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コーダの心情

「コーダ」に会ったことがありますか?

最近話題になっている映画やドラマに出てくるような「コーダ」ばかりではありません。

コーダは、聞こえない親をもつ聞こえる子どもで、周りにいる子ども達と違ってコーダゆえの特性や心情があるのです。

コーダと関わる機会がある方は、ぜひお読みになり、ご理解いただけると嬉しいです。(コーダ子育て中の親御さんもどうぞお読みください。)

コーダ子育て支援 (▶私たちの活動について)とコーダについて(▶コーダとは?)で述べたとおり、

「手話を使う・使えない・使わない」聞こえない親がいるから、
「手話ができる・できない・使わない」コーダがいる。

「コーダという言葉を知っている・知らない」聞こえない親がいるから、
「私はコーダだよと言える・私って何者?と困惑する・え?私コーダだったの?と戸惑う」コーダがいる。

これは、聞こえない親のさまざまな背景(障がい者差別や社会の理解不足 、聴覚障がい教育、聴力、生育環境など)が原因でおこりうるのです。

コーダと聞こえない親のコミュニケーション手段は、手話や口話(またはその併用)など家庭によって様々です。そのため、コーダ自身のコミュニケーション手段も多様であり、必ずしも「手話が出来る」とは限りません。

コーダに共通しているのは、聞こえない世界(ろう文化)と聞こえる世界(聴文化)を行き来しながら成長していくため、時には環境の違いに「戸惑い」を感じながら過ごしている、というところです。

中には、成長していくにつれ、2つの文化を持っていることを誇りに思えるようになるコーダもいます。

よくあるケースですが、学校や習い事などで以下のような出来事に遭遇することがあります。

・手話歌のために、手話の指導をお願いされる。
・先生が聞こえない親に直接話さず、通訳を頼まれる。
・聴覚障がいをテーマとする授業で好奇の目にさらされる。
・「親を助けてあげてね」や「がんばって!」など心無い言葉をかけられる。

これらの言動には、たとえ悪意がなかったとしても、「障がい者の子ども」と偏見を持たれることで、コーダは傷ついています。また、この「負の感情」をうまく処理できず、聞こえない親にも話せないまま傷ついたことを心の中に封印してしまうこともあります。

今後も、道徳や総合の授業でコーダや聴覚障がい者に関するテーマで授業をする機会があると思います。

クラスにコーダがいたとしても、特別扱いはせず、他の子どもたちと対等に接していただくようご配慮やフォローをお願いしたいです。

配慮やフォローがないと、休憩時間などにクラスメートが
「(あなたの)親は本当に聞こえないの?」
「声が普通じゃないね。」
「手話だけで話すの?」
「手話できないってどうして?」
など、興味本位でコーダに聞いてしまうことがあります。
短い授業の時間でも、このような状況を生み出してしまう場合があります。

人間関係が複雑になり始める時期でのコーダは、この境遇にどのように対処したらよいかを考えるのが難しいと思います。

成人になったコーダたちの話によると、あの時はどうしたらいいかが分からず、心のやり場がなかった。虐められると思ってビクついていた。虐められて苦しかったなど様々な心情がありました。

 聞こえない親は、様々なコミュニケーション手段でコーダの学校や習い事での出来事や友達関係などを把握します。そして、コーダの複雑な気持ちを察しながら日々の子育てをしております。

コーダたちが経験する誤解やプレッシャーを少なくしていきたい
コーダたちが子どもらしくのびのびと暮らしていける環境になってほしい

という切実な願いを持つ聞こえない親たちは、周りの人たちの理解を得るために保育園・幼稚園・学校で先生との面談時間をつくって、我が子のことやコーダについて伝えたり、手話通訳者を手配してPTA役員を引き受けたりしています。

これらの行動には、理由があるのです。
聞こえない親は、コーダは守られる立場であるべきと考え、聞こえなくてもできることはある、そして親として何かできるかを探しながら奔走しています。

そんな「終わりのない説明や相談を軽減」させたいという想いとコーダに関わるすべての人々に「コーダの心情を少しでも知っていただき、他の子どもと同じように接してもらいたい」という想いから
コーダ子育て中の親と成人コーダが話し合いを重ねながら「コーダについて」のパンフレットを作成いたしました。

現在、無料で配布しておりますので、ご一読いただき、相談の必要がございましたら、コーダ子育て支援までご連絡いただければ幸いです。微力ながら尽力させていただきます。 (▶「コーダについて」パンフレットへ)


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