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ことのはいけはな;穀雨 第16候「葭始生」

花を活けるように、言葉を三十一文字の器にのせて活ける。
はなとことばを立てて相互記譜。七十二候の「ことのはとはなの旅」。


 *夕まぐれあはいに燃える桜花放つひかりのにほひ立つほど

 *陽の落ちて桜花ぽつぽつともしびて一日ごとに死んでゆくかも

 *蒼白に堕ちゆく闇に浮びたり桜花残照指先の跡

 *むらさきの空かすかにも花照らす一花一花夢に消え入る

 *花あかり濡縁染むる肌白く椿象ひとつ硝子戸にあり

 *陽の名残り花弁にしまいふつふつと熱ったままで見る夢はなに?

  *甘い蜜花びらでする光合成底つみどりのねんごろなとき

  *日光を食べるだけ食べはらはらと散る花びらはつがいのメジロ

  *日の色は花に移りて暮れ残るうつむく菫にくれないのさす

*宵はじめ群れる桜の身震いにくれない抜けてあゐいろとなり

*山の端の雲溢れいでしじまから光の声となって咲く華

*開きかけ丸き膨らみ朝露にしっとりゆがんで風姿バロック

*昨日より降る雨足に濡れそぼるさくらの名前はさくらであろうか

*花見とは相思相愛ひとみもて見えなくなってしまった闇を


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