきり。
帰りは首都高海沿いに北上。
鶯よりも、鵯群れてみゆき通りを未だ席巻する。
*冬うららお午睡からはオキザリス
*陽春に誘われ眠子のさかりつくかたばみ未だ半醒半睡
*酢漿の酸っぱいままでオキザリス酸いも甘いも眠子の恋かも
*陽光
ことのはいけばな 冬至 第65候『麋角解 (さわしかのつのおつる)』
12・26。納めたクリスマスツリーを撤去する。毎年複雑な思いになる時期だ。
3メートルほどのオフィスに立っていたもみの木は、もうパサパサになっている。
切れば、香りはまだ残っているものの、再生の見込みは少ない。都心では植えるところもない。土に返すこともできない、チップにするため持っていくには手間がかかりすぎ、量も少ない。
太い枝は、ゴトンと落ちる。軽くなったとはいえ、日曜日のオフィスフロアにその
ことのはいけばな 小寒 68候 『水泉動(しみずあたたかをふくむ)』
箱根で湯治。二日目にポーラ美術館へ。
金星と地球の結びの日。
=箱根福住楼にて
*大黒天ここの眷属翼もつ
*地殻よりこわばり融かす鏡割り
*湯本にて凍える骨盤かがみ割り
*雪解けのとうとうたらり湯浴みして
=ポーラ美術館 ロニ・ホーン展『水の中にあなたを見るとき あなたの中に水を感じるか』
*ゴールドの重さよ空を呑むほどに
*空を抜き金星ここで嬰児に
*オーロラの気圏の底で新星
ことのはいけばな 小寒 69候 『雉始雊(きじはじめてなく)』
成人式の日。どんど焼き。
三色の南天を活ける。
*小正月雉鳴くに似た花となり
*成人のけんもほろろを怖れるな
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三色の南天ももいろめずらしき
3代にわたりて難を差し戻し
↓少年の頃 どんど焼き
*三色の繭玉揺れてどんど焼き書き初め苦手になりしあの年
*帰り道なにやら侘びし小正月だるま火の中張りぼてボディー
*どんど焼き焦げた半紙の空に消え
*どんど焼き黒焦げ半紙の消失点
ことのはいけはな 立秋 第39候『蒙霧升降』
*会いたくて大口真神白き世に遠吠え遥か青き目かぎろい
*苔を踏み岩に雫の伝い落ち睫毛を袖を濡らす狭霧の
*狼の今にも緑の木の間から揺らぎ出るか足音もなく
*真っ白の細かき粒に閉ざされて杉の潜みに光る胸板
ことのはいけはな 芒種 27候 『梅子黄(うめのみ黄ばむ)』
たまに父親ということを忘れている。
そんな親なので、父の日
もうちょっと猛々しさと重厚感を求められたのだろうか。
* 雪豹の サルエルパンツ 父の日に 琥珀といふ名の 羊羹合わせて
*ともすれば ふわふわとせり 父なれば ギフトを眺め 父永遠謎(父とはなに)か?
梅雨
* ひとしきり 雨のごとくに 紫陽花の 私の中を濡らして過ぎる
*ぽたぽたと 雨垂れのする 紫陽花の 不意に色も
ことのはいけはな 芒種 第26候『腐草為蛍』
「腐れたる草、蛍となる」
この言葉、ちょっと無理があるように思える。
朽ちたる草は、確かにあらゆる命を育むから、そうした連綿と繋がった命の先端で蛍は生まれ、光を放つ。植物の花がまさに光であるように。
大事なのはそこに「ファンタジー」が感じられること。そう見た方が楽しい。
蛍をもしかしたら植物の一種、或いは草の魂のように思っていたのかもしれない。
*ほ ほ ほたる 草のたましひ あくがれて
ことのはいけはな 立夏 第20候『蚯蚓出』
目に青葉めめずめみえず紫の目にあやかなる文目も見えぬ
陸(おか)を引く大国主の如き名よ土を喰らいて国造りなす
氏神であやめ立てれば人形のふるき眼差し貫かれしか
紫の大き蝶の花舞を豪奢な死者の依代にして
ことのはいけはな 立夏 第19候『蛙始鳴』
いま何処かはずの声は原宿の野原は消えて爆ぜてしまった(白余)
黒黒と音符のように消えてったお玉杓子よ脚出る前に(白余)
手水鉢蛙の声は聴けずとも母ゐる庭の池の音する(立夏2021/白余)
ことのはいけはな;穀雨 第16候「葭始生」
花を活けるように、言葉を三十一文字の器にのせて活ける。
はなとことばを立てて相互記譜。七十二候の「ことのはとはなの旅」。
*夕まぐれあはいに燃える桜花放つひかりのにほひ立つほど
*陽の落ちて桜花ぽつぽつともしびて一日ごとに死んでゆくかも
*蒼白に堕ちゆく闇に浮びたり桜花残照指先の跡
*むらさきの空かすかにも花照らす一花一花夢に消え入る
*花あかり濡縁染むる肌白く椿象ひとつ硝子戸
ことのはいけはな 小満 第22候『蚕起食桑』
てふてふの生まれたばかりあやめ花咲くといふのは飛ぶといふこと(白余)
暗がりを飛び出してまた舞い戻り生まれ変わりしひとみひかるる(白余)
ひかりあび黄泉へと戻りにんげんはおどりつづけて花になるなり(白余)