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ネガティヴ表現


ネガティブな表現って避けますよね。
特に目上の人や社外の人、親しくない人に対しては。

ここで言うネガティブな表現とは、
「ダメ」「嫌だ」「無理」「出来ない」
といった表現です。

依頼や誘いを受けたが『断る』必要がある場面。
避けることが多いのではないかと思います。
では、そんな場面ではどのように断っているかというと、

◯事実を言う
◯状況のみを言う
◯理由を言う

断る表現を使わず、断るわけです。

例えば、

「その日は都合が悪くて…」
「別の用事が入っているもので」
「行きたいのは山々なんですが…」
「ちょっと最近バタバタ気味かな」

皆さんもお使いになっていますか?

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昨日の研修でビジネス日本語を教えていたときのことです。

上司や社外の人、お客さんなどに対して断る時は「直接的な表現は使わない」という説明がテキストにありました。
事実や理由のみを伝えると丁寧で、相手を慮った断り方になる、と。

そこで学習者の方からこんな質問が出ました。


Q.  では、親しい仲の友達や同僚にははっきりと断るんですか?


彼女はN1にも合格している上級レベルなのですが、相手との関係性や立場によって断り方を変える、この場合は丁寧にすると捉えたようです。

確かにテキストだけを見ると、そう考えても不思議はありません。
おそらく多くの方がそのように教えていらっしゃると思いますし、多くの学習者の方がそのように理解していると思います。

僕の答えは、


A. いいえ、そうではありません。


実は、それだけでは十分ではないんです。
こんな状況をイメージしてみてください。

・親友に結婚式に招待されたが参加できない
・後輩に仕事のついて聞かれたが時間が取れない

相手とは親しい仲、または目下の人間なのですが、
こんな場合でも「ダメだ」「嫌だ」「無理だ」を避ける方は多いのではないでしょうか。


なぜでしょう?


それは話の内容、つまりトピックにも断り方というのは影響されるからなのです。

上に挙げた例では,

〈結婚式という幸せなイベント〉
〈後輩が困っているという状況〉

ここを気遣う気持ちがあると、直接的で強い言葉は避けようとするわけです。
相手と自分がどのような関係であっても、です。

相手との関係性や相手の立場によって断り方を変えるのが一つ。
加えて、トピックによっても変えるということになります。


A. 
いいえ、そうではありません。
相手が親しい人でも、依頼の内容によっては断り方を間接的にして丁寧にすることがあります。
例えば…


彼女にはこのように解説しました。


表面的な解釈にとどまってしまうと、なかなか理解が深まらず真の意味での運用にはつながらなくなります。

「本当にその使い方だけか? 例外はないのか?
 そのまま伝えていいのか?」

我々の仕事の役割と価値とは、どれだけ疑えるか、なのだと思います。

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