コーヒーのある風景

コーヒーに関するエッセイを書いています。

コーヒーのある風景

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記事一覧

kindleで出版しました。

『コーヒーのある風景』はこれまでの投稿を加筆訂正し、 また数編を加えたものをまとめ、kindleで出版しました。 kindle Unlimitedで無料で全文を拝読いただけます。 一度…

12月のコーヒー

12月はクリスマスの月。 カレンダーをまくったその日からクリスマス・ソングを聞かされ、 中旬も過ぎれば、各商店は延々とI wish your merry~と流し続ける。 もちろん、…

火の匂い。

ガスコンロを点火して、 その火の匂いに、冬の北陸の、家の中を思い出した。 北陸の冬は寒い。吹く風は刺すようである。 田舎の住宅事情で家が広いのはいいけれど、 その…

秋の終わり。

耳をすましても、虫の声は聞こなくなった。 秋は終わってしまったな。 いつから聞こえなくなったのか。 わからない。 なんだか、毎年この疑問をいだいているような気がす…

休日

休みの日の朝、 のんびりと起きたつもりが、 虫の声が聞こえてくる。 夜はとうに明けている。 早い時間ではなかった。 遅いとも言えぬが、早いとも言えない。 人が起きて…

秋の音。

秋は耳が心地良い。 夜。 虫の鳴く声が、耳に入ってくる。 いつの間にか、ふと、その声を聞いていることに気づく。 幾重にも重なる音が、リズムが、心地良い。 このまま…

晩夏

夕暮れ時に虫の声が聞こえるようになってきた。 晩夏である。 日中、どんなに陽が照っていても、 季節は確実に変わっていくのだと実感させられる。 不思議なことに、夏、…

夏の夜

夏の夜の道を、ただ歩く。 耳には何もつけず、ただ歩いてみる。 すると、虫の声が聞こえる。 車の、アスファルトを削る音が聞こえる。 そして、自分の足音を久しぶりに聞…

強い日差しに照らされて、アスファルトの道を歩く。 そこがどんなに都市部であれ、 蝉の声をはっきりと聞くことができる。 いつ蝉が鳴き出したのかは判然としない。 毎夏…

夏と朝とにわか雨

夏、朝、にわか雨。 この3つは、幻想的な組み合わせであることに気づいた。 涼しさの残る夏の朝は、ただでさえも清々しいのに、 少量の雨は草木と地面を濡らし、 より一…

机。

いよいよ机の上が雑然としてきた。 ノートパソコンも書類に埋もれている。 当然、コーヒーカップを置けるスペースがあるはずもなく。 見ているだけで、気持ちが滅入るほど…

水筒。

台所の棚の奥に、水筒が放置されているのを見つけた。 小銭さえ持っていれば、いや、それどころか、 この頃はカード一枚、あるいはスマホ一台持っていれば、 ほとんどいつ…

未来の自分へ。

こういう恥ずかしいことを 真剣に取り組もむ気持ちが残っていた、 まだ若かったころ。 いろいろごちゃごちゃ考えてみたが、 結局、未来の自分に向けて言いたいことは一つ…

コーヒーがうまいわけ。

コーヒーはなぜうまいのか。 いや、なぜうまいと感じるのか。 答えを知りたいとは思わない。 その先に何があるのかを知らなくていいように。 ただ飲む、ただ進む。 (本…

コーヒー豆の活用

最近は包装技術が発達しており、 ネット通販の豆も十分に品質は保たれている。 試しに、ミルで挽きドリップしてみるといい。 しっかりと膨らんでくれるから。 (古い豆、つ…

仕事場。

どんなに暑くなっても、事務所に来て まず必ずコーヒーを沸かす。 それは、つまり、香を漂わせたいから。 夏でも冬でも、四季を問わず、 この場所をコーヒーの香で満たし…

kindleで出版しました。

kindleで出版しました。

『コーヒーのある風景』はこれまでの投稿を加筆訂正し、
また数編を加えたものをまとめ、kindleで出版しました。
kindle Unlimitedで無料で全文を拝読いただけます。
一度手に取っていただければ幸いです。

12月のコーヒー

12月のコーヒー

12月はクリスマスの月。
カレンダーをまくったその日からクリスマス・ソングを聞かされ、
中旬も過ぎれば、各商店は延々とI wish your merry~と流し続ける。

もちろん、多く者がクリスマスの意味など知らなければ、
知りたいとも思わない。
ただひたすらに商機を逃すまいとしているのだ。

だが、しかし、いや、そうではあるが、そんな空気を歓迎したいと思う。
いかにも活気があるし、何より、この

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火の匂い。

火の匂い。

ガスコンロを点火して、
その火の匂いに、冬の北陸の、家の中を思い出した。

北陸の冬は寒い。吹く風は刺すようである。

田舎の住宅事情で家が広いのはいいけれど、
その広い家の中で暖が取れるのは、
網焼きができる石油ストーブとコタツだけ。
今振り返れば、随分と寒さへの耐性が鍛えられたものである。

家の中が冷える分、熱い食は欠かせない。
暖房器具と共にガスコンロは冬の間フル稼働だった。

田舎の家を

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秋の終わり。

秋の終わり。

耳をすましても、虫の声は聞こなくなった。
秋は終わってしまったな。

いつから聞こえなくなったのか。
わからない。
なんだか、毎年この疑問をいだいているような気がする。

でも、答えを知りたいとは思っていない。
いつの間にか過ぎたり来たりしているのが、
きっと時だったり季節だったりするのだろうから。

さあ、冬になった。
冬らしく、熱々のコーヒーを飲もう。

コーヒーのある風景。

休日

休日

休みの日の朝、
のんびりと起きたつもりが、
虫の声が聞こえてくる。

夜はとうに明けている。
早い時間ではなかった。
遅いとも言えぬが、早いとも言えない。
人が起きて当たり前過ぎる時間であった。

ああ、こんな時間にも虫の声は聞こえるのだな。
いつもは心がささくれだって聞こえてこないのだろうか。
自分はどれほど、虫の声を聞き逃していたのだろう。

だから、今日からは聞こうか。
コーヒーをいれて、虫

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秋の音。

秋の音。

秋は耳が心地良い。

夜。

虫の鳴く声が、耳に入ってくる。
いつの間にか、ふと、その声を聞いていることに気づく。

幾重にも重なる音が、リズムが、心地良い。
このままずっと聞いていたいような気分にもなる。

だけど、ただ耳を傾け続けていたら、
やがて眠りに落ちてしまうだろう。

だから、コーヒーを飲もうか。
秋の音を聞きながら、コーヒーを飲もう。

コーヒーのある風景。

晩夏

晩夏

夕暮れ時に虫の声が聞こえるようになってきた。
晩夏である。

日中、どんなに陽が照っていても、
季節は確実に変わっていくのだと実感させられる。

不思議なことに、夏、特に晩夏の夕暮れは、
夏祭りを思い起こさせる。

振り返ってみれば、夏祭りは、
夕暮れ時の提灯にあかりが灯されたあたりが、
一番の佳境だったかもしれない。

そして、おそらく、夕暮れ時は、
まだ変わり切ってはいないが確実に変化の途上で

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夏の夜

夏の夜

夏の夜の道を、ただ歩く。
耳には何もつけず、ただ歩いてみる。

すると、虫の声が聞こえる。
車の、アスファルトを削る音が聞こえる。
そして、自分の足音を久しぶりに聞いた気がした。

ただ歩くのは、時間を無駄にしているように思っていた。
人間の本質はものを考える云々などと言われると、
オーディオブックの一つでも聞いて歩かねば、
いかにも怠惰で、人間性すら放棄しているような錯覚にも陥った。

けれども

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蝉

強い日差しに照らされて、アスファルトの道を歩く。
そこがどんなに都市部であれ、
蝉の声をはっきりと聞くことができる。

いつ蝉が鳴き出したのかは判然としない。
毎夏、そういえばいつのころから蝉の声が
当たり前になったと、思うのだった。

ただ、一度だけ、蝉が鳴き出したのを
はっきりと確認できた時があった。
たまたま隣にいた人も「あっ」という顔をしていたから、
おそらくその人も、その時にその夏の声を

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夏と朝とにわか雨

夏と朝とにわか雨

夏、朝、にわか雨。

この3つは、幻想的な組み合わせであることに気づいた。

涼しさの残る夏の朝は、ただでさえも清々しいのに、
少量の雨は草木と地面を濡らし、
より一層の太陽の光を感じさせる。
それでいて、涼気も際立たせるから、
幻想的な気持ちにもなるのだろう。

夕刻のトワイライトとも異なる、夏の美しさである。

そういえば、こういう空気の中を、
走り回っていた時分もあった。
今ではそうした無邪

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机。

机。

いよいよ机の上が雑然としてきた。
ノートパソコンも書類に埋もれている。
当然、コーヒーカップを置けるスペースがあるはずもなく。
見ているだけで、気持ちが滅入るほどになった。

そんな時は、ついに机の上を片付け始める。
騒がしかった机が静かになっていく様を見るこの時間は
実はそれなりに楽しいものである。
マメな人はなかなか味わえない楽しさではあるだろう。

なんて、それはとんでもない立派な屁理屈だと

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水筒。

水筒。

台所の棚の奥に、水筒が放置されているのを見つけた。
小銭さえ持っていれば、いや、それどころか、
この頃はカード一枚、あるいはスマホ一台持っていれば、
ほとんどいつでもどこでも好きな飲み物が買える便利さに甘え、
水筒を持ち歩くことがめっきりと減ってしまった。

もう使うことはないだろう。
いっそのこと処分してしまおうか。
と思った時、水筒に水を注ぐ音をふと思い出した。

なんと心地いいのだろう。

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未来の自分へ。

未来の自分へ。

こういう恥ずかしいことを
真剣に取り組もむ気持ちが残っていた、
まだ若かったころ。

いろいろごちゃごちゃ考えてみたが、
結局、未来の自分に向けて言いたいことは一つだった。

今幸せかい。

それだけ書いて提出したら、書き直しを命じられた。
つまらない人間がいるものだと思った。

ま、私も斜に構えていたのだけどね。

しかし、今、改めて考えても、
この言葉以外に思い浮かばないなあ。

コーヒーを飲

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コーヒーがうまいわけ。

コーヒーがうまいわけ。

コーヒーはなぜうまいのか。
いや、なぜうまいと感じるのか。

答えを知りたいとは思わない。
その先に何があるのかを知らなくていいように。

ただ飲む、ただ進む。
(本当は、本で調べたりしているのだけどね)

コーヒーのある風景。

コーヒー豆の活用

コーヒー豆の活用

最近は包装技術が発達しており、
ネット通販の豆も十分に品質は保たれている。
試しに、ミルで挽きドリップしてみるといい。
しっかりと膨らんでくれるから。
(古い豆、つまり、酸化した豆だとこうはいかない)

リーズナブルな価格に引かれ、
ついつい一度に2kgほども購入するのだが、
さすがにその量だと、保存方法に気をつけても
鮮度が保たれているうちに使い切るのは難しい。

最後のほうは湯を注いでも膨らみ

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仕事場。

仕事場。

どんなに暑くなっても、事務所に来て
まず必ずコーヒーを沸かす。

それは、つまり、香を漂わせたいから。
夏でも冬でも、四季を問わず、
この場所をコーヒーの香で満たしていたい。

暑い室内がコーヒーの熱でますます暑くなるけれど、
敢えてホットのままで飲む。
クーラーをつけて少し涼しくなったときの
熱いコーヒーは抜群にうまい。

さあ、仕事をしようか。
コーヒーの香に包まれ、仕事をしよう。

コーヒー

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