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住めば都になるまで

自宅から施設へ来た高齢者は大体心身がパニックになる。
それくらい今までの環境が変わるということに対して
高齢者の受けるダメージは大きく、良いこともあれば
悪いこともある。

家でできていたことが施設ではまるで通用しなくなる。
家族には認知のないように見えても施設での様子を見る
私たちからはスタッフの全員がかなり認知症があるという
見解になることも多い。

これまでの生活パターンを大きく崩さない日々なら
多少何かあっても目立たず支障なく暮らせていた。
それでやり過ごせていた人が施設に入るのは維新後や
戦後並みに意識改革と生活の改変を迫られるに等しい。
住めば都になるまでは「こんなとこ嫌だ」となっても
当然。

病気で入院なら本人も一時的なものだからと納得できる
だろうけど施設は生活の場になるから足場を崩された
ような不安定さがあるのだろう。

高齢になり何かと不都合が出始めたら施設のお世話に
なるという意識は最近のもの。

施設に入った生活は人としての心的な「幸せ」というより
物理的な「安心安全」だ。

住み慣れた環境で家族や地域の人達と共に時を過ごし
良好な関係を保ったまま徐々に活動範囲が縮小していき
人生を終える。

それが現代では難しい。

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