【ふるさと探訪】職人のイメージを覆された、木曽での出逢い<後編>
一気に崩された「職人」のイメージ
他にも工房に入って、職人さんの技術を見させていただいたのですが、
ところでみなさんは「職人」と聞くとどんな印象を持ちますか?
これまでの私は、正直こんな印象でした。
・無口でこだわりが強い
・若くて50代くらいで大先輩ばかり
・上下関係が強い
・外部の人をあまりよく思わない
緻密で高度な技術を長年に渡って身体に染み込ませていく。
だからこそ文化としては厳しく厳格になっていくのかな?という想像をしていました。
ですが、栗山木工さんでは、いい意味で期待を裏切られました・・・!
まず迎えてくださった栗山社長と奥さんの笑顔。
とっても緊張して訪れたのですが、社長は気さくに話しかけてくださり、何で来たの?と興味を持って話を聞いてくださったおかげで、すぐリラックスして話すことができました。
その後も、お忙しい仕事の合間を縫って、ひとつひとつ素人の私たちに丁寧にお仕事の説明をしてくださる栗山社長。
この写真を見ても、この話姿からこけら板への愛や誇りが伝わってきますよね(笑)
私たちも「え!」「すごい!」の嵐で、心奪われました。
人を魅了するこのトーク力もそのはず。
栗山木工さんは、積極的に小学校の生徒さん向けに見学・体験を受け入れていたり、
就業体験プログラムを用意していたりと、
普通なら閉ざされてしまいがちな職人仕事を気軽に知って、触れて、体感できる場を作っていらっしゃるそうです。
若い人が、働き続けたいと思える場所に
社長にはもちろんとても驚かされたのですが、
他にもびっくりしたのは働いている方の若さ。
10代の方がいたり、女性がいたり、勝手な私のイメージがいい意味で裏切られました。
この方は若くて最近入社された方だと伺ったのですが、
私たちからすると信じられないペースで、信じられない薄さに木をへいで(はがして)いました。
私たちに見られながらお仕事されている職人さんをいじる社長。
そんなフラットで自然体な会話を聞いているだけで、仕事場の雰囲気の良さや関係性が見えてきます。
この風通しの良さ、最初からそうだったわけではなく
歴代家業として繋いできたバトンを現在の社長が継いでからだそうです。
ご自身が社長を継がれた時は、ご自身が一番年下の状態。
技術を絶やさず繋いで行くためには後継者が必要。
それには若い人にもっと知ってもらい、一緒に働き、育てていかなければいけない。
しかも技術の習得には少なくとも10年かかるとしたときに、
そこまで働き続けたいと思える職場にしないといけない。
そんな思いから、時間をかけて文化を育んでこられたのだそうです。
長い年月をかけて繋いできているからこそ、きっと変えにくいところもあったのではと想像しますが、そんな「次の世代につなぐ」という思いをかたちにされていることに感動してしまいました。
ちなみに、こうした若い職人さんへの想いや社長のお話をもっと知りたい方は、社長のインタビュー記事もぜひ読んでみてください!
伝統技術を扱っていても、他の仕事と同じように感じて欲しい
ここまで、私が今回触れてきて感じた
こけら板の歴史、栗山木工さんの想いやストーリーついて書かせていただきました。
感想を書くと長くなりそうですが、
あえて一言で表すと、「想いを次世代に繋いでいくってかっこいい。」と感じた時間でした。
そして私の心に最も強く残った社長の言葉は、
「伝統技術というカテゴリーじゃなくて、他の仕事と同じラインでこの仕事も選択肢として知ってもらえるようにしたい」というもの。
お会いする前は、伝統技術を扱う世界と自分たちの世界は違う。特別だ。
と勝手に分断してしまっていましたが、
誰かに喜んでもらえるように、技術に誇りをもって仕事し、価値を提供する。
そんな姿をかっこいいと憧れて働き始め、若い人に引き継いでいく。
そういう意味では同じ仕事。
いい意味で特別扱いせず、もっと広い視野でもっと栗山さんのような想いを持つ方に木曽で出会って行きたいと思いました。
素敵な時間をありがとうございました!
読んでいただいたみなさまも、ありがとうございます!
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