あいだ まき

介護福祉士として働いていた頃のあれこれをつづっています。クスッと笑顔になったり、なるほ…

あいだ まき

介護福祉士として働いていた頃のあれこれをつづっています。クスッと笑顔になったり、なるほどなぁと思ってもらえる記事を、‘‘コバナシ’’というアラサー女子を主人公にした4コマ漫画もまじえて投稿していきます。 介護士ならではの視点や気付きに共感していただけると嬉しいです。

最近の記事

私が贈るなら3

今回は「ひざ掛け」 大判サイズ (我々が普段使う毛布やタオルケットの半分くらいの大きさ) ひとくちにひざ掛けといっても大きさも値段もさまざまで、 毛布素材の大判ともなると1万円ほどしたりするが、私の おすすめは2〜3千円程度の薄くて軽いもの。 この大きさのものは日中リクライニングの車椅子を 使用される方に向いていると思う。 大判のものは毛布代わりとして夜にも重宝できる。 と言うのも、私たちが日常使う大きさの毛布では 体が小さくなられている高齢の方には大きすぎて重く、 寝

    • 私が贈るなら2

      贈りものシリーズ2回目は”パジャマ”。 本当にこれは何枚あっても重宝する。 これまでの経験からパジャマは真夏用・真冬用と 洗い替えとしても活躍する春秋用とで各2枚ずつ 計6枚くらいは欲しい。 そんなに?と思われるかもしれないけれど、 要ります。 施設内は室温管理されているからと言っても 実際パジャマは季節でしっかり着分けていたし、 安眠のためにも日中着のまま寝ていただくなどと いうことは何らかの事情がない限りしない。 夜間の尿や便汚染で洗濯の回数が多いとすぐ 足りなく

      • わたしが贈るなら1

        介護士視点で見る施設入居者様への贈りもの 第1回目は靴下からスタートします。 実用的で数あっても重宝するし値段も手頃。 とはいえ靴下ならどんなものでもいいかというと そうでもなく、選ぶポイントのある物品のひとつ だと思う。 ①天然素材 やはり肌に直接触れるものは天然素材がよいと思う。 冬などよくモコモコ素材の靴下が登場しているが、入居者様の爪が繊維に 引っかかりやすいこと、リハさん監修のもと靴はジャストサイズのものを 履かれていることが多いので、厚い生地では靴の中で足を窮

        • 国際色

          都内で介護を仕事にしていて思ったこと、 国際色が豊か。 一つの施設でも中国、韓国、台湾、フィリピン、 インドネシア、ベトナムが出身地のスタッフがいた。 国際結婚で日本に住んでいるからとか、外貨獲得のためや 介護の仕事を学ぶために留学的に来ているケースが主だ。 最近はミャンマーやバングラデシュから来ている人も いるらしい。 アジア圏中心ではあるもののこうしてみると 介護の世界は結構国際的にスタッフがいると思う。 このように海外のスタッフが目につくようになると、 また今後

        私が贈るなら3

          住めば都になるまで

          自宅から施設へ来た高齢者は大体心身がパニックになる。 それくらい今までの環境が変わるということに対して 高齢者の受けるダメージは大きく、良いこともあれば 悪いこともある。 家でできていたことが施設ではまるで通用しなくなる。 家族には認知のないように見えても施設での様子を見る 私たちからはスタッフの全員がかなり認知症があるという 見解になることも多い。 これまでの生活パターンを大きく崩さない日々なら 多少何かあっても目立たず支障なく暮らせていた。 それでやり過ごせていた人が

          住めば都になるまで

          歩行欲求

          転倒について。 人数にもよるがどこの介護施設でも毎月の 事故報告で転倒が今月0件でしたと言えた 月はないのではないかと思う。 そのくらい利用者様の転倒は多い。 有名なマズローの5段階の欲求でベースに 位置する部分に挙げられてはいないものの 私は歩行欲求が入ってもいい気がしている。 歩くことは人間にとって排泄や食の欲求と 同じ自然なことだと思う。 だからその欲求を妨げることは身体拘束に なる。本人がバランスを崩して転倒し、怪我を する危険を100%回避した介護は基本で

          新人の頃

          介護士が利用者様に言われることで パッと思いつきやすいのがこのふたつ。 まずは「これ何の薬?」 介護士をするようになって施設内で認めてもらえたと 思うことのひとつに服薬がある。やはり職員として 働きを認められていないと服薬には関わらせて もらえないのだが、そこからもう一段階あって 今度は利用者様から新しく薬が追加されては ないのに「これ何の薬?」と問われると まだ信用されていないんだなと思う。 そりゃそうだ、顔馴染みになり信頼関係が暗黙に 成り立っていない人から薬を渡され

          手にあらわれる

          介護において言葉は取り繕えても その人の心は手から伝わる。 時間がなくて焦って急ぎ働きをすれば その人がどのような仕事をしたのか、 痕跡はエグいくらい分かるものだ (だから職員同士のモラハラや個人的 信用にも繋がりやすい)。 それはたとえ相手に直接触れていなくても そうで、車椅子を動かしたりするだけでも カップひとつ出す動作にしても時間がないとか、 細やかなことがめんどくさいとか、要領よくする ことだけ考えているとか、苦手意識のある相手とか、 心ここに在らずとか、全て自分

          手にあらわれる

          四季時期

          施設職員が季節感を出そうとして飾りつけをしたのを 見ていると保育園や幼稚園の施設の飾り付けに似ていて 心の中でため息をついてしまうことがあったのを思い出す。 発想が幼い。そして子供と大人の区別をつけられていない 飾り方になる。 昔とは大きく異なる現代を生きている若い者なのだから 仕方ないといえばそうだし、高齢者にはそれを受容できる だけの達観もあるだろう。 大人の趣向は高級で本物嗜好でお金がかかるので そこまでするのは無理があるのもわかる。 桜と梅の区別もつかないことに

          人間味

          昼の休憩中に廊下に出たら見守りをしている 若い女の子がお腹をさすっているのに気づいて 声をかけると「トイレ我慢しててお腹痛く なってきた」と言う。 「我慢しないで早く行ってきて」とその子が 戻ってくるまで見守りをしていたことがある。 息つくまもなく動いていて、自分の排泄なんか そっちのけなんてあるある中のあるある。結果、 自分が尿路感染や膀胱炎になったなんて珍しくない。 世間では介護士の不適切な対応が取り沙汰されて 目立つけれど、ほとんどの職員は善良で自分の ことよりも

          この仕事

          何年も前から左足首に違和感を覚えるようになった。 正座がしにくく、歩くのにもたまに覚束なさを感じる ことがある。なぜだろう?と考えていたらどうも10代の 頃ひどい捻挫をしたことが原因のように思う。 高齢で足首が変に弱かったり曲がって歩くことが困難 だったりする方がいるのはこんな理由があるのかも しれないと思い至る。 大して気にすることなくやり過ごし、治したと疑いもなく いた頃のダメージが忘れはてた頃に表れてくるなんて。 足だけではない、身体のどの部分が傷ついてもそれは

          フットケア

          私が介護の世界に入った頃は全く着目されて いなかったなぁ、と思うことにフットケアがある。 入れ歯は持っていません、全部自歯ですという方は 少ないながらもいらっしゃる。が、足の爪が全て 綺麗ですという方はほんとうに少ない。もしかしたら 皆無に近いかも。 ほとんどの方は白癬などで爪が厚くなったりすべて ではないにしてもひどい巻き爪になっていたりする。 糖尿などで手の爪も介護士が介入できない方はいるが、 特に足の爪はナースどころかフットケア専門のプロに 頼まないともう無理とい

          喉元すぎれば?

          コロナが5類扱いになって4・5ヶ月が過ぎた。 電車の中は今や半分、もしかしたらそれ以上の 人がノーマスクで乗っているだろうか。 医療福祉関係者はそうはいかない。 規制が緩くなったとはいえ自分がどこかで 感染して院内・施設内に持ち込むわけにいかないのは 以前と変わらないし、今だに面会も時間制限の厳しい ところは多い。 職員だって感染が分かったら今までと変わらず10日間 出勤できないし、施設内は即座に感染対応の動きになる。 健康な成人が100%の抵抗力を持っているとしたら

          喉元すぎれば?

          求む!裁縫ボランティア

          衣食住とはよくいった言葉だなと思う。 施設に入ると食と住は整えられて提供されるので 現代に見合った生活はできる。残るは「衣」。 こればかりはご本人とご家族に委ねられるので なんとも言えないが、この「衣」が整っている人は 少ない。 事情はさまざま。 買ってきてくれても体の状態に合わなかったり 好みや着心地の問題でご本人がほっこりしなかったり そもそも枚数が不足しがちだったり 数あればいいというものでもなかったり 数揃えるだけで結構なお値段になるのでそこに問題があったり 本人

          求む!裁縫ボランティア

          私の仮説

          転職経験のおかげで勤め先の施設形態が違えば いろいろな気づきや発見がある。 私には男性と女性についてひとつの仮説なる ものができている。 夜勤中、巡回のため男性の個室に入るとどんなに さっぱり系の方の部屋でも男性の部屋からは独特の においが感じられた。 一般に男性臭と言われる類のものだと思う。 男性の方にはごめんなさい。 自分が女性だから疎いのかもしれないけれど 女性の個室からはそのような強いにおいを感じない。 ところがそのにおいが全くと言っていいほど気に ならない部

          長寿社会

          施設では100歳前後の方は珍しくない。 仕事環境のなかの人口比率が高いので「90歳です」と いう言葉にも驚くことはないが本来はここまで 生き抜いてきた強運を心から寿ぐべきことなのだ。 本当に誰しも生きてはこられないと思う。 ただ、ご本人方にとってはそれが幸せかどうかは よくわからない。 長く生きればそれだけ親しい人との別れや 人生の辛さを体験しているはずであり、身体の 自由が利かなくなれば社会変化で自宅を離れ 施設に預けられもする(私たちの年代のように若い うちから施