釼持嘉一

日本語アドバイザー。日本語を「外国語」としての扱う。 外国人材との共生をテーマに事業を…

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日本語アドバイザー。日本語を「外国語」としての扱う。 外国人材との共生をテーマに事業を展開。共生には外国人材、日本人双方の努力と歩み寄りが欠かせないが、外国人材への負担ばかりが大きくグローバル社会とは呼べない現状がある。「日本語」という側面からグローバル化をサポート。

最近の記事

JLPT JLPT JLPT

非母語話者のための日本語試験、JLPT。 TOEICの日本語版というイメージです。 ・ N1-N5の5つのレベルに分かれている ・7月と12月の年2回実施で世界中で受験可能 ・受験料6500円 ・更新義務はない ・外国人材の採用基準にしている企業が多い  (N1,N2がほとんど) この試験にはいくつかの注意点があります。 ○スピーキングがないので会話力は測れない ○文字による試験なので漢字圏の人に圧倒的に有利  (リスニングも問題文と選択肢は漢字) ○敬語は多少、ビジネ

    • 日本語ができるからといって…

      日本語は超優秀。 でも、日本文化や社会と関わろうという気持ちは薄めのAさん。 日本語は微妙。 でも、好奇心旺盛で興味の幅が広く生活を楽しむことができるBさん。 こんなタイプの二人。 実在のお二人の話です。 相手とある程度深く関わることは僕の仕事の一部でもあるので、自然と彼らに踏み込むことが多くなります。 どうして? どうしたい? どうなりたい?それにはどうすればいい? 上記のお二人は、お気づきのように全く違うタイプ。 どちらにもストロングポイント、ウイークポイントがあり

      • 数の理論

        外国人と日本語でコミュニケーションをとる場合。 1対1だと、真摯にコミニケーション取ろうと努力してくれる日本人がほとんどです。 英語を必死に使ったり、 わかるまで何度も繰り返し説明したり、 理解できたかその都度確認を取りながら話を進めたり… 職場などではよくある、10対1、という状況。 大多数 対 少数、と考えていただいて結構です。 こうなると急に「10」からは「1」が見えなくなり、「10」中心に物事が進む、また進めようとします。 日本企業で働く外国人材は「1」の環境に

        • 虫も「男」「女」?

          『こちらは女の子になります』 ペットショップへ子供を連れて行った昨日、聞こえてきた店員さんの言葉です。 「犬かネコの話かな…」 そう思って、声の方へ顔を向けてみてビックリ。 クワガタの話でした。 「なに? 最近は動物だけじゃなく昆虫も ”男の子” “女の子” と呼ぶのか??」 衝撃でした… ペットに対する最近の言葉の使い方を見てみると、本来のルールから外れて使用している例が増えてきているように感じてはいました。 【死ぬ/亡くなる】 ・人には「亡くなる」「死ぬ」

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          授受の壁

          パソコンを使ってもいいですか。 パソコンを使わせていただいてもいいですか。 パソコンを使ってもいいですよ。 メールを送ってもらってもいいですか。 メールを送らせていただいてもいいですか。 メールを送っていただいてもよろしいでしょうか。 ここに置いてもかまいませんか。 ここに置かせていただきたいんですが。 ここに置いていただけませんか。 ここに置きたいんですが、よろしいでしょうか。 Q.誰がする動作でしょうか? この10の文は、日本語学習者が〈許可〉の用法を学ぶセクションで

          英語が社内公用語なら日本語はいらない?

          社内公用語は英語、という企業が増えています。 しかし企業によって少々事情は異なるようです。 ある企業では毎週月曜の朝の定例会でCEOが英語でスピーチ。 それなりの規模で行われる業務やイベントなども英語。 またTOEIC受験を社員に勧め(義務?)、進捗も細かくチェックしているとも聞きました。 しかし、各部署やチームといった単位での業務になるとほぼ日本語ベース、というのが現状なのだそうです。 また別の企業では業務上のコミュニケーションは100%英語で行われますが、ランチや業

          英語が社内公用語なら日本語はいらない?

          「あなたは?」

          数日前、子供に言われてドキッとしました。 えっ、2歳になったばかりで「あなた」??? 思わず「え、パパのこと?」と聞き返してしまいました、2度。 どうやら保育園(?)で覚えてきたようです。 でも、なんで自分はドキッとしたのだろう、とふと思いました。 職業病ですね、常にこんなことを考えてます。 「あなた」って語彙だな、絶対。 すごい違和感です。 「あなた」という言葉。 使う機会を考えてもすぐには浮かばないので、 かなり限られた場面でしか使わない言葉なのだと思います。

          「あなたは?」

          言語学習のすゝめ

          言語には4技能という概念があります。 〈聞く〉〈話す〉〈読む〉〈書く〉 カテゴリー分けには二通りあります。 A ・インプット・・・「読む」「聞く」 ・アウトプット・・「書く」「話す」 B ・文字を媒介・・・「書く」「読む」 ・音声を媒介・・・「話す」「聞く」 今回はBの「音声を媒介」についてです。 会話力をアップするには耳から、というお話です。 これまで多くの外国人学習者と向き合ってきましたが、 日本語0の段階の方でもすぐに覚えてしまうものがあります。 ・駅のア

          言語学習のすゝめ

          悩みは尽きず

          「上手いですね〜、日本語」 感心するほど日本語が上手な海外の方、いますよね。 いわゆる、 ”日本語上級者” の方々です。 JLPT、BJTなどの試験で高得点を取り、業務で必要な日本語も不自由なく使いこなす。 もう学ぶことなど必要なさそうに思われがちですが、実際は研修やレッスンの依頼が常にあります。 何を、なぜ、学びたいのでしょう…? 「 “日常会話レベル” の語彙や表現 」 仕事の日本語や敬語などは使えても、それらを日常会話レベルに落として使うことができない。 日本

          悩みは尽きず

          その人、を見ませんか?

          海外のニュース、特にネガティブなものを見た時に思うことがあります。 「これを見たどれだけの人がこう思うんだろう。   ”この国の人は〜” …」 ステレオタイプ 国や国籍をベースとした印象形成には多くの要因が関係していますが、最も身近なものとしてのメディアの存在はとても大きいと感じます。 ニュースでは、”その国のこと” を伝えているのであって、”その国の人” を総じて表しているのでは当然ありません。 しかし、実際に接したことがない人にとってはその国の人を印象付ける唯一

          その人、を見ませんか?

          ネガティヴ表現

          ネガティブな表現って避けますよね。 特に目上の人や社外の人、親しくない人に対しては。 ここで言うネガティブな表現とは、 「ダメ」「嫌だ」「無理」「出来ない」 といった表現です。 依頼や誘いを受けたが『断る』必要がある場面。 避けることが多いのではないかと思います。 では、そんな場面ではどのように断っているかというと、 ◯事実を言う ◯状況のみを言う ◯理由を言う 断る表現を使わず、断るわけです。 例えば、 「その日は都合が悪くて…」 「別の用事が入っているもので」

          ネガティヴ表現

          便利は便利だけど…

          『どうも』『ちょっと…』 日本語学習の現場においても学習項目に入っているこの二つ。非常に便利な使い方ができる表現です。 どうも(ありがとう) どうも(すみません) どうも(お世話になります) ちょっと…(だめなんです) ちょっと…(難しいです) ちょっと…(賛成できません) 一言で色々な意味で使うことができる。 しかし便利だからという理由で多用してしまうと、肝心の伝えたいことが伝わらなくなることもある、そんなお話をしたいと思います。 伝えたいことは何か… ここが

          便利は便利だけど…

          たった一言

          コンビニでお釣りをもらう 飲食店で食事が運ばれてくる ドアマンがドアを開けてくれる こんな時なにか言いますか? 僕はこんな時、「どうも」という比較的軽めのフレーズをよく使っています。相手の方との距離をある程度縮めたい、という想いもあります。 また、それが場面と立場的には一番適当だとも思うからです。 でも、この「どうも」が適切かどうか、という話をしたいわけではありません。 上のような場面で何も言わない人をたまに見かけます。 そういう人を非難したいわけでは決してありません。

          たった一言

          韓国アイドルと力士

          韓国アイドルはなぜあんなに日本語がうまいのか? 海外出身力士はなぜあんなに日本語がうまいのか? 一度は疑問に思ったこと、ありませんか。 僕も職業柄、昔からずっと疑問に思ってきました。 「なぜあんなに上手くなるんだ?!」 なぜなら、かけてきた時間と上達度が比例しない例をこれまでイヤというほど見てきたからです。 そこで、色々調べてみると共通した1つのキーワードがあることがわかりました。 【強いモチベーション】 韓国だと大企業、特に日本にマーケットを持つ企業に入ることには

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          相手に使って欲しい言葉

          突然ですが… 子供には汚い言葉、使いませんよね。 お子さんがいらっしゃる方は特に気をつけていると思います。 なぜ気をつけるのか? 真似をすると困るから。 音って真似しやすいし… 子供って耳がいいし… 大人が書いた文章やメッセージを子供が読んだからといって、すぐには真似しませんし、できませんが、音は頭に残りやすく真似しやすい。 これは「言語習得」でも同じことが言えます。 人が発している言葉は真似やすいし、真似たくもなる。特にその言葉の良し悪しの判断が曖昧な子供なら、な

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